投稿者 9/2 朝日 日時 2000 年 9 月 02 日 09:07:25:
クリントン米大統領、NMD配備の先送りを発表
クリントン米大統領は1日、ワシントン市内の大学で
講演し、米本土ミサイル防衛(NMD)を配備するかど
うかの決定は来年1月に発足する次の政権にゆだねる方
針を発表した。飛んでくるミサイルを迎撃体で撃ち落と
すNMD構想には、ロシアや中国が強く反対、米国内で
も度重なる実験の失敗で慎重論が高まっていた。大統領
は、NMD配備の第1段階に位置づけられていた高性能
レーダー建設着手も断念した。これに伴い、国防総省が
掲げていた2005年のNMD第1陣の配備目標がずれ
込むことが確実となった。
米政府はNMDの実験は今後も続ける方針だが、年内
に予定されていた次の発射実験も年明けに延期される。
大統領は、6日からニューヨークの国連本部で始まるミ
レニアム・サミットで、プーチン・ロシア大統領と会談
することになっており、今回の決定を伝える意向だ。
大統領は、2回のミサイル撃ち落としの実験が失敗し
たことにふれ、「全体的な技術はまだ証明されていな
い。もっと厳しい条件で、さらに多くの実験をしなけれ
ばならない」と指摘。迎撃技術に「確信」を持てない限
り、計画を進めるべきではない、と語った。
◇
大統領は演説で、全土を覆うNMDの配備を制限して
いるABM制限条約について、「冷戦が終わり、ロシア
はもはや我々の敵ではない。だが、まだ、真の同盟国で
もない。だから、(ABM制限条約による)戦略的安定
は相互の信頼を強めるものだ」と述べた。この点は、海
上の迎撃体配備も含む大がかりなNMDの導入のために
は、ロシアとのABM制限条約交渉が決裂すれば、条約
離脱も辞さない、とする共和党陣営に対する反論にもな
っている。
大統領は、NMDを必要とする根拠として、これまで
強調してきた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の長距
離弾道ミサイルの脅威に関連して、「北朝鮮はいまだに
ミサイル能力を保っているものの、南北朝鮮の首脳会談
や、ミサイル実験を凍結したことはいい動きだ。その真
意はまだ不透明だが、我々としても追求する価値のある
ものだ」と述べた。