投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 8 月 20 日 14:47:26:
ロシア原子力潜水艦クルスクの沈没事故で、ロシア軍高官が19日、公式に乗組員絶望の見通しを言明したことは、発足して約100日のプーチン政権に大きな打撃となることは間違いない。米欧への救援要請の遅れをはじめ、今回の危機対応のまずさは、大統領の指導力への深刻な不信を招くことは必至だ。急きょ、黒海沿岸の保養地から大統領がモスクワに戻ってようやく事態を認めたことも、ソ連時代からの責任回避体質がロシア政権になお色濃く残ることを浮き彫りにした。
事故発生以来、ロシア指導部の混乱ぶりは日に日にひどくなった。発生日時がなかなか確定できなかったことに加え、事故の様子や乗組員からの通信の有無など、重要な情報がさくそうした。軍という特殊組織で起きた事故とはいえ、政権中枢に危機管理の体制が整っていないことを示した形だ。
ロシア国内でも、その背景に責任回避体質があることが指摘され、「クルスク事故絡みでは、どんな小さなことでもボスの許可を求めようとしている」(ロシア紙)と、救出に集中できない組織の欠陥への非難が相次いだ。結局、19日未明に首都に戻った大統領が指揮をとって初めて、情報は集約され、事態が正確に評価されたと見られる。
「強い国家」を掲げ、就任以来、順調に政権を運営してきたプーチン氏だが、軍の再建、近代化を優先課題の一つとして強調してきただけに、今回、露呈された組織的欠陥、指導体制の混乱は深刻だ。
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