投稿者 記事転載 日時 2000 年 9 月 04 日 22:08:45:
エレーナ・ポポワ作
鳥かご
でまどの上に、鳥かごがおいてありました。だれも、その鳥かごが、鳥かごであることをいやがって、入ってくる鳥たちを、いつもにがしてやっていたなどとは、思いもしませんでした。あさ早く、まだ、みんながねているころ、鳥かごが
、小まどに目くばせをすると、小まどはかんぬきの音をさせ、まどを少しひらきます。そして、鳥かごが細いてつのわくをひろげてやると、鳥がひらりととび出していく、というわけです。
ある時、鳥かごに青いおうむが入れられました。夜明けに、鳥かごは、いつものように、ほそいてつのわくを広げてやりました。ところが、おうむがよくねむっていたので、鳥かごは、おうむのつかまっていたとまり木をゆすって、
「ねえ! おきなさいよ!」 と、よびかけました。
「そとは、あさよ。もう、とんでいく時間でしょ」
「なんで、おい出そうとするんだ」
鳥かごは、聞きまちがえたのだと思い、小まどは、いつもより大きな音をたてました。
「じゆうにとんでいきなさいよ! 空へ!」
「ふん! なにをたべたり、のんだりしろと言うんだ。 ここのほうがずっといい。えさはじゅうぶんにあるし、きれいな水に、ビタミンまで……」
「でも、鳥かごの中じゃないの」
「それがどうした?」
「ねえ、あんた、なにかわかる?」 と、鳥かごは、小まどに聞きました。
「わたしには、とってもかしこいおうむに思えるわ」と、小まどはこたえました。
時がながれ、青いおうむは、いつまでもしずかに、のんびりと、くらしていました。
鳥かごはすっかり考えこんでしまいました。
「つまり、鳥たちをにがしてやるひつようなどなかったということなの? 鳥たちにとっては、じゆうなほうがよくないというわけなの?」
鳥かごは、がっかりしてしまいました。
ところが、ある時、おうむをだれかにあげることになり、かわりに、すずめが入ってきました。
とびらがしまるなり、すずめはさけびました。
「なんていやな鳥かごなんだ! 今すぐ、ここから出してくれ」
すずめは、ほそいてつわくにとびつき、底をくちばしでつつき始め、水やえさの入ったようきをひっくりかえしてしまいました。
「しずかに、しずかに。ここのくらしが気にいるさ。まあ、みててごらん。」 そう言って、鳥かごがすずめをおちつかせようとしましたが、すずめは、さわぎをやめようとはしませんでした。
「じゆうになりたい! じゆうになりたい……」
「おばかさんだね」
鳥かごは、すずめに言い聞かせようとしました。
「そとは、つめたい雨がふり、さすような風のふく秋じゃないの……。しかも、いじのわるいからすたちに、パンのかけらさえ、取られてしまうんでしょ」
「からすがなんだ?!風がどうした?!そとにはじゆうがあるのさ!」
「こんどは、なにかわかったかい?」 と、鳥かごは、小まどに聞きました。
小まどが、まどをいっぱいにあけながら。
「このすずめは、あまりあたまが良くないと思うわ。」と、こたえました。
ためいきをついてから、鳥かごは、ほそいてつのわくを広げました。すずめは、うれしそうにさえずると、あっという間に、まどの外へとびだしていきました。
しばらくしてから、鳥かごは、小まどに言いました。
「なぜだか、わたしには、あまりかしこくないすずめのほうが気にいったよ」
[ソビエト婦人・日本語版 '90年8月号より]
☆コメント
鳥かごは、何のこと?小窓は?
青いおうむ?すずめは暴動を?もしや、一種の体制批判か?
インプラントチップ世界支配絡みで、何かの暗示をほのめかしたのか?
それとも、これはおまえの人生観か?
…というような、
何かメッセージを込めたつもりは特にないです^^;)
この雑誌は、「ソビエト婦人委員会と全ソ労組中央評議会の社会・政治・文芸月刊誌(1945創刊)」だそうです。
ですが、どうやってこの雑誌を入手したのかの記憶が、
どうしても取り戻せないのです。
俺の過去はどこに消えた?
ともかく、おうむを外に出して自由に放っぽらかしておくと、
そのうちきっとまた、何かやらかしそうな予感が…
☆下の投稿「こういう病院でも営業を続けられる国、日本」で取り上げたリンク先「青春を返せ裁判」掲示板を、やはり訂正しておきます。
謹んでお詫び申し上げます。