投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 8 月 15 日 23:06:44:
【ロンドン14日=野口裕之】
欧州委員会は十四日、英国・イングランド南部地方産の生きた豚とその精液の輸出を禁止すると発表した。「豚熱病」と呼ばれる豚特有の伝染病のためで、禁輸には豚肉や他の地方産の豚は含まれない。仏農業水産省では早々と輸入禁止措置を公表しており、「狂牛病」に続いて新たな英仏間の“食料戦争”に発展しかねないと懸念する声も出ている。
禁輸措置は今月三十一日までで、二十二日には同委員会によって判定会議が開かれ、延長か否かが決定される。英家畜業界は既に、該当する一万頭を処分。英農漁業食糧省では人体への影響については否定したうえで、「根絶に向け全力を挙げているが、オランダなどでも同じ症例がある」と、沈静化に躍起だ。豚熱病は豚が発熱・伝染し、場合によっては死ぬ疾病。フランスをはじめオランダ、ベルギー、ドイツ、スペインなどが次々と輸入禁止措置を実施した。
英政府筋では「仏農業団体が輸入禁止を政府に働き掛けている」などと、特にフランスに対して強く警戒感を示している。
欧州委員会は九六年三月、狂牛病の恐れから英国産牛肉に対し、同じように禁輸措置を実施した。ところが昨年八月、同委員会が安全性を確認、禁輸措置を解除した後も、仏政府は「疑問が残る」として、これを拒絶した経緯がある。
このため反発した英大手スーパーが仏産のチーズやパン、果物を店頭から撤去。一部のレストランもこれにならう反仏キャンペーンが吹き荒れた。一方、仏農家も英産品が入らないようトラクターで英仏海峡トンネルの出口封鎖を試みるなど、英仏両国の官民を巻き込んだ対立が一時、エスカレートした。