投稿者 ★阿修羅♪ 日時 2001 年 10 月 02 日 14:19:51:
農水省が1日、国内産と輸入肉骨粉の全面使用禁止を正式に発表し、政府の狂牛病
対策の大枠が出そろった。厚生労働省も生後30カ月以上のすべての牛を検査するこ
とを決めており、武部勤農相は「欧州連合(EU)以上の対策がそろった」と胸を張
った。しかし、肉骨粉にされた感染牛を「焼却した」と発表するなど、不手際が目立
つ国に消費者の不信は強く、「禁止措置が本当に守られるのか」「縦割り行政で責任
をなすり合うのでは」などの声が上がっている。
「可能な限りのスピードで決断した」「肥料としての使用も禁止するので、規制は
欧州よりも厳しくなる」。同日の会見で武部農相は、今回の対策に自信を見せた。
しかし、消費者サイドには、規制が現場で本当に守られるのかという不安が大きい。
和田正江・主婦連合会会長は「実際、牛に与えてはいけないと知りながら、鶏・豚
用の肉骨粉を与えられた牛が2000頭以上もいる。ルールが徹底していることを確
認できるシステムがないと、とても安心などできない」と話す。
農水省は「使用禁止が実際に守られるかどうか確認は必要だが、まだ具体案はない。
これから検討する」(飼料課)としており、農相が強調した対応の「スピード」も心
もとない。
EUの執行機関・欧州委員会では、狂牛病の発生前は、日本と同様に、食肉処理場
に入るまでが農業総局、食肉になった後は消費者政策局と、管理する部局が分かれて
いた。しかし、問題が広がった後の98年、「健康・消費者保護総局」を創設し、肉
の製造・流通・消費を一元的に管理する組織に再編した。
全国消費者団体連絡会の神田敏子さんは「食肉処理場に入るまでは農水省、それ以
後は厚生労働省という縦割り行政は、生産者本位に作られたもので、消費者の立場に
立っていない。縦割りのままでは責任のなすりあいが起きないか。ドイツでも行政組
織は一本化されたと聞いている」と不満を語る。
一方、農水省は肥料やペットフードへの肉骨粉の使用については「基本的に大丈夫。
それまで禁止すると、混乱をきたす」(武部農相)としており、早期に禁止を解除し
たい意向だ。しかし、肉骨粉を含む肥料が牧草地にまかれた際に牛が口にした可能性
を指摘する声もある。
農水省管轄の独立行政法人「動物衛生研究所」(茨城県つくば市)は「量的には極
めて少ないと思われるが、汚染した肉骨粉が草地にまかれ、牛が草を食べた時に摂食
する可能性は否定できない」との見解を表明している。
[毎日新聞10月2日]
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