投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2000 年 7 月 14 日 21:23:10:
政府税制調査会(首相の諮問機関、会長・加藤寛千葉商科大学長)は14日、税制の中期答申を森喜朗首相に提出した。答申は、多額の国債を発行して負担を将来世代に先送りしている現在の財政運営に危機感を示し、全体として増税の必要性を強く示唆している。個別の税目については、「所得課税の減税はすでに限界」「法人税率の引き下げの余地はない」などと指摘した。ただ、どの税を、いつ、どの程度引き上げるべきか、といった具体的な提言にまでは踏み込んでおらず、政府が行革や歳出削減を含め財政再建の道筋を示すことを促す形となった。
中期答申は、政府税調が3年に1度程度まとめる税制改革に向けた提言で、今回は「わが国税制の現状と課題――21世紀に向けた国民の参加と選択」との表題がつけられた。
総論で、財政の現状について「経済成長に伴う税収増のみでは、現在の巨額の歳出・歳入ギャップを大きく改善させることは困難」とし、財政再建には増税が避けられない、との認識を示した。また、「国民皆が広く公平に負担を分かち合うことが重要」とし、所得税などの課税最低限の引き下げや、消費税率引き上げなど、幅広い層に負担増を求める必要性を遠回しな表現で示した。
ただ、各論では、ほとんどが問題点を指摘するにとどまった。総選挙で民主党が引き下げを主張した所得税の課税最低限については「あまり高いことは望ましくない」とし、配偶者控除や配偶者特別控除、給与所得控除などの見直しの必要性を指摘した。
消費税については、「5%という水準は先進諸国の中で最も低い」と指摘。しかし、どこまでの増税が必要かなどについては具体的に触れていない。消費税率を引き上げた場合でも、「極力、単一税率の長所が維持されることが望ましい」とし、食料品などへの軽減税率の適用には慎重な見解を示した。
来年度税制改正で焦点の1つとなる相続税は「より広い範囲に課税していくという方向で検討することが必要」とする一方、最高税率(現行70%)は「引き下げる方向で考えることが適当」とした。所得税の最高税率(住民税と合わせて50%)と同じ水準への引き下げは「慎重な検討が必要」として、60%程度への引き下げを示唆した。
都道府県の法人事業税への外形標準課税の導入については「景気の状況等を踏まえつつ、早期に導入を図ることが必要」とした。
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