投稿者 ★阿修羅♪ 日時 2001 年 10 月 04 日 10:41:49:
肉骨粉あすから流通停止 揺らぐ「日本は大丈夫」
千葉県白井市で見つかった狂牛病乳牛の感染ルートが解明されないまま、感染源と
される肉骨粉などの国内流通が4日から全面的に停止となる。「代替飼料は確保でき
るのか」。畜産農家だけでなく飼料メーカーなどにも混乱や戸惑いが広がる。狂牛病
の人への感染が英国で確認された1996年4月以降も「肉骨粉などは牛に使わない
よう行政指導しているから、日本の牛は安全」と胸を張っていた農水省だが、果たし
て指導は現場に浸透していたのか。“震源地”となった千葉県の酪農地帯を歩いた。
◆行政指導浸透せず 酪農家「国に責任」
「私も以前は牛の骨粉を使っていたよ」
同県南部の酪農家(58)は、淡々と話した。骨粉は肉骨粉より危険度は低いとさ
れるが、96年以降、牛への使用は自粛するよう指導されてきた。出産や搾乳でカル
シウムを失う乳牛にとって、牛などの骨やくず肉を砕いて粉状に加工した肉骨粉や骨
粉は、貴重な栄養補給源。一般的な配合飼料に添加物として1―2%混ぜ合わされる。
この地域では、飼料メーカーが製造を中止した97年ごろまで、骨粉が使われてい
たという。
「品物がなくなったから使わなくなった。指導は全くなかった」と行政指導が現場
に届いていなかったと証言する。
酪農を始めて20年あまりという男性(49)も「肉骨粉が飼料に入っていること
も、指導も知らなかった。今回騒動が起きて初めて知らされた」と話す。
飼料の選定が業者や農協任せになっている面も、肉骨粉などの使用に完全には歯止
めをかけられない一因となった。別の酪農家(69)は「付き合いの長い飼料業者か
ら『乳の出がよくなる』と勧められたら、よほど危ないと警告されない限り使う」と
話す。
肉骨粉や骨粉などを牛のえさに使っていた畜産農家は、都道府県のまとめで2日現
在、22道府県で241戸で、その飼育頭数は1万頭以上に上っている。
国は今年1月、欧州連合(EU)からの輸入をやめたが、ある酪農家は「それでも
国は使用を禁止しなかった。中途半端な行政対応が今回の事態を招いた。酪農家に責
任はない」と憤った。(山本 広海)
◆えさ代高騰在庫処分…、戸惑い隠せぬ関係者
4日から始まる肉骨粉などの国内流通停止を前に養豚、養鶏農家や飼料メーカーな
ども動揺を隠せない。
日本養鶏農協組合連合会では、えさ代の値上がりを懸念する。養鶏業者の多くは、
肉骨粉が1―2%混入した配合飼料を使っていた。代わりに魚粉や大豆かすなどを使
うことになるが、「魚粉の需要が増えて高騰を招きかねず、農家への負担は避けられ
ない」。
養豚農家でも事情は同じ。全国3位の豚肉生産を誇る茨城県畜産協会では「原料の
イワシの漁獲が減っており、量が確保できるのか心配」と話す。
全国の飼料メーカーには、肉骨粉が混ざった配合飼料の在庫が大量に残されている
が、国は製品化された飼料在庫の焼却費用は一切負担しない方針だ。伊藤忠飼料(東
京)は「豚、鶏用の飼料製造はやめる必要はない」と聞いて、先週まで肉骨粉の配合
を続けてきた。「飼料の肉骨粉は1%に過ぎないのに、無関係の99%も無駄にする
のか」と戸惑う。千葉県内の食肉センターでは先月中旬から、骨や内臓の引き取り手
がなくなり、1日5、6トンを10万円近い費用をかけて毎日焼却している。
一方、関西地方の肉骨粉製造工場では、「脳やせき髄などの危険部位は取り除かれ
てくるので、安全には自信がある」と言うが、食肉の解体が滞って原料が入らず、飼
料メーカーとの契約も断られた。「豚、鶏に使われていると信じていた。落ち度のな
い我々に何で犠牲を強いるのか。農水省に裏切られた思いだ」と言い、近く従業員の
一部の自宅待機に踏み切る。
「飼料メーカーらに与える影響が大きい」として、流通停止に腰が重かった農水省
では、職員が対応に大わらわ。消費者や生産者などからの声を背景に、急きょ、方針
が変更されたとあって、畜産部職員が「肉骨粉の焼却場所も、焼却に伴う国の負担も
いまだに決まっていない」と都道府県などとの連絡に奔走していた。
(2001年10月3日)
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