投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 08 日 18:41:11:
基礎化粧品に胎盤エキスは要注意〜誰も書かなかった「狂牛病」汚染度A〜化粧品と医薬品(週刊文春・11/15号)
坂口力、武部勤両大臣による狂牛病「安全宣言」後も、消費者の不安は全く払拭されていない。しかも、日頃、安心して利用しているものにも、狂牛病の恐怖は潜んでいる。中でも警戒するべきは一部の化粧品ならびに医薬品だ。危険度の高い商品を一挙公開する。
日本中を不安に陥れた狂牛病騒動。いくら行政が安全宣言をしても、消費者はまだまだ警戒心をぬぐいきれないでいる。今回の騒ぎで改めて分かったことは、日々の生活のなかで、人間がいかに「牛との関わりが深かったか」ということだ。牛肉や牛乳にとどまらず加工食品にも牛のエキスが多く使われているのは周知の事実となっているが、さらに看過できないのは、骨や皮が栄養剤や医薬品、化粧品の原料にもなっている点だ。
これらのモノすべてに関して、パーフェクトに狂牛病に対する安全性が確保できたとは、とても思えない。そこで、自主防衛をするためにも何が危険なのかを改めて整理しておく必要があるだろう。
厚生労働省では、昨年十二月に、原産国がどこであるかにかかわらず、牛、羊などを原料とする化粧品、医療品などへの、狂牛病伝染のリスクの高い部位の使用禁止を通達。この三月から原料に使えなくなった。使用禁止になった部位は、脳、脊髄、眼、胎盤、リンパ節、回腸、硬膜、肝臓、肺、膵臓など。この策によって、各医薬品・化粧品メーカーでは、豚などで代替する対応策をとっている。
しかし、すでに市場に出回っている製品や、製品化されている在庫については、回収や販売禁止までの措置は、厚生労働省は示さなかった。このため、四月の段階で、自主回収に踏み切るなど、誠意のある対応を見せてくれたのは、ドイツの化粧品メーカーくらいで、ほとんどのメーカーはそのまま販売していたのだ。
今回の国内牛「狂牛病発症」を受け、厚生労働省はようやく今年十月二日に、昨年禁止された原料が含まれている製品に関して、市場に出回っている場合には、それを各メーカーが報告・自主回収する旨を指導した。この指導によってメーカから報告された品目は、厚生労働省の発表によると、十月二十六日時点で、医薬品、医療用具、医薬部外品、化粧品合わせて三千九百三十五品目で、このうち回収に着手している品目は千四百六点となっている。
今回の回収指導は、化粧品メーカー側にはどう受け取られているのだろうか。ある化粧品メーカー社長に聞いた。
「厚生労働省の回収指導で、化粧品業界は、一時パニック状態に陥りました。いま流通している化粧品の三分の一以上は、牛を原料とするもので、とくに骨などから造るゼラチン、コラーゲン類などが多く使われていたのです。しかも、骨には脊髄が含まれている可能性もある。とてもポビュラーな化粧品にも使われていて、よく植物性と表示されているゼリー状の基礎化粧品などでも、香りなど一部に植物が使われているという意味で、大部分が牛の成分で造られている場合が多い。シャンプーに配合されているプロテインも、牛を原料とするものがほとんどです。
実は、どの化粧品も、原料屋と言われる製造メーカーに委託して造られることが多いんですが、今回はその原料屋が化粧品原料を調達できなくなると、かなりあわてていました。そして、製造をストップする商品が相次いだんです。つまり、原料が国内産の牛なのか海外のものなのか、どの部位を使っているか……把握しにくい原料が多かったわけです」
●遅すぎた化粧品の回収指導
実際のところ、化粧品に牛の危険部位が使われていた可能性はどうなのだろう。
「化粧品の原料には、以前は危険部位も使われることがよくあり、眼や脳、脊髄、胸腺、胎盤などから造られる成分もありました。保湿剤でよく使われるグリセリンも牛を原料にしていることが多く、ヒアルロン酸などは培養するときに牛の脳を使ったり、へその緒を使ったりするのです。でも、三月からの通達実施により、牛の内臓や脳、背髄など危険部位を使った化粧品は製造できなくなりました。しかし、生の内臓は食べてもいいのに、肌につける化粧品は禁止という厳しい措置ですから、表向きとは別に納得できないメーカーもあったようです。そういうメーカーは、一月〜三月中に、大量に製品化して販売を続けていたと見られています」(前出・メーカー社長)
そのような状態なら、自主回収を化粧品メーカーに任せても、パーフェクトな安全性とはほど遠いような気がする。
「実際、自主回収に対応できるのは大手メーカーだけですよ。中小メーカーは対応できません。それに、まだ正式に法的規制がなされているわけではないのだから、そういうメーカーは、牛の危険部位が含まれた原料でも、豚に切り換えましたと簡単に廃棄してしまうわけにはいかないのではないでしょうか。その証拠に、美白ブームの火付け役となったプラセンタエキスは、禁止になっても、豚に代えたと言って牛の胎盤を原料としたものが売られていました。今回の厚生労働省の回収指導は遅すぎたのではないでしょうか」(同前)
薬剤師であり、生活評論家として数々の化粧品に関する著書を出版している境野米子氏も、国の対策にいきどおりを感じている。
「自主回収は遅すぎたと言わねばなりません。少なくとも、昨年十二月に通達を出す段階で、回収を指導すべきだったと思います。売ってしまってから回収とは、なんの策にもなっていません」
化粧品大手メーカーにしても、取引先の大半は中小の小売店。厚生労働省は、メーカーからの報告内容をホームページ上に掲載することを検討しているところだが、小売店の返品作業はメーカーの回収リスト頼りだ。しかも小売店によっては、メーカーからリストを提出されていないところもあるという。また、店頭での消費者への対応は、小売店にいっさい任されている。
「回収対象の商品を持ち込まれた場合、すべて返品対応することをメーカーと決めた」という百貨店がある一方で、中小の小売店では「返品や返金に応じる基準がなくて、苦慮している」という声が上がっているのが現状。このような状況をみても、昨年十二月の段階で、しつかりとした対応がなされていなかったのが分かるといえよう。
そして、厚生労働省は十月二十九日に理解しがたい行動をとった。「米国、オーストラリア、インドなど、狂牛病の発生していない国の牛が原料なら、その成分で作った化粧品の在庫分だけは売ってもよい」という結論をまとめたのだ。つまり、脳や脊髄や胎盤などを使った製品すべてを回収指導した十月発表当初の方針から一転して、一部商品は「販売容認」となったのである。その数は、約三千六十品目。これは「肌に塗るだけなら問穫はない」と判断したためだという。
●肌の中にまで浸透する恐怖
販売容認の対象は、保湿剤などに使われる胎盤(プラセンタ)エキスやヒアルロン酸など。ヒアルロン酸は、培養するときの栄養源・培地として脳を使うが、製造工程で百億分の一以下に薄められるという。
プラセンタも、成分が百倍以上薄まり、肌に塗るだけなら危険性は低いとした。
もちろん、新たな製造は今後も認めない。また、同じような成分でも、狂牛病が多数発生している欧州産の牛が原料の約八百三十品目は、引き続き回収を指導する方針には変わりがない。
しかし、一度回収を指導したものに対して、「回収しなくてもよい」というほど、在庫品は安全なのだろうか。
前出の境野米子氏も、その危険性を心配する。
「感染源と思われる肉骨粉などの動物性飼料は、すでに百カ国以上へ輸出されていることは、FAO(国連食糧農業機関)の事務局で指摘されています。いつ、どこの国で新たに発症するかわからない状態なのに、狂牛病が発症していない国のものなら胎盤などの危険部位でも使用を認めるというのは、消費者の安全よりも、業界の意向を重視していることになります。プラセンタエキスに原産国の証明書を付けるのは至難のわざです。チェルノブイリ原発事故の際にも『カナダ産の小麦は実はウクライナ産』だったことがありました。市場にはプラセンタ原液が高値で出回り、朝に晩に一生懸命すりこんでいる人たちがいるのです。その人たちに、狂牛病についてリスクのあるプラセンタを使いつづけさせるのは心配です。また、プラセンタだけでなく、コラーゲンなどについても美容整形外科やエステ、皮膚科などでの施術など、大きな問題も残されたままです」
さらに境野氏は、厚生労働省や狂牛病研究者たちが「肌に塗るだけなら問題はない」と判断していることに疑問を抱いている。
「よく、皮膚からは化学物質は吸収しないか、してもごくわずかで、化粧品は食品と違うという皮膚科医やメーカーがいますが、本当にそうでしょうか。皮膚から吸収されなければ、アレルギーは起きません。アレルギー体質の人が、これだけ数多くいることを考えると、化学物質は皮膚から吸収されていることが分かります。パラベンやサリチル酸など分子量の小さいものほど吸収されやすい。また、皮膚に傷や炎症を起こしている場合も吸収されやすく、さらに化粧品成分に界面活性剤が含まれていると、非常に吸収されやすくなります」
一般的に、健康な肌は、肌の一番表側にあるバリヤーゾーンがしっかりしているため、どんなに高い化粧品を塗っても、その下の表皮や真皮に入れないようにする働きがある。だが、このバリヤーゾーンをなくしてしまう合成界面活性剤が使われている化粧品の場合、肌の中にまで毒が浸透してゆく危険性もある。従って狂牛病の異常型プリオンが入り込んでしまう危険性がゼロとはいえないのだ。そして、出回っている化粧品の約七割には、この合成界面活性剤が使われている。ということは、現在店頭にも、危険性のある商品が一部出回っていると考えて間違いないだろう。
化粧品ばかりでなく、サプリメントや健康ドリンク、漢方薬にも、牛の成分は含まれている。サプリメントを愛用していた東京都世田谷区の今森範子さん(仮名)は、この点でかなりの危険性を感じるという。
「サプリメントのカルシウム剤の成分表示をみると、牛の骨から造られているものが多いんです。グミみたいな錠剤の薬もゼリーが使われていると聞いているので心配。化粧品の成分をメーカーに聞いたときも、多分危険なものは使われていませんみたいな返事でしたが、サプリメントに関しても、こういう返事がきたら、かえって心配になりますね」
厚生労働省がとくに注意を促したサプリメントはメラトニンである。これには睡眠のリズムを調節する効果があり、海外旅行などの時差ボケ解消に飲まれることが多い。日本では、輸入も製造することも禁止されているが、海外旅行のお土産などに買い求める人が多く、日本でも馴染みのあるサプリメントだ。メラトニンは、牛の脳の松果体から抽出されるものが多く、危険部位が原料なのだから、飲むことは避けた方がよいだろう。
こうして調べてみると、やはり狂牛病に関する政府の安全宣言は、鵜呑みにはしないほうがいいということになる。
加工食品も化粧品も、買う前に原材料表示をよく確認して、自分自身で安全対策をとるのが、狂牛病から身を守る第一の方法といえるようだ。
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