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Re:中南米版「ドミノ理論」の適用 投稿者 あっしら 日時 2002 年 4 月 22 日 22:09:14:

(回答先: アジェンデ政権はなぜアメリカの逆鱗に触れたのか 投稿者 デスラー総統 日時 2002 年 4 月 21 日 18:13:48)

経済権益を失う企業の働きかけやイデオロギー上の問題が、アジェンデ政権転覆の直接的な動機や名目になったと思います。

その上で、アジェンデ政権が倒された最大の理由は、アジェンデ政権の成功で中南米諸国にアジェンデ的政権が次々と生まれていくような事態を避けたかったことにあると考えています。

アジェンデ氏は、マルクス経済学者で社会主義者でしたが、共産主義的な政策ではなく現実主義的な政策を掲げていました。
目に見えるかたちや目に見えないかたちでの米国支配を拒否しようとしましたが、米国との経済関係は重視していました。

日本や中国のみならずベトナムや北朝鮮までが対米関係の改善を求めるように、戦後世界で経済的発展を遂げようと考えれば、米国との経済関係の拡大は不可欠です。

ですから、米国は、ことさら「ベトナム戦争」を行わなくても、統一ベトナムを容認し、経済権益を追求することもできたのです。(そうしなかったのは、アジア政策全体のなかで、あの時期がそういう政策を行うのがふさわしくなかったということでしょう)

キッシンジャー氏は、アジェンデ政権の対米自立政策と分配公平化政策が成功して、そのような政策を掲げる政治勢力が中南米諸国を席巻するのを嫌ったのでしょう。

米国の裏庭である中南米諸国の一つ一つと外交交渉を行ってことを進めていくという状況にはしたくないというのが米国政権の本音だと思います。
米国支配層にとって、中南米諸国は経済的利権の収奪先であって、そのためにわざざわお伺いを立てなければならないような状況にはしたくないのです。

米国は、より大きな経済的利益が得られる政権が望ましいと考えていますが、メキシコやアルゼンチンを見てもわかるように、米国支配層の利益に適う政策を採っても長続きはしません。それは米国支配層もわかっているはずで、従属した状態でそれを繰り返せばいいと考えているのでしょう。(儲けられるときに首を突っ込み、危なくなったら手を引いて様子を見るという繰り返しです)

1983年の「グレナダ侵攻」・ペルーの「フジモリ政権転覆」・今回の「チャベス政権転覆劇」も同じ構図だと思います。
米国から自立しようとする政権が存続したりましてや成功することは、中南米諸国にそのような政権の樹立を促すことになります。
グレナダは存続自体を否定され、フジモリ政権やアジェンデ政権は成功を阻止されたと言えるでしょう。
40年も続いている対キューバ経済封鎖も、革命キューバの経済的発展を阻止することで、あんなことをやってもろくなことはないという“生き証人”にするためのものでしょう。


対ヨーロッパや対アジアで手一杯なのに、中南米諸国に対してまで外交努力を傾けなければならないのはたまりませんからね。

これは、国民ひとり一人が考えるようになって統治者=政治権力に対抗するような状況はもっとたまらないということでもあります。

ベトナム戦争当時の「ドミノ理論」と同じ考え方が中南米でも適用されているのではないでしょうか。


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