アメリカの核戦争計画〜共同電〜関連記事まとめ。

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投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 8 月 20 日 00:11:42:

▼米犠牲は最大1億5千万人 核戦争1日で停戦想定(華盛頓19日共同)

東西冷戦下の一九六三年十一月、米国家安全保障会議(NSC)がソ連との核戦争のシナリオともいえる最高機密文書「ソ連との戦争における管理と終結」(七十九ページ)を作成、核戦争は開始後一日で停戦が実現するが、米国の犠牲者は最大で一億五千万人に上ると予測していたことが十九日までに分かった。
停戦後ソ連に衛星国を自由化させ、北方領土を日本に返還させることもシナリオには盛り込んでいる。
米民間シンクタンク「国家安全保障公文書館」のウィリアム・バー研究員ら東西冷戦研究チームが米国立公文書館から機密指定を解除された同文書を入手した。
NSC小委員会レベルの「戦争シミュレーション」ではあるが、米国が核を先制使用する状況を開戦から停戦まで詳細に描いており、現在に至る米核戦略の「源流」を生々しく伝える内容だ。
文書は当時のレオン・ジョンソン空軍大将ら国防総省、中央情報局(CIA)などのスタッフ十八人が作成。(1)ソ連の不意打ち核攻撃(2)不意打ちを事前に察した米国の核先制使用―などの設定ごとに核ミサイル発射時間を含む戦争の詳細を十五分刻みで予測。(1)の場合、当時人口が約一億九千万だった米国の犠牲者は「三千万―一億五千万人、産業の破壊は三―七割」とし、(2)の核先制使用の方が損害は小さいと指摘している。
核戦争では「米国が受け入れられる形で停戦に持ち込む」ことが最大の課題とし、(1)(2)のケースとも一日で停戦が実現するシナリオを描いている。米国による核戦争後の世界管理、ソ連解体にも言及している。
また、地域紛争拡大のシナリオの中では、沖縄の米軍基地に対する中国の攻撃を防ぐため、中国に対しての戦略核使用を示唆する記述もある。

▼核戦争シナリオの内容(華盛頓19日共同)

米国家安全保障会議が作成した「ソ連との戦争における管理と終結」の主な内容は以下の通り。

▽問題点、提言など

ソ連との核戦争における最大の課題は、米国が受け入れられる形の停戦に持ち込み、米国と同盟国、さらに敵国の犠牲者を最小にすることだ。
ソ連の不意打ち攻撃で核戦争が始まった場合の米国の犠牲者は、有効な弾道弾迎撃ミサイル(ABM)をいかに配備できるかによるが、三千万人―一億五千万人に及ぶ。不意打ちを事前に察して米国が核を先制使用した場合の同犠牲者数はこれより少ない。
ソ連の無条件降伏は考えにくいが、ソ連が米国の都市部に核攻撃を行った場合は戦後、経済を生存ぎりぎりにまで追いやる。ソ連の衛星国を自由化し、バルト三国を独立させ、北方領土を日本に返還させる。
今、核戦争が起きれば米国とソ連との間の通信は不可能になり、不必要に戦争を長引かせる。新しい通信システムの構築が必要だ。
米国は常に最悪の戦争に備えねばならない。米国が必要なすべての武力を使わないかもしれないとの思いをソ連指導者に抱かせてはならない。

▽戦争A(ソ連不意打ちのシナリオ)            

経済危機に陥ったソ連指導者が急進主義者の意見を聞き、共産主義国家として歴史的使命を果たすには、一度、欧米諸国などを核戦争によって破壊しなければならないと決断。欧州、アラスカなどへの核ミサイル攻撃で始まり、二十四時間後に停戦。停戦時点で米軍の残存戦力はソ連より大きい。(詳細略)

▽戦争B(米の核先制使用のシナリオ)           

戦争Aのような攻撃をソ連が準備しているとの決定的な情報を米国が戦争回避を願うソ連高官から入手、ワシントン時間の午前八時に他の証拠とともに確認。
午前九時 大統領はソ連指導部と直接連絡を取り、攻撃中止を要求。
午前九時―正午 ソ連は戦争の意思などないと発表し、米国を非難。国連緊急安保理開催を求める。
正午―午後三時 西側の偵察でソ連の攻撃準備続行を確認。
午後三時半 米大統領が核ミサイル発射を命令。目標はソ連の戦略核ミサイル基地。
午後四時 最初の米核ミサイル発射。            
午後四時半 ソ連が報復の核ミサイル発射。
午後五時十五分 ソ連の報復が米産業都市部を含む全面的なものと判明。大統領は新たな報復としてソ連産業都市部への核攻撃を命令。この時点でソ連衛星国からの単独停戦の申し出があればこれを受ける。
午後七時 ソ連と米国が停戦で合意、翌日午前零時をもって停戦発効。講和条約は結ばない。

▽戦争C(地域紛争拡大のシナリオ)            

例1 イタリア北部を共産党が支配の場合(略)。      
例2 中国などがタイを共産化、東南アジア全域を支配下に置こうとした場合。
米軍は空軍力で共産勢力駆逐を支援。核の使用はこの段階では避ける。東洋の国に対して米国が安易に核を使用するとの印象は与えない。
共産勢力の駆逐が十分に進まない場合、中国への戦術核使用が現実味を帯びる。中国軍による台湾、沖縄、韓国の米軍基地への攻撃を防ぐためには、中国の軍事目標を戦略核で攻撃する。

▼冷戦思考の枠組み消えず(19日共同)

米シンクタンク「日本政策研究所」のチャルマーズ・ジョンソン所長の話 米民主、共和両党の党綱領はアジア外交に関し、米本土ミサイル防衛(NMD)配備や日本などとの戦域ミサイル防衛(TMD)開発でのニュアンスの差こそあれ、沖縄問題や激変した朝鮮半島の現状への評価に欠け、依然、冷戦時代の(思考の)枠組みだ。米外交は結局、欧州重視。特に共和党の外交ブレーンは米国にとって経済、安保上の課題である東アジアの問題を理解していない。

▼ジョンソン政権にも継承(19日共同)

国務省スタッフとして当時、文書作成にかかわった軍縮問題専門家のジェームズ・グッドビイ氏(70)の話 いったん起きた核戦争を、どう終わらせるかの実際的研究がないということで、当時のウォルト・ロストウ国務省政策企画局長の指示を受けて文書作成にかかわった。完成まで約半年間かかった。直後に暗殺されたケネディ大統領は文書を読んでいないと思うが、ロストウ局長は後のジョンソン政権で安全保障担当の大統領特別補佐官になっており、文書が示した提言などは同政権に継承されたと考えている。

▼ABMに言及 インターネットの発想も(華盛頓19日共同)

政府が一九六三年に作成した機密文書「ソ連との戦争における管理と終結」には、核戦争時の米犠牲者を最小限にするための手段として、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)に関する記述が既に存在するなど、現在の米国の安全保障に受け継がれている構想が数多く現れている。
また、同文書が提言している核戦争に耐えうる「新しい通信システムの構築」とは、インターネットを生んだ発想でもある。
軍縮問題専門家で、当時、国務省スタッフとして文書作成にかかわったジェームズ・グッドビイ氏は米国のABM研究について「五○年代のアイゼンハワー政権で始まり、ケネディ政権が受け継いだ」と 指摘する。
しかし、現在の米本土ミサイル防衛(NMD)の迎撃実験が重ねて失敗していることでも明らかなように「弾を弾で撃ち落とす」というABMの技術的困難さの前に米政府は一時研究を断念。再び研究が本格化するのは、ソ連のABM配備が判明した六○年代後半だった。その後、研究はレーガン政権の戦略防衛構想(SDI)、さらにNMDへと「進化」を続ける。
一方、核戦争に備えて中央制御型を避け、米国防総省高等研究計画局(DARPA)が後のインターネット誕生につながった分散型コンピューター通信網を構築したのは六九年。文書の提言を受けたものであるとすれば、その最大の目的は核戦争時のソ連や同盟国との通信確保であり、速やかな停戦交渉のためだったことになる。

▼核戦争後の国家存続探る キューバ危機の翌年作成【ワシントン19日共同=石山永一郎】

米国家安全保障会議(NSC)が作成した「ソ連との戦争における管理と終結」は、キューバ危機の翌年という今世紀最も米ソ核戦争の現実性が高まった時代を背景に、核戦争後の米国家存続の道を探る内容となっている。
文書の日付は十一月十五日で、くしくもケネディ大統領暗殺の七日前。小委員会レベルの作成でもあり、同大統領が目を通さなかった可能性も高いが、現在に至るまで米政府が更新し続けているとみられる核戦略の「源流」をうかがわせる中身でもある。
文書を入手した「国家安全保障公文書館」のウィリアム・バー研究員は「(想定される)核戦争の詳細が描かれている点で非常に貴重な文書」と指摘する。
しかし「一日で停戦」というこの楽観的ともいえるシナリオ通りに進む根拠は明確でなく、仮にシナリオ通りであっても最大で当時の米人口の八割以上の「一億五千万人」が犠牲になる破局がそこにはある。
冷戦崩壊後、米国の核戦略は大幅な見直しが進められたが、一九九八年にドイツのフィッシャー外相が北大西洋条約機構(NATO)の「核先制使用放棄」を提案した際、米国は反対を表明。現在に至るまで先制使用の可能性を「抑止力」に組み込んでいる。
その先制使用の状況が具体的に描かれている点でも文書の内容は「極めて興味深い」(バー研究員)ものだ。



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