投稿者 ごろた石 日時 2001 年 12 月 03 日 20:03:03:
゛重要参考人″は代用乳か 狂牛病最前線の研究者 [共同] 2001/12/02
北海道産の二頭に続き、群馬県産の乳牛が国内三頭目の狂牛病と確認された。農水省は感染ルートの解明に力を入れる。プリオンというタンパク質が異常になり脳組織にスポンジのような穴が空き、起立不能など運動異常を起こす狂牛病。国内三カ所にある最終判定機関の一つ、帯広畜産大の堀内基広助教授(公衆衛生学)に狂牛病研究最前線から「なぞ」を整理してもらった。
▽原因は汚染肉骨粉?
北海道の二頭と群馬の一頭に共通する因子として疑われるのは子牛時の「代用乳」などのえさ。堀内助教授は感染源として(1)海外産の汚染肉骨粉(2)国産肉骨粉(3)自然発症―の三つの可能性を挙げるが「もっとも疑わしいのは海外産の輸入肉骨粉の飼料混入」とする。「潜伏期間を考えると、代用乳や離乳食など、子牛時に与えたえさが゛重要参考人″」と絞り込む。
代用乳の成分表に肉骨粉はない。堀内助教授は「代用乳の原料となる獣脂の製造工程などで肉骨粉が紛れ込む可能性はある。えさの入り口管理を徹底し、成分分析が必要」と話すが、飼料中の異常プリオンを検出する技術はまだない。
▽殺さず研究を
異常プリオンは人間が感染牛の危険部位を食べれば、種の壁を超え感染する可能性があるという不思議な存在だが、ウイルスのように接触や飛沫(ひまつ)では感染しない。
堀内助教授は「感染牛が出ると、周辺の牛を処分する手法は伝播(でんぱ)力の強い感染症への発想。欧米では、国が家畜を買い上げて原因究明に当たる。日本でも研究環境の整備を」と訴える。「酪農家に白衣を着た係官が重々しく入り込む図は、生産者への配慮に欠ける」と適切な対応を求める。
▽克服には10年
現在、牛食肉は出荷前に全頭検査され、出口での安全はほぼ確保したとされているが、狂牛病を最終判定する帯広畜産大の要員は増えていない。堀内助教授は「検査員や獣医師を増やしてほしい」と訴える。
日本は、欧州ほど肉骨粉を与える習慣が定着しておらず、今後、感染頭数が、急激に増えることは考えられないというが、堀内助教授は「狂牛病克服には十年単位が必要」と長期的取り組みを強調する。
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