投稿者 ぼうかんしゃ 日時 2001 年 12 月 01 日 00:06:34:
日本獣医学会 牛海綿状脳症(BSE)の現状と問題点(その2)より
#5.3 過去の安全性テストの信憑性:過去に英国その他の国で行われたBSEの牛の体内におけ
#る分布の検査には次の二つの問題が含まれている.第一は,検査は発症した牛の体内のBSE
#のプリオンの分布状態を調査した結果であり,感染後間もなく或いは症状の出る以前のBSE
#プリオンの体内における分布はよくわかっていない.従って,感染実験を繰り返して発病以
#前の牛の材料をもっと多くとり再検査する必要がある.羊にBSEを感染させた実験によると
#BSEプリオンの体内分布状態は,牛の場合とかなり異なっており,血中にもBSEプリオンが発
#見されている(5).一方,最近のイスラエルの研究(6)によるとBSEのプリオンもしくはその断
#片が,発症する以前にも,尿中に排出されることがわかってきた.これは牛の血液中にBSEの
#プリオンがある時期に出ることを意味しており,その濃度(タイター)は低くてもプリオン
#の存在は否定できない.従って今日までの牛の臓器の安全性についての検査結果は再検討す
#る必要性が高い.第二の問題は,今までの安全性のテストはほとんどがマウスに接種して行
#われてきたが,マウスの感受性は牛の感受性に比べ約500分の1であることがわかっているの
#で,陰性でも絶対安全とは言えないものが多く含まれている.しかしながら牛を使ってのBSE
#プリオンの濃度を調べることは,時間と費用がかかるので極めて難しい.新しい検査方法の
#開発が必要である
#5.5 牛の尿中のプリオンの存在:BSEに感染した牛の尿中にBSEプリオンの排出が証明された
#ことは,今後色々な問題が起こってくる可能性がある.第一は,その尿中のプリオンの病原
#性の問題と消毒方法の問題.第二は,尿中にプリオンが存在することは血液中にプリオンが
#存在することを意味するので,感染牛の組織や体液(精液を含む)の安全性が問題となる.
#第三の問題はBSEプリオン(あるいはその断片)が尿中に排出されるとなると,尿中のプリ
#オンの出現の時期について更なる研究が必要である.
#6.4 BSEの予防および治療方法:最近Natureに発表された論文によると,プリオンに結合す
#る抗体(Fab D18抗体)をマウスに接種して,正常プリオンと異常プリオンの接着を防ぐこ
#とができ,異常プリオンの増殖が抑制されたという報告がある(7).また,そのマウスで異
#常プリオンが大幅に減少することもわかった.同じ事がvCJDと診断された患者に試みられ,
#一人は急激な回復を示したことが報告された.同様の抗体を牛や羊に応用できるとすると,
#感染した家畜の治療も可能になるかもしれない.
(http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsvs/bse/bse2.html)
(http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsvs/)
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