投稿者 倉田佳典 日時 2000 年 9 月 04 日 19:21:10:
消えた曼荼羅、大物国士が衝撃証言
「許永中がだまし取り借金の穴埋めに」
日蓮宗の大本山・本圀寺(ほんこくじ)=京都市山科区=から数年前に消えた曼陀羅(まんだら)。先日、夕刊フジでは「闇社会のフィクサー、許永中被告の手にわたっていた」と伝えたが、その後の取材で「国士」と形容されるある人物が「現在、どこにあるかわかっている!」と衝撃の新証言。さらに、この曼陀羅にかかわった意外な大物の名前も…。
「あれは平成7年ごろだったか、元横綱と後援会長がここに(曼陀羅を)持ってきて、広げた」
こう振り返るのは、世界空手道団体連合の「朝堂院大覚総裁」なる人物だ。本名は松浦良右氏。“ミニ・ロッキード事件”と言われたナミレイ事件で逮捕された過去がある一方、自民党の有力議員らと親交を結び、表社会やアングラ社会で一目置かれる存在だ。
朝堂院氏は「そのころ、私は創価学会に貸しがあったから、学会と交渉してくれないかということだった。(池田大作名誉会長の懐刀とされた)藤井富雄氏(都議)に学会が買う意志があるか調べさせたところ、学会側の返事は『まったくない』だった」。
大石寺とも交渉したというが、当時、交渉役を務めた弁護士によると、「5億円で契約寸前まで行ったが、ご破算になった」。結局、その後、「こんなものはさばけないと、元横綱の後援会長にお返しした」(朝堂院氏)。
元横綱は「(朝堂院氏に)会ったことは事実だが、後援会長に連れられ、同席しただけ」と説明。後援会長は「名古屋の知人に頼まれ、総裁のところに持っていった。ただ、京都府警から『盗品ではないが、かかわらないほうがいい』と言われ、名古屋に返した。その後はわからない」。
夕刊フジの取材では、その後、曼陀羅は許永中被告が所有。「平成8年秋か9年初めに、許被告から曼陀羅を見せられた」と証言する関係者もいる。また、「許被告と親しい大物政治家周辺が日蓮宗側に水面下で『20億円の謝礼を』と接触してきた」との情報もある。一体、どのようにして許被告の手にわたったのか。
朝堂院氏が話す。
「名古屋から銀座の住吉会系の暴力団が買い取った。5−7億円前後だったようが、許永中のハッタリにひっかかってしまった。永中は元首相や野党党首、自民党実力者らの名前を出し、『創価学会に40億円以上で売る話がついている』とウソをついた。暴力団は販売を依頼、曼陀羅を永中に預けたが、そのままだましとられてしまった」。
しばらくしてから、この暴力団側から相談を受けたが、「曼陀羅の件なら、すでに手を引いている」と断ったという。
さて、曼陀羅の行方は、いまはどこに? 「キョート・ファイナンスにある。間違いない」と朝堂院氏は断言した。石橋産業から179億円もの手形をだまし取ったとして詐欺の罪に問われている石橋産業事件の公判で、許被告が新井組などの株券を担保に使ってキョート・ファイナンスから資金を引き出し、自らの負債処理にあてていたことがわかっている。「曼陀羅も、引き出した資金の穴埋めに使った」(朝堂院氏)というのだ。
だが、キョート・ファイナンスは「一度も預かっていない。曼陀羅なんか知らない」(総務部)と否定している。
【曼陀羅紛失ミステリー】京都の本圀寺からなくなった曼陀羅は、日蓮が自ら書いたと伝えられる真筆の「若宮御本尊」、「切箔(きりはく)御本尊」、「夕顔御本尊」の3点。日蓮宗の信者は曼陀羅を「御本尊」と呼び、信仰の対象としている。日蓮真筆の曼陀羅は236点しかなく、美術ブローカーの間では「30億円」の闇値がついたことも。
紛失した事実が明るみに出たのは4年半前。寺側は「盗難」と主張しているが、「京都府警は困っていた。結局、盗難か紛失か判然としない」(関係者)。「貫首と親しかった最上恒産の早坂太吉会長(当時)が持ち出した」という声もある。全国の日蓮宗寺院を統括する日蓮宗宗務院(東京都大田区)が中心になって死に物狂いで捜索してきたが、「いまも所在はつかめていない」という。