投稿者 隠遁者 日時 2000 年 9 月 04 日 02:44:52:
9月3日深夜の総合テレビ『NHKアーカイブス』で、1971年10月29日に放送された『私の国益論(1)』という番組が再放送されました。各界を代表する人物が「国益」という言葉に対してさまざまな視点からコメントするという、現在から見てもユニークな番組でしたが、この番組に、当時参議院議員だった石原慎太郎が出演し、「国益」に対する考えを述べていました。以下はその全文反訳です。
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私が考える国益とは、できれば全体の、しかしまあ大多数のですね、日本人が絶対にこれだけは守りたいというものをですね、まず守ることだと思うんです。それは私は、日本人が非常に多くの犠牲を払って獲得した自由だと思います。そしてそれを高め、維持するために、経済として私たちは資本主義というものに多くのですね、社会主義からの利点を取り入れた現在の自由主義経済をとっているわけで、まあ、主に国際関係の中でうんぬんされる国益は経済の問題、政治の問題ですけども、いずれにしても経済にしろ政治にしろ、私たちのこの自由主義、自由というものをですね、維持し、高めていくために措置されるべきだと私は思います。
それから、まあ、いったい誰が国益を決めるかということですが、これはやはり国民が決める。しかし、現在の議会制民主主義の中では、国民によって委託され選ばれた政治家なり政府というものがそれを行わざるを得ない。しかしそこに問題があるんで、現在の日本の政治というのはだいたい官僚がやってる。官僚というものは、長期の展望を持つ能力がほとんどない。ものを歴史的に眺めてですね、ものを本質的に解明し反省するという、そういう能力がないから、結局日本の、経済政策に限らず、すべての政治というものが場当たりになってしまって、実はその結果、例えば日中関係を見ても日米関係を見ても、日本人の、つまり自立性を持った自主性を持った自由、つまりその自由のうえに我々が持つべきプライドというものが、現在の日本の政治――これは与野党を含めてですけども――政治によってはですね、非常に守られる可能性が少なくなってきたという気が私はいたします。
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この人の発言は、30年前からそれほど変化していないように私には思えますけれど、今と違ってケレン味がないだけ好感が持てますな(苦笑)。