2・9午前にNHK衛星1で放送された「ABCワールドニュース」は、ソルトレークオリンピックの開会に合わせて、疲労を感じにくくなる薬物を紹介した。
その薬物は、骨髄がより多くの赤血球を産出するようになる「EPO」の改良バージョンで『アラネスプ』という。
『アラネスプ』は、従来型「EPO」より効果が高い上に、尿や血液から検出されないのでドーピングチェックに引っかからないという。(競技団体は2,3年後をめどに対応を進めているとのこと)
『アラネスプ』は、数ヶ月前に販売が開始され現在品切れ状態になっているとのこと。
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持久力が要求される競技なら有効ということになります。(ほとんどです)
冬季オリンピックの種目で言えば、フィギアスケートからスキー距離競技までこの薬物を使用するかどうかが勝敗に影響を与えるでしょう。(スキージャンプ競技くらいがそれほど影響しない競技かもしれません)
“職業的競技者”が名誉とお金をかけて競い合っているわけですから、バレないで効果がある薬物であれば、それを求めるのは自然な流れでしょう。(バレるとわかっていても使う人がいるくらいです)
さらに言えば、コーチも、同じような立場に立っているわけですから、選手が求めなくても勝手に投与してしまう可能性もあるでしょう。(旧東ドイツや中国ではこれが問題になった)
また、『アラネスプ』はこのように公表されていますが、これまでに、ドーピング検査に引っかからなかった薬物が存在していなかったとは言えないと思います。
“科学技術”と“資金”がある国であれば、自国の選手だけを対象にチェックに引っかからない薬物を製造して投与することだって可能でしょう。
まあ、どうせ“見世物”ですから、どういう薬物を使っていようがすごい内容さえ見せてもらえばいいことですが、薬物を継続的に使う選手の身体は大きな危険に直面します。
ABCは指摘していませんでしたが、疲労を感じないまま身体に激しい負担をかけ続けるのは危険な行為です。
疲労を感じるからこそ、力を緩めたり、休息をとって、身体に無理な負担をかけないようにします。
疲労を感じなくなれば、身体能力の限界を超えて身体の機能を酷使することになり、それが度重なれば身体はボロボロになっていきます。
『アラネスプ』のおかげで、メダルを獲得して称賛を浴びたり収入を増やす人もいれば、自分の身体をボロボロにしてしまう人(メダルをとった人も含む)も出てくるわけです。
『アラネスプ』も含めて薬物を販売する場合は、ドーピングをすり抜けられるどうかではなく、きちんと身体に及ぼす危険性を告知すべきです。
それでも名誉と金が欲しいというのであれば、どうぞお好きに...。