投稿者 7/20 朝日 日時 2000 年 8 月 11 日 03:22:57:
朝ロ首脳、共同宣言に調印 NMD反対で足並み
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を訪問したロシア
のプーチン大統領は19日夜に朝鮮労働党の金正日総書
記との首脳会談を終え、共同宣言に調印した。20日に
発表された共同宣言は、アジア太平洋地域への戦域ミサ
イル防衛(TMD)配備を「地域の安定と安全を損な
う」と警告、さらに「弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制
限条約を修正する口実としてのミサイル脅威には根拠が
ない」とし、米本土ミサイル防衛(NMD)への反対で
も足並みをそろえた。また、会談後に大統領は、北朝鮮
のミサイル開発問題について「平和目的であり、もし他
国が宇宙探査用のロケットを提供するならそれを使う用
意がある」と金総書記が会談で語った、と述べた。条件
次第でミサイル開発を断念する可能性に言及したものと
みられる。
大統領は、20日午前に平壌にある旧ソ連軍の解放記
念塔に献花をした後、順安空港からロシア極東のブラゴ
ベシチェンスクに出発した。金総書記は、大統領の宿舎
の百花園迎賓館を訪れて大統領の車に同乗し、専用機の
タラップまで大統領を送った。総書記は大統領からのロ
シア訪問要請を受諾した。
ロシア公共テレビなどによると、金総書記との会談
後、プーチン大統領はミサイル開発に関する総書記の発
言について「ロシアだけでなく、北朝鮮のミサイルの脅
威を主張する国が、そうした脅威を最小にするために北
朝鮮にロケットを提供すべきだ」と述べ、北朝鮮のミサ
イルの脅威を理由にNMDを開発している米国を中心に
対応すべきだとの考えを示した。
さらに大統領は、「朝鮮半島情勢の改善には、ロシア
の努力だけでは不完全で、南北朝鮮と米中日が情勢の改
善過程を支持する必要がある」とも指摘した。
共同宣言も、「北朝鮮のミサイル開発計画はだれも脅
かさず、純粋に平和的性格を帯びる」と強調した。アジ
ア太平洋地域へのTMD配備反対やABM条約維持の必
要のほか、「人道主義干渉」を口実にした内政干渉に反
対して「多極的世界」の創設も主張しており、大統領が
北朝鮮訪問に先立つ中国訪問で江沢民国家主席と出した
共同声明と同様に、米国を強くけん制する内容となっ
た。
大統領は、21日からの九州・沖縄サミット(主要国
首脳会議)時の米ロ首脳会談でクリントン大統領にNM
Dへの反対を改めて伝えるうえで、極めて強い足がかり
を得た形だ。(21:02)
平壌でのプーチン大統領発言要旨
ロシア公共テレビなどによると、プーチン・ロシア大
統領が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日総書
記と19日に会談後、記者団に語った発言の要旨は次の
通り。
1、ロ朝共同宣言には(1)国連憲章の順守(2)内
政不干渉と主権の尊重、国際法の順守の原則のもとで国
際問題の解決で共同の態度を取ることなどを盛り込ん
だ。
1、真剣な性格の協議の後で、金総書記は北朝鮮のロ
ケット開発は完全に平和的なものであり、もし他国が宇
宙探査用のロケットを提供するならそれをのみ使う用意
があると語った。
1、ロシアだけでなく、北朝鮮のミサイルの脅威を主
張する国が、そうした脅威を最小にするためにロケット
を提供すべきだ。
1、ロシアは朝鮮半島情勢の改善に努力する用意があ
る。だが、ロシアの努力だけでは不完全で、南北朝鮮と
米中日が改善過程を支持する必要がある。