<狂牛病>国内で感染広がっている可能性 業界・消費者に動揺(毎日新聞)




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投稿者 えーてる 日時 2001 年 11 月 21 日 13:19:10:

 国内初の狂牛病(牛海綿状脳症)の発生が確認されてから2カ月余。2頭目が21日、北海道で見つかった。厚生労働省と農水省は感染ルートが解明されないまま、全頭検査が始まった10月18日に「安全宣言」を出したが、国内で狂牛病が広がっている可能性も出てきた。狂牛病の影響で食肉業界などはすでに大打撃を受けている。「予想された事態」(厚生労働省)とはいうものの、業界や消費者の間では、改めて不安と動揺が沸き上がるとともに、原因の徹底究明を求める声が噴出した。

 農水省の畜産農家への立ち入り調査では、約8000頭の牛が肉骨粉類を食べていたことが判明し、移動を禁止された。しかし、これは農家の自主申告に基づく調査で、ほかに肉骨粉を食べた牛がいないと確認されたわけではなかった。

 今回の北海道のケースについて、北関東のある酪農業者(33)は「万が一、酪農家が肉骨粉を与えたことを承知で牛を市場に持ちこんだとしたら、消費者の立場をわきまえない無責任な行為だ。2頭目が出たことによる畜産業への打撃は相当ひどいものになる」と怒る。

 ある焼き肉レストランチェーン店幹部(47)は「1頭目が出てから10月半ばごろまで100席の店に半分しか入らない日が続いた。つぶれた同業者も少なくない。ようやく戻り始めた客足がまた遠のくのではないか。もういいかげんにしてほしいですよ」と憤まんやるかたない様子だった。

 また、全国消費者団体連絡会の日和佐信子事務局長は「1頭目は結局、なぜ狂牛病に感染したのかという原因究明に失敗しており、むしろ2頭目が出たことで、原因究明につなげることができる。恐らくは餌が原因だろう。全頭検査が始まり、肉骨粉を牛に与えることも禁止されるなど具体的対策は取られているので、大騒ぎすることはない。2頭目の発生はショックだが、国はこれを機にしっかり究明してほしい」と原因究明の徹底と冷静な対応を求めた。

 環境問題評論家の船瀬俊介さんは「狂牛病の発生はこれまでチェックを怠ってきた行政の責任が大きい。行政による人災だ。専門家の間でも千葉県で1頭目が確認された時点で、他に何百頭もいるだろうというのは共通認識になっていた。国による昨年12月のサーベイランス調査は起立不能の症状のある牛を対象からはずすなど『日本に狂牛病の牛はいない』ことをむりやりに理由付けするために行ったような検査だった。私は狂牛病の牛はすでに食肉市場に流れているとみている。この痛みは国民全体で負うことになる。国は食肉業者など関係者に対する補償を考えるべきだ」と、厳しく指摘した。

 市民団体「安全な食と環境を考えるネットワーク」の伊庭みか子事務局長は「1頭で終わるはずがなく、あり得ることなのでそんなにびっくりはしない。消費者にとって問題なのはどれぐらいの氷山の一角なのかということ。これまで、どこで、どういうふうに、どれぐらいの牛が疑いがあったのか、どういう処理をしてきたのかという情報がない。徹底的な原因究明のため今までの状況をしっかりと報告すべきだ」と語った。

       ◇        ◇

●ウエスタンブロット法

 1次検査の後に行われる精度の高い検査。この検査で「陽性」と判定されれば、確定診断になる。牛の脳組織から採取した検体を電気泳動装置にかけ、狂牛病の原因となる異常プリオンの有無を確認する。1次検査のエライザ法は短時間で終わるが、感受性が高く狂牛病でない牛でも「陽性」と出ることがある。ウエスタンブロット法は微量の異常プリオンでも検出できるが、検査には12〜24時間かかる。

       ◇        ◇

 ◆国内の狂牛病をめぐる主な動き◆

86年       初めて英国で狂牛病報告

96年 3月    英国からの肉骨粉輸入禁止通達

    4月    牛への肉骨粉使用を行政指導で禁止

<01年>

    8月 6日 千葉県白井市の乳牛を千葉県の食肉処理場で処理。起立不能の

          症状を示したため、脳を動物衛生研究所へ送付

      15日 動衛研がプリオニクステストで狂牛病の「陰性」を確認

      24日 千葉県の中央家畜保健衛生所が病理組織学的検査で脳の

          スポンジ状態を確認

    9月 6日 千葉県が組織学的検査用の材料を動衛研に送付

      10日 動衛研の検査陽性。農水省が「千葉県で狂牛病の疑いがある

          牛1頭を発見。牛は焼却」と発表

      12日 千葉県が「牛は焼却されず、肉骨粉に加工された」という

          ファクスを農水省に送る

      14日 農水省が「焼却」を訂正し、肉骨粉に加工されたと認める

      17日 担当課長が千葉県の連絡を24時間以上も放置していたことを

          農水省が陳謝

      18日 牛の検体を英国に発送。農水省が省令で牛への肉骨粉飼料使用・

          製造を禁止

      19日 厚生労働省が生後30カ月以上の牛約100万頭の検査を決定。

          農水省は神経症状のある牛の焼却徹底を通達

      21日 英国の検査で問題の牛を狂牛病と確認

   10月 4日 肉骨粉の輸入・流通を行政指導で全面停止。在庫は焼却処分に

       5日 肉骨粉の規制を検討する農水省の「BSE(狂牛病)対策検討会」

          発足。厚労省が牛の脳など危険部位を使用した加工食品の出荷・

          製造自粛、回収を要請

       7日 武部勤農相、記者会見で「18日にも安全宣言」と発言。

          9日には参院予算委で、坂口力厚労相も同様の発言

      12日 東京都が「狂牛病の疑いのある牛発見」と発表。2次検査で

          「シロ」を確認

      15日 肉骨粉の飼料への使用を全面禁止する飼料安全法に基づく

          改正省令施行

      18日 全頭検査開始。農水、厚労両相が食肉について「安全宣言」

   11月 6日 杉並区の精肉店14店が全頭検査前の在庫牛肉を焼却処分

      21日 北海道で狂牛病の疑いのある2頭目の牛を確認(毎日新聞)
[11月21日12時51分更新]

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