投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 9 月 03 日 15:59:16:
アインシュタインの特殊相対性理論は一部成り立たないのではないか――。そんな疑問が日本での宇宙線の観測データから浮上し、日米英露など十六か国が建設している国際宇宙ステーションに、宇宙線用の望遠鏡を載せ、高精度の観測で真偽を確かめることになった。理論とのこのズレを初めて予測した日本物理学会前会長の佐藤文隆・京都大教授は、「ほころびのなかった相対論が、もし破れているなら、物理学と宇宙論を根底から書き換える事態になる」と話している。
発端は、東京大宇宙線研究所が、一九九〇年ごろから、山梨県明野村の観測機器で、極めて高いエネルギーを持つ宇宙線を何回も観測したこと。宇宙線は、光速(秒速三十万キロ)に近い速度で飛ぶ陽子などの粒子で、常に地球に飛来しているが、飛び抜けてエネルギーが高かった。
このため、飛来源探しが課題となったが、こうした超高エネルギーの宇宙線を発生させる巨大ブラックホールなどは、地球から一億光年以内の距離にない。ところが、特殊相対性理論によると、一億光年以上離れたところからは、こうした超高エネルギーの粒子は、届かないはずだった。
宇宙には、宇宙誕生のビッグバン(大爆発)の名残とされる宇宙背景放射と呼ばれる電磁波が満ちているためで、理論通りなら、超高エネルギーの粒子は、この宇宙背景放射と反応してなくなってしまう。
発端となった観測結果が正しければ、超高エネルギーの宇宙線は、特殊相対性理論が予測するこの反応を起こさないことになり、理論が破たんするという。ただ、未知の発生源がある可能性なども残る。
国際宇宙ステーションでの観測は、これを確かめる目的。欧州宇宙機関(ESA)と日本が提案した。宇宙線を捕らえる望遠鏡を積み込んで、二〇〇五年予定の運用開始後、宇宙の広い範囲を観測し、超高エネルギー宇宙線の発生源や粒子の種類を特定する。
(9月3日03:02)