投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2000 年 9 月 07 日 13:24:12:
物質に質量を与える未知の粒子であるヒッグス粒子の存在を示す、これまでで最も信頼度の高い実験結果が、スイス・ジュネーブにある欧州合同原子核研究機関(CERN)で得られた。ヒッグス粒子は標準理論が予測する基本的な粒子のうちで、最後の未発見粒子。なお観測が必要だが、その存在が確かめられれば、素粒子物理学の大きな飛躍につながりそうだ。
この結果は5日、同機関内の研究会で明らかにされた。研究に加わっている川本辰男・東大素粒子物理国際研究センター助教授によると、CERNにある電子陽電子衝突型加速器LEPで行われている4つの実験のうちの1つで、今年になって、ヒッグス粒子が存在したらしい現象が数回観測された。
4つの実験データを総合すると、ヒッグス粒子が存在しないにもかかわらずこのような現象がこれだけ観測される確率は1%程度であるという。もし存在したと仮定すると、その質量は1140億電子ボルト前後になるという。
川本さんは、「これまでもヒッグス粒子が存在したらしい現象は観測されているが、今回のような高い信頼度で観測されたのは初めてだ。科学的に確定するにはまだデータが必要だが、期待のもてる結果だ」と話している。
ヒッグス粒子は、英国の物理学者P・W・ヒッグスが1964年に提唱した。標準理論では質量がないはずの粒子に質量があるのは、「真空を満たすヒッグス粒子の抵抗で動きにくくなり、質量があるように見えるため」と説明した。
CERNは、今回の観測をしたLEPを今年10月1日に閉鎖し、跡地のトンネルに次世代の強力な観測機器を建設する予定だった。今回の成果を確認するために、LEPの実験を数カ月延長させるかどうか、CERNとしての意思決定が迫られそうだ。
(13:06)