「論議・雑談ボード」で『ささやかながら少しはましな経済状況を』というタイトルで書き込みしたものに対していただいたレスに回答したものです。
こちらのボードの方々は医療問題に関心が強いのではないかと考え、ご助言や誤りをご指摘いただければと医療問題のみを転載させていただきます。
「医薬分業」問題など触れていないテーマも多くありますので、サポートしていただければ幸いです。
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[医療保険について]
医療保険の問題は、「高速道路問題」が「総合的な交通体系」の議論を抜きにして成り立たないのと同じように、医療そのものを論議する必要があるテーマだと考えています。
医療の無償化はすぐには難しいでしょうが、現段階から改革を進め、将来目指すべき方向だとは考えています。
無償化の場合は、どこまでを国家が面倒を見る医療と考えるのかという問題がつきまといます。
より根本的には、死生観という宗教的・価値観的な領域に入っていく問題だと思っています。それは、国家がどうこう規制することではないので、自然の流れに任せることでいいと思っています。
国家が面倒を見るべきだと考える治療については、無償化を目指すことは望ましいと思っています。
[医療改革]
● 医療に関する情報の公開と医学・薬学教育の改革
国家は、現在の“主流”医学の理論だけではなく、ごく少数であれ異なる医学理論があれば、それを公開する義務を負うものとします。
医療に関する考え方を普及させようとする場合は、かならずそれに反対する考え方を付加しなければならないようにします。(ただ反対ではなく、異なる方法や主流の方法がどういう弊害をもたらすかを主張するものであることが条件)
公開の方法は、小冊子・TV・新聞・インターネットなどを利用し、義務教育修了者であれば理解できる程度の平易な表現を用いるように義務づけます。そのような記述が困難なものは、義務条項の適用から除外して、インターネットなどで参照できるようにします。
これと同時に、西欧近代の医学・薬学に偏重しすぎている医学部教育を変えていきます。
当初はそれほど大きく変えられないでしょうが、その方向を目指すことは意義があると思っています。(学生が理論的に受け入れるかどうかは別として、最低限、漢方医療の基本的な考え方や治療法を必須科目にすべきです)
このために、西欧近代医学以外の医療理論を研究する機関を国費で創設します。
● 保険適用医療と自由医療の大分離
医師の養成については、私大の医学部学生に対しても1人当たり年間1千万以上の税金が投入されているように“国家的事業”です。それを踏まえ、保険適用医療に従事する医師の所得はある一定水準(額などは国民的合意で決定されればよく、保険制度のなかで調整します)に抑えられるべきだと考えています。
その施策により、“優秀”な学生が医学部に進学しないという反論は幻想だと思っています。様々なボランタリー活動を見てもわかるように、お金が目的ではなく、ひとに貢献したいと考えて生きている人はけっこういるものです。
どうしても、医療活動で大きな利益を得たいという人は、今でも可能な自由診療に励んでもらうようにします。
政府は、医師の利益を考慮して、“医師過剰状況”を避ける施策(医学部定員の削減)を行っていますが、国全体での医師の適正数を見直します。
救急車に同乗する医師や看護士+アルファの役目を果たす医師など、総合的に医師の必要数を考える必要があると思っています。
● 地域医師と高度医療医師との分化
保険適用医師については、ホームドクター的な地域医師と手術や難病を担当する高度治療医師に分け、医師免許を取得した後も、研修を義務づけるようにします。とりわけ高度治療医師については、資格維持条件を厳格にします。
また、地域医師については、徐々に非西欧近代医学以外の理論に基づき養成された人も、医師として認めていくようにします。
保険適用医療施設については、施設そのものを国が貸与するなり、資金援助(貸付)するなりしていいと思っています。
● 国有製薬会社の設立
これも、医療保険制度がらみで考慮すべきテーマだと考えています。
金銭的インセンティブがなければ研究開発が進まないというのも幻想です。
国家が、西洋医学に限定しない薬の研究機関(前述の医療研究機関と連動したかたちで)をつくり製造部門も保有するというほうが、現在のような体制よりも、経済的にも効率的だと思います。
もちろん、それに対抗して良質な薬を開発製造する民間製薬会社も事業活動を存続させることは構いません。