体細胞からつくられたクローンマウスは、かなり短命になると、国立感染症研究所の小倉淳郎・実験動物開発室長らのチームが確認し、11日発行の英科学誌ネイチャー・ジェネティクスで発表する。個体レベルで体細胞クローンの寿命を見届けた実験は初めて。
チームは、精巣の細胞から作り出した12匹のクローンマウスと、自然交配で生まれたマウス7匹の寿命を比べた。
その結果、普通のマウスは、1匹だけ650日余りだったのを除き、800日以上生存した。
一方、クローンマウスは311日で死に始め、多くは500日前後で死に、12匹中10匹の寿命が800日未満だった。
また、死んだクローンマウス6匹を調べると、重い肺炎や肝不全を起こしていた。抗体量も少なく、免疫機能が低かった可能性もあるという。
体細胞クローンの有病率や老化については、負の影響の有無をめぐって研究結果が割れている。2年前には日米共同チームが、「体細胞クローンを6代目まで作り続けたが、健康や細胞の老化に問題はなかった」と発表している。
小倉室長らは、「体細胞クローンの寿命は、(作り出す操作そのものでなく)移植核を取り出した細胞の種類などに左右されている可能性がある」と指摘している。(06:11)