投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 8 月 23 日 21:12:04:
日本債券信用銀行がソフトバンク、東京海上火災、オリックスの3社連合に9月1日付で譲渡されることが決まった。金融再生委員会の大アマ査定により1兆2000億円もの不良債権を抱えたまま譲渡されることが判明し3社連合への不信感が高まっていた。しかし、再生委と3社連合は22日の協議で、「瑕疵(かし)担保条項」に基づき、これらの不良債権に損失が発生した場合は国が買い戻すことを再確認したのだ。
再生委は25日に日債銀処理に3兆2000億円の公的資金を投入し3社連合に譲渡することを正式決定するが、買い戻しにより国民負担がさらに膨らむのは確実。公的資金の当初投入額を見かけ上少なくし、不良債権は後でこっそり買い戻すという“デタラメ譲渡”なのである。
日債銀の譲渡は当初、8月1日付で実施される予定だった。しかし、そごう倒産をきっかけに、譲渡後3年以内に貸出債権の価値が2割以上目減りした場合、国が買い戻すという「瑕疵担保条項」に対する批判が噴出し、譲渡の一カ月延期が決定。その後、条項の見直しは行わないものの、政府・与党の幹部から「条項の運用を厳格化する」との発言が相次いだ。
ところが、再生委が、本来なら整理回収機構に売却すべき不良債権(不適資産)のうち1兆2000億円を「適資産」と認定していたことが判明したのだ。
このため、3社連合は「われわれは目隠しをされたたまま、譲渡を受けるようなもの」(3社連合幹部)と反発。巨額の不良債権を押し付けられた上、条項の運用が厳格化されれば、「ハシゴをはずされた」(同)も同然だ。
一方の再生委側としても、これまで「条項があるのだから、損はしない。目をつぶって引き受けてほしい」と主張してきた手前、いまさら、運用の厳格化など言い出せるはずもない。
22日の協議で両者は「契約に基づき、条項を合理的に運用する」ことを再確認したが、完全な“デキレース”なのだ。
瑕疵担保は、ゼネコンなど日債銀の融資先企業を救済するのが最大の目的。しかし、これらの問題企業が立ち直る可能性は小さく、倒産などにより買い戻しが相次ぐのは確実だ。結局、その損失は新たな国民負担で穴埋めされることになり、その額は「最悪の場合、1兆2000億円のうち引当金でカバーされていない7000億円にも上る」(金融筋)といわれているのである。