投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2000 年 9 月 07 日 15:49:41:
(AP)
米国南西部に住んでいた米国先住民が、人肉を食べていたことがこれまでの調査でわかった。コロラド州の発掘現場に残された人糞や調理用具から人間のたんぱく質の一種が検出されたことから、調査団らは略奪者が住民を惨殺した上で食べたのだろう、と話してる。また炉端(ろばた)から人糞が発見されたことについては、「死者への侮辱では」と話している。
コロラド大学健康科学センターの生物学者、リチャード・マーラー氏が率いた調査の結果は、7日発売のネイチャー誌に掲載された。
マーラー氏によれば、コロラド州ドローレス近郊の通称「カーボーイ・ワォッシュ」と呼ばれる、アナサジ族の遺跡から発掘された遺物に各種のテストを行ったところ、人糞や調理用鍋から人間のたんぱく質の一種が検出された。マーラー氏は、「何者かが人肉を食べた証拠。人肉を食べなければこの種のたんぱく質は検出されない」としている。3つの穴型住居から成る「カーボーイ・ワォッシュ」は1150年頃のものと推定される。
最初にずたずたになった死体7体が発掘されたのは1994年のこと。骨は肉が削ぎ落とされ、焼かれ、骨髄まで取り除かれた形跡があった。頭蓋骨は焼かれ後で割られていた。炉の中には乾燥した人糞のかけらが残っていた。
専門家らは発見当初から、7人は何者かに惨殺された後食べられたものと推測していたが、これまではそれを確定できる証拠はなかった。1997年、マーラー氏が生物学的な証拠を捜し当てる、と名乗りを上げ、各種の科学テストを行ってきた。
いけにえ説、悪魔説なども浮上
人類学者らも、たんぱく質の検出は人肉を食べたことを裏付けるもの、としている。しかし、人肉が常食だったのか、何らかの儀式のためだったのかは明らかでない。
これらの人々は何故食べられたのかについては、様々な推測がされている。発見当時は、「戦争捕虜が、いけにえとして殺された」との見方が強かった。また、「犠牲者(原住民)が惨殺され、死体は悪魔として焼かれたが、食べられたわけではないだろう」と主張する専門家もいた。
人糞は侮辱のため?
しかし、今回の調査結果から「略奪者による先住民の殺害」という新しいシナリオが浮かび上がってきた。調査に加わったノースカロライナ大学の文化人類学者ブライアン・ビルマン氏によれば、この地域は1150年頃は干ばつに見舞われ、社会秩序が荒廃していた。同氏は、略奪者がカーボーイ・ウォッシュを襲い、住民を殺した上で食べたのだろう、と話している。
それでは何故、炉端から人糞が発見されたのか?ビルマン氏は「死者を侮辱するためだろう」と話している。
アナサジ族は、700年頃から1300年頃まで現在はコロラド州、アリゾナ州、ニューメキシコ州、ユタ州となっている米国南西部に住んでいた。道路や儀式用建築物を作り、とうもろこしを育て、近隣で狩猟をして暮らしていたが、深刻な干ばつの影響などで文化は1300年頃までに衰退したという。アナサジ文化の実態については、謎に包まれている部分が多いという。
マーラー氏によれば、別のアナサジ族の集落で発掘された人糞からは、人間のたんぱく質は検出されなかった。
人肉調査には反対の声も
今回の調査については、現在米国南西部に拠点を持つホピ族などから反対の声が上がっていた。しかし、ウテ族のリーダーで発掘調査を監督したテリー・ナイト氏は、「どの文明にも生産的でよい人間と悪い人間がいる」とした上で、調査結果がアナサジ文化の理解を深めればと期待している、と述べた。
「アメリカ先住民の文化は多くの部族から成る複雑なものなのに、単純化して語られることが多い」とナイト氏は話している。