その「統一」疑問視発言(陳水扁総統記者会見)

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投稿者 御楯弾正少弼 日時 2000 年 9 月 06 日 01:07:37:

回答先: 陳水扁総統の「統一」疑問視発言は「危険だ」と中国 (朝日) 投稿者 御楯弾正少弼 日時 2000 年 9 月 06 日 01:04:53:


8月28日陳水扁総統第三回記者会見(抄)

 八月二十八日(総統府大礼堂にて)陳水扁総統は台風被害のため予
定を一日切り上げ、八月二十五日に中米、西アフリカ六カ国訪問から
帰国し、同二十八日に帰国報告を兼ね総統府において国政全般にわた
る第三回記者会見をおこなった。

【総統談話】

(前略)

●国際協力の意義

 国旗や国歌の重要性についてだが、五月二十日にアーメイの先導で
多くの人が国歌を斉唱し、最後には熱気を帯びた大合唱となった。こ
のとき多くの人が涙を禁じ得なかっただろうと思う。本来、中華民国
国歌とはこのように歌い、このように聴くものだ。数十年来、多くの
人はわが国の国歌がかくも重要で、かくもすばらしいものであるかを
認識していなかった。今回、友好国の元首と観閲台で相手国の音楽隊
が中華民国国歌を演奏するのを聴き、感動に耐えなかった。このと
き、国家の重要性、国家が認められることの重要性、国家の国際社会
における重要性が感じられたからだ。

 今回の外遊は、国家の主権を明確にし、友好国との関係を強化する
以外に、台湾が立ち上がるためのものでもあった。われわれは世界を
見る必要があり、世界もまた中華民国を見つめ、台湾二千三百万人民
が数十年にわたって成し遂げた民主と経済の繁栄を認識するよう働き
かける必要がある。人道に関心を持ち人道支援によって世界に出るこ
とがわれわれの責任であり、特権でもある。他の人を助けるというこ
とは、これは責任ではなく一種の特権なのだ。
(中略)
 ありがとうございました。今後とも皆さんのご叱正を請う。

 [質疑応答]

問:総統の外遊中、国内では、国家統一委員会(以下「国統会」)主任
委員の兼任問題に関し大きな論議が巻起こった。同委員会の設置要綱
には、総統が主委を兼任すると明記されている。兼任するかどうかは
別にして、総統は現在この問題をどう考えているのか。陳哲男・総統
府秘書長代理は、「国家統一綱領(以下「国統綱領」)は九一年に制定
されたもので修正が必要」と考えているが、あなたの考えはどうか。
また将来、国統会と超党派小組の職責や機能をいかに区分するのか
(聯合報・王時斎)。

答:国統会と国統綱領に関する問題への関心に感謝したい。五月二十
日の就任式で公に宣言したように、中国(共)が台湾に武力を発動する
意図を持たないかぎり、国統会や国統綱領を廃止するという問題は生
じない。この宣言には今も変更はない。われわれはこの問題を避ける
ことなく話し合うべきだが、一部にこの問題に対する誤解があるた
め、私はこの機会を借りて、そうした誤解を解きたいと思う。

 たとえば、ある人は国統会を国家最高の両岸政策決定機関で、両岸
政策を最終的に決定する機関のごとく認識している。実際には、国統
会は一つの任務があって編成された総統の諮問機関であって、超党派
小組や人権諮問小組などのように、いずれも総統の諮問機関なのだ。
また、多くの人が国統会を神聖化し、一種の踏み込めない聖域になっ
てしまっているが、同委員会の設置要綱を見ると、総統が九〇年に行
政命令として決定し、九三年、九五年、九七年に三度にわたり修正が
加えられている。このように国統会の設置要綱はこれまでに三回修正
されており、決して手がつけられないものではないのだ。国統会委員
の任期は一年であり、現在その任期はすでに満期となっている。当然
もし存続させるなら、委員の新たな任命が必要となる。設置要綱が廃
止されず、条文が修正されないかぎり、同要綱第二条の規定によれ
ば、主任委員は総統が兼任することになっており、これは事実だ。し
かしながら、同じように総統の諮問機関であっても、超党派小組の責
任者は李遠哲・中央研究院主任委員であり、人権諮問小組と科学技術
諮問小組の召集人(委員長)は呂秀蓮副総統が務め、類似の諮問機
関、委員会、小組も、かならずしも総統の兼任を必要としているわけ
ではない。よって、私は、国統会主任委員を兼任すべきかどうかにつ
いて先入観も偏見もなく、各方面の意見を聞きたいと思っている。

 目下積極的に推進している超党派小組はまもなく第一回会議を開催
するが、私は当然これに出席し、メンバーを励まし支持を表明したい
と思う。国統会の設置要綱の第一条には、「総統は自由民主の原則下
に国家統一を加速し、国家統一の大方針に関する研究ならびに諮問を
任務としてグループを編成し、国家統一委員会を設置する」と明記さ
れているが、現実はこの通りだろうか。国家統一の政策目標は自由民
主の原則下におこなうというが、これは国民の了解と多数の支持を得
られているのだろうか。これまで論議されたことがあっただろうか。
さまざまな批判があるならば、一歩進んだ論議が必要であろう。

 国家の位置付け、両岸関係、台湾の前途について、目下国内には多
くの異なる意見があり、互いに目指す方向がまったく違うことすらあ
る。民主国家の総統として、私は各方面の貴重な意見を聞かないわけ
にはいかない。よって、超党派小組は、ボトムアップ方式によって、
両岸関係や台湾の未来、国家の位置付け、出身別の問題などに関し
て、与野党のコンセンサス、国民全体のコンセンサスを形成すること
を求めるものである。当面の急務は、超党派小組を効果的な運営であ
り、私は、李遠哲院長が超党派小組の責任者を務めることを支持す
る。私はここで国民の皆さんや各党派に対し、全力で超党派小組を支
持するよう呼びかけたい。超党派小組はまだスタートしていないとい
うのに、これを脇に置いておいて、何かと問題の多い国統会に回帰し
ようというのだろうか。われわれが正視すべき問題はたくさんある。
たとえば、旧政権は本当に国統綱領や国統会の規定に従っていたのだ
ろうか。私に言わせれば、さまざまなことがあまりにも神聖化され、
聖域となってしまっているが、実際には、重要なのは国統会でも国統
綱領でもなく、実質的な問題においてわれわれはどうすべきか、とい
うことなのだ。多くの人が中国大陸に赴き、上海や北京に行って中国
(共)の指導者と両岸関係について論じ合っているとき、なぜ国内では
逆に、握手し和解してともに国是を論じ合い、両岸問題における与野
党のコンセンサスについて話し合うことができないのだろうか。まさ
か国内は、中国(共)や中南海より重要ではないとでも言うのだろう
か。各党各派が既成観念を捨てるよう望みたい。国是を論じ合うの
は、権利であるばかりでなく、義務と責 任でもあるのだ。
(中略)
問: 前政権は、民主を前提に中国大陸との統一を望むと言っていた
が、総統は、統一はひとつの選択にすぎないと表明した。これは、統
一しないこともありうるという意味なのか(AP電・Marcos Calo
Median)。

答:五月二十日の就任演説のなかでも語ったように、私は、海峡両岸
の指導者がともに知恵と創意をもち、民主・対等の原則のもとすでに
ある基礎の上にともに将来の「一つの中国」の問題を処理することを
望んでいる。よって、将来の海峡両岸の変化や方向性は、台湾の前途
も含め、台湾住民の自由意思と選択を尊重しなければならない、と考
えている。言い換えれば、いかなる国家も政府も政党も個人も、台湾
の二千三百万の住民に代わって、台湾住民の同意なしに一方的に台湾
の未来を決定することはできないのだ。

 クリントン大統領を含めた米国政府は、民主・共和両党の大統領候
補指名党大会で通過した政策綱領にもあるように、「両岸問題の解決
には、最終的には台湾住民の同意が必要であり、台湾住民の願望を尊
重しなければならない」としている。このため、私はさきほどとく
に、国統会設置要綱第一条の「設置の目的は国家統一を加速するた
め」という部分が、いわゆる自由、民主の原則に本当に合致している
のか、と指摘したのだ。国家統一は、台湾住民の自由意思による選択
なのだろうか。国家統一は、台湾二千三百万住民が民主的手続きを経
て得た最終決定なのか。

 民主、自由、人権などは、普遍的な価値観であり、いかなる国家も
政府も政党も個人も、これに逆らうことはできない。台湾の新しい指
導者として、また中華民国の総統として、私は、国内のコンセンサス
を集め、全国民的なコンセンサスを形成しなければならないのだ。わ
れわれは、立場も結論もあらかじめ設けない。あらゆる選択が可能で
あるが、台湾二千三百万住民の自由意思の最終的な選択と決定を尊重
してこそ、自由と民主の原則に合致するのだ。

問:総統はさきほど、台湾は両岸政策において国内のコンセンサスを
得るのが困難だと言われた。最近、中国(共)「副総理」銭其シンが、
「一つの中国の原則」に新たな解釈をおこない、その二つ目は「大陸
と台湾は一つの中国に属する」というものだったが、総統はこれにど
う対応するのか。また銭はどのようなシグナルを台湾に送ろうとして
いるのだろうか(公共テレビ・廖錦桂)。

答:注意してほしいのは、中国(共)の重要人物が談話を発表した時、
われわれは、いったいどれが真実で、どれが最終決定で、どれが政府
の見解なのかを見極めるのは非常に困難だということだ。台湾の訪中
(共)団に対する談話も、かれらの公式文書やプレスリリースの中には
取り上げられていないことが多く、どこまで信用できるのかは疑問
だ。

 また、多くの国際メディアやシンクタンク、専門家が指摘している
ように、中国(共)の指導者層は、あきらかに両岸問題に関する談話に
内外の区別」があり、台湾住民に対する発言と国際社会に対する発
言にはかなり違いがある。中国(共)のいわゆる「一つの中国の原則」
の定義に変更があったというが、世界中の約百六十カ国が中国(共)と
正式な外交関係を持ち、その国交締結文書にはくりかえし「一つの中
国の原則」が唱えられ、われわれが最近手に入れた情報でも、中国
(共)は今なお、いわゆる「一つの中国」は「中華人民共和国」を指
す、と見なしている。もし、台湾と大陸がともに中国の一部であり、
「一つの中国」が「中華人民共和国」を指し、中華人民共和国が中国
の唯一の合法政府であるということに変更がないのなら、かれらの政
策にも変更などないはずだ。一方だけの言い分を聞いたり、相手によ
って言うことを変えるというのなら、我々がそれを真実だと信じるの
は、はなはだ危険と言わざるを得ないだろう。

 双方が、誠意、創意、知恵をもって「対話・交流・争点にこだわら
ず」という精神に則って、交渉の席について話し合うことができれ
ば、両岸関係は改善され、双方が受け入れ可能な定義を探ることがで
きるだろう。「一つの中国」の内容については、いかなる国家も政党
も個人も、一方的に決定することはできないはずだ。これは、双方が
席について話し合うべき問題であり、双方ともに受け入れ可能なもの
こそ、真の意味での最終決定なのだ。もし、一方的に相手に押し付け
るなら、民主、自由および対等の原則に合致しない。しかし、われわ
れはそれでも、両岸双方が受け入れ可能な定義を探ろうという、中国
(共)の指導者の努力をに対しては、評価したい。
(中略)
問:総統はさきほど、両岸関係について、その前途は全台湾住民の意
思を尊重すべきだと言われたが、いかなる方法で台湾住民の意思を理
解すべきだと考えるか。また、三大政党(民進党、国民党、親民党)
の円卓会議および超党派小組においてこの問題を論議すると言われた
が、とくに超党派小組は一部の政党が非協力的な状況にあり、これら
二つの組織におけるコンセンサスが国民のコンセンサスを代表すると
考えてよいのだろうか。また、この二つの組織の結論が異なる場合、
国民投票によって住民のコンセンサスを探ることは実行可能な方式だ
と考えるか(台湾テレビ・汪用和)。

答: 昨日見たある世論調査では、八〇%以上が国連加盟を望んでい
た。こうした台湾住民の意思は、もちろん中国(共)にとっては喜ばし
くないことだ。かれらは、台湾が国連を含めた国際組織に参加する可
能性を封鎖してくるかもしれない。その世論調査では、七〜八〇%の
人が、将来どういう方向に進むかにかぎらず現状維持を望んでいる。
しかし、大陸は、わが方になおも「一つの中国の原則」の受けいれを
迫り、台湾を中華人民共和国の一部とし、「一国二制度」を受け入れ
させ、第二の香港やマカオにしようとしている。これは明らかに、大
多数の台湾住民の意思に反している。

 われわれにとって慰めとなるのは、米国では民主党、共和党にかか
わらず、とくにクリントン大統領が、くりかえし「両岸問題の解決に
は台湾住民の同意が必要」と表明していることだ。世論調査で台湾住
民の大多数が大陸の一部になることを望んでいないことは一つの事実
であって、米国政府や国民が台湾住民に受け入れを強制したわけでは
ない。私は今回の外遊で米国を通過したが、米国政府とクリントン大
統領を代表して、われわれを歓迎したリチャード・ブッシュ米国在台
協会理事長も、 米国政府が新政権の両岸関係政策に高く評価し支持し
ていることを伝えてくれた。われわれは、両岸関係は現在悪化してお
らず、今後知恵や創意を用いて現状打破と改善が可能だと考えてい
る。しかし、これはわが方が一方的にできることではない。今回の私
の外遊期間中、中国(共)が北戴河会議や軍事演習などにおいてある程
度の抑制をおこなったのも、かれらの一種のシグナルと考えてよいだ
ろう。われわれはプラス面からこれを見たいと思う。
(後略)





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