投稿者 付箋 日時 2001 年 11 月 17 日 21:08:29:
「週刊DIAS」 2001/11/19
ヨーロッパ10ヵ国に日本人10万人が長期滞在
献血もできない!
「発症危険国」から帰った人たちの不安
輸血でヤコブ病が感染する危険が・・・
厚生労働省が、狂牛病の感染対策として行っている「献血規制」をご存じだろうか。
'80年以降から現在までに、狂牛病発生数の多い国に6ヵ月以上の長期滞在をしたことがある人からの献血は拒否するというもの。その対象国はイギリス、アイルランド、スイス、スペイン、ドイツ、フランス、ポルトガルの7ヵ国だった。
10月22日、これにベルギー、オランダ、イタリアを加え、対象国を10ヵ国にすることが発表された。
厚生労働省医薬局血液対策謂の林淳一郎・血液安全係長が語る。
「献血拒否の対象者がどれくらいいるかも把握できていません。拒否された方が危険だということではない。これはあくまでも、リスク回避のための予防的措置なのです」
現時点では、輸血などの血液を介しての発症例は報告されていない。
だが昨年10月に、英国研究チームの羊を使った実験で、輸血を通じて感染することが確認さた。人への感染の可能性は否定できない。
「献血できないとは知らなかった。私たちは新型ヤコブ病に感染しているリスクが普通の日本人より高い、そう政府が認定しているということですね・・・」
この春、イタリアから帰国した大手商社の30代男性は深刻な表情で不安を訴える。実際、イタリア・セリエAで活躍する中田英寿選手だって、今回の決定て献血規制の対象者となるわけだ。
こうした不安に脅える人々はどのくらいいるのか。外務省の最近の統計では対象10ヵ国の長期滞在者(3ヵ月以上)は、実に11万133人にも上るのだ(2000年の調査)。
狂牛病と新型ヤコブ病の関係が明らかになったのは'96年になってから。'96年の段階でも10万人を超える人々が対象10ヵ国に長期滞在していた。なかでも最多なのが狂牛病が最も猛威を振るったイギリスの長期滞在者。'96年の段階では現在より5千人以上多い約4万9千人が長期滞在していた。
日本の血液感染対策はまたしても後手後手に
現在までに確認された主な国の狂牛病、新型ヤコブ病の発症数は、▽イギリス=18万1千255頭、人・106人、▽アイルランド=牛・64頭、人・1人、▽フランス=牛・344頭、人・3人などとなっている。
イギリスでは、発症した106人中、すでに100人近くが死亡したという。'89年の段階で脊髄などの危険部位を食用として禁止していたにもかかわらず、今年上半期に発症したのが昨年同期を上回る16人だというから、潜伏期間の長さは今なお不明だ。
献血だけでなく、脳死移植の際もイギリスなど7カ国に長期滞在した人からの臓器提供は見合わせている。白血病の治療に使われる「臍帯(さいたい)血」についても、イギリスに半年以上居住した女性からの採取は拒否される(いずれも'80年以降の滞在者)。
「危険国」からの帰国者には「感染の恐怖」を募らせる措置だが、はたして彼らの献血規制で安全は高まると言えるのだろうか。
厚生労働省担当記者が言う。
「血液で特にリスクが高いのは白血球です。成分採血の段階や医療機関供給前の段階でこの白血球を除去すれば、リスクは確実に低くなる。イギリス、フランス、カナダでは、この保存前白血球除去という方法を2年以上前に導入し、アメリカも導入を予定している。しかし日本では費用がかかることから、予定がないのです。狂牛病発症が報告されていないカナダやアメリカよりも、日本はリスクが高いはずなのですが・・・」
献血規制対象国を欧州全体に広げるべき、厚労省内ではそうした議論も出ている。彼らは日本がすでに狂牛病発症国であることを忘れてしまっているのだろうか。
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