マンション分譲最大手の大京(本社・東京)と主取引銀行のUFJ銀行は、今年秋にも大京を「マンション会社」と「不動産会社」とに分社化する調整に入る。不動産会社は採算がとれない資産を切り売りするなどして事業規模を大幅に縮小する。
あわせて大京は、事業の再編時に税制上の優遇措置などを得られる産業再生法の適用を、国土交通省に申請する方針だ。UFJなど取引金融機関からの総額4000億円強の金融支援で、1兆円にのぼる有利子負債を圧縮しながら、比較的好調なマンション事業に経営資源を集中し、生き残りを図る考えだ。
分社化の方針は、今月中に大京が取りまとめる02年度からの新しい再建計画に盛り込む。構想では、マンションの分譲や管理を手がける「マンション会社」と、不採算の賃貸ビル、ゴルフ場、ホテル事業などを集めた「不動産会社」とにグループ組織を再編成する。
有利子負債のうち、7000億円程度を抱える不動産会社については、賃貸ビル、賃貸マンション、ホテル事業などのなかで、将来的にも高い収益を得られない物件と、比較的収益を得られそうな物件とに分類する。その上で採算がとれない物件は、早急に売却するなどして、事業規模を大幅に縮小する。
あわせて、不動産部門を中心に、金融機関が債権放棄(借金の棒引き)を軸に金融支援する。UFJ銀行は当初、3000億円規模の支援を模索していたが、これを4000億円規模に上積みする方向になっている。産業再生法の方針に沿って合理化を円滑に進めると同時に、再建計画の透明性を示して市場からの支持を得る狙いもある。
金融支援を含めた再建策について大京は、前向きに検討することを7日、UFJ側に伝えた。
大京は、「ライオンズマンション」などを年間9000戸強供給している。ここ数年の都市圏を中心としたマンションブームで、同部門は好調を維持しており、マンション分譲を中心に稼いだ年間200億円強の営業利益を、不動産部門の過剰債務の返済原資にあてている状況だ。分社化後は、マンション会社について他社との提携なども模索するとみられる。