食肉卸大手スターゼン(東京都港区)の鶉橋(うずらはし)誠一社長は27日、農水省内で記者会見し、同社佐賀パックセンター(佐賀県基山町、今住和博センター長)が、パック詰めにする豚肉と牛肉の品種の表示を偽装し、九州の大手スーパーに出荷していたと発表した。農水省は同日までにセンターを立ち入り検査し、JAS(日本農林規格)法違反の疑いがあるとみて調査をしている。
同社などによると、2000年6月ごろから2001年末にかけ、同センターで肉をパック詰めにする際、スライスした白豚に値段の高い「黒豚」のラベルを張り、値段の安い乳牛の肉をブランド牛の「佐賀白石牛」と表示して、九州地区の大手スーパー「ジャスコ」の16店舗に出荷した。
偽装は今住センター長の指示で、センターの従業員が虚偽のラベルを作成。偽装した量は調査中だが、豚、牛肉とも1キロあたり350―400円の利ざやを得ていたという。同社は「取引先からの注文の不足分を補うためと聞いている。本社は全く知らなかった」としている。
鶉橋社長は「お得意先と消費者を欺く結果となり、ご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます」と謝罪した。
黒豚は普通の豚肉より小売価格で5割ほど高値で取引され、白豚との雑種を「黒豚」として販売する例が横行したため、農水省は99年9月から、「黒豚と表示してよいのはバークシャー純粋種のみ」と定めた。
スターゼンは昨年3月期の売上高が約2000億円で、食肉業界3位。東証1部上場で、加工品も扱う。資本金は98億9900万円。従業員は910人(昨年12月現在)。(読売新聞)
[2月28日0時49分更新]