投稿者 9/2 朝日 日時 2000 年 9 月 03 日 08:38:53:
NMD先送り 背景に日中関係の緊張懸念も
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バーガー米大統領補佐官(国家安全保障担当)は1日、かりに米本土ミサイル防衛(NMD)の配備を決めていた場合、中国の核軍拡が、インドやパキスタンだけでなく、日本の行動にも影響を与える恐れがあった、との考えを示した。中国の反応が南アジアの核拡散に及ぼす波紋だけでなく、中国の核軍拡に伴う日中関係の緊張も、大統領のNMDの配備先送り決定の背景にあったことをうかがわせる発言といえる。
米国の情報機関はこれまで、中国がNMDに対抗して核戦力の近代化に拍車をかける結果、中国を脅威とみるインド、インドと対立するパキスタンがドミノ倒しのように核軍拡に走る恐れがある、と指摘していた。米政府高官が、NMDがもたらしかねない「軍拡競争シナリオ」を日本も明示して説明したのは初めて。
バーガー氏は、大統領の決定を受けた記者会見で、「NMDの影響として懸念されていたことのひとつが、アジア情勢だ。中国はすでに、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の増強計画を持っている。だが、NMDに対抗して、計画を加速することは考えられないことではない。その場合、インド、さらに、パキスタンや日本などにも影響を与えうる」と語った。
補佐官はそのうえで、「将来、NMDの迎撃技術が整った時、米国の大統領は、NMDによって米国の安全が強化されることと、他国のこうした否定的な反応とを比べ、それでも米国の安全の方が重要だ、という点の結論を出さなければならない」と指摘した。