暴力的なビデオゲームを好む子供は言葉づかいが攻撃的になる

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投稿者 佐藤雅彦 日時 2000 年 8 月 19 日 10:16:18:

   ビデオゲームの有害効果


●ロイター保健ニュースに先日、興味深い報告が載っていました。 それによれば、“暴力的なゲーム”を好む子供は言葉遣いが攻撃的になるらしい。 ただし、短時間そうしたゲームで遊んだくらいでは影響が全然出ないらしい。
  このニュース記事には、はっきりと書かれていないが、例えば子供には元々“相手に攻撃的に接する傾向”というものがあって――昨今の通俗科学では「遺伝的な攻撃行動傾向」とかいう“遺伝行動学的”宿命説を持ち出すのが流行ですが胎内環境や出産後に経験した後天的要因による“攻撃性の助長”が大きな役割を果たしていることは充分に考えられます――子供に潜んでいたそうした傾向が“暴力的ビデオゲーム”によって刺激されてオモテに出てくることだってありうるだろう、とのこと。 (主人公のファンク博士は、そうした可能性に着目しているようです。)


●小規模な実験を通じて得た観察結果なので、ここに報じられている知見を安易に一般化して「暴力的なビデオゲームをすると暴力的性格になる」と決めつけるわけには行かないでしょう。 しかし、実際問題として、ヴァーチャル世界で展開される格闘対戦型ロール・プレイング・ゲームに刺激されて、「本物の人間に試したらどうなるか」が知りたくて身の回りの弱者(幼児・老人・ホームレス・いじめられっ子など)を実験台にして過激な暴力を振るう事件が続出しているわけで、ビデオゲームの影響を軽視するわけにも、いかないでしょう。

●けれども、子供の「攻撃的な言語行動の元凶」を探すなら、ビデオゲーム以前に、夫婦喧嘩などで親が発する罵声、子供を叱る罵声、さらに最近のキャラクター絵本の登場人物たちの“まともじゃない言葉づかい”など、問題にすべきことは山ほどある。

●もっと言えば、じゃ大人は“暴力的なメディア”を見て模倣しないのか?……という問題だって、重大だ。 テレビのサスペンス劇場では、保険金殺人みたいなネタのオンパレードだけど、こういうのって公共の電波使って放映していいのか、って思いますね。 サスペンス劇場が特にお好きなのはテレビ朝日だけれども、そういう番組の後でニュースステーションなんかを見せられると――そして毒にも薬にもならないエラそうなお座なりコメントなんぞを聞かされると――「この偽善者め」と思ってしまうわけです。
   (たとえば「青少年の性犯罪を助長する恐れがある」とイタズラに恐れてエロ本を規制するのなら、「中高年の保険金殺人を助長する恐れがある」から生命保険は禁じたらどうでしょうかね。 マイカーユーザーが毎年数千人からの人間を実際に殺しているわけですから、医者にしか使用や所持を許していない麻薬のように、自動車も一般人には禁制品にしたらどうでしょうかね。 ……もちろんできるわきゃネエさ。 政府の巨大利権の巣なんだから。)

●もっともっと重大な、「子供に見せてはいけないメディア」がある。 それは嘘つきがエラそうなことをいって周囲がヘイヘイと御拝聴するフジテレビの『報道2001』みたいなジジイ番組。
  偉くなったらウソをついてもいい、と社会が教えるのは“最悪の社会教育”ですからね。
 

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●出典:
http://news.lycos.com/headlines/Health/article.asp?docid=RTHEALTH-AGGRESSION&date=20000809

    
 暴力的なビデオゲームを好む子供は言葉づかいが攻撃的になる

    2000年8月9日水曜日、ジョウン・ヘンドリー記者)

 ワシントン発(ロイター保健ニュース)

  暴力的なビデオゲームの方が好きな子供たちは、実際の対人関係の中でも“言葉の暴力”を露[あら]わにする傾向が強い――月曜日に全米心理学会(APA)の第108回年次大会で、こんな研究成果が発表された。 ただし、暴力場面への接触時間が短い場合には、このような有害作用は現われないようだ。

  オハイオ州トレド大学のジャンヌ・B・ファンク博士らの研究チームは、35人の子供を被験者に用いて、男の子には“男の子”らしく、女の子には“女の子”らしい態度で相手に対して攻撃的または共感的な反応を返さねばならないような14種類の演劇的場面を設定し、子供たちがどのような言語的反応をするのか、分析を試みた。 この調査で用いたのは年齢8〜12歳の子供たちである。

  これらの子供たちに2種類のコンピュータ・ゲーム――“暴力的なゲーム”と“暴力的でないゲーム”――のいずれかを15分間行なわせたあと、14種類の対人場面でどう反応するかを観察した。

  ファンク博士がロイター保健ニュースに語ったところによれば、子供たち――男児25人と女児10人――が見せた反応は、“暴力的なゲーム”と“暴力的でないゲーム”を行なった後では「共感的反応の場合も、攻撃的反応の場合も、まったく変わりがなかった」という。 つまり“暴力的なゲーム”で短時間遊んだだけでは、ゲームの影響が子供に出ることはなかった、と彼女は言う。

  だが安心ばかりもしていられない。 ファンク博士の研究チームは、子供たちに「家で遊ぶときの“お気に入りのゲーム”を3つあげて下さい」と訊[たず]ねたところ、「暴力的なゲームを“お気に入りのゲーム”だと答えた子供たちのほうが、統計的にはっきり差がでるほど、“攻撃的行動”の評点が高かった」ことが判明したというのだ。

  「ここから判るのは、“暴力的ゲームを好む傾向”と“攻撃的な言葉で相手に接する傾向”とは長期的視野から見れば相関があるかもしれない、ということです」とファンクは語る。

  しかしファンク博士は、ゲーム遊びをする前から子供自身に何らかの行動傾向がすでに出来ていて、“暴力的なビデオゲーム”に一定時間接するよりも そうした傾向のほうが攻撃的行動が現われるうえで大きな役割を果たしていると考えている。 つまり彼女から見れば、暴力的ゲームを好む傾向と攻撃的な言語行動とに「長期的相関が見られるという兆候」が見つかったことで、この考え方は若干の裏付けが取れたと考えている。


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