投稿者 明星 日時 2000 年 7 月 11 日 20:06:14:
倉田さんへ
これでしょうか?
昨日の配信分らしいです。
そごう血税投入に重大疑惑
国の買い取り決定に正当な理由なし
そごうの税金救済をめぐる“重大な疑義”が浮上している。国が新生銀行(旧日本長期信用銀行)のそごう向け債権約2000億円を買い取り、うち970億円を放棄するのだが、国の買い取り決定には「実は正当な理由がない」(金融当局筋)というのだ。はなから救済ありきで、無理筋を通した疑いが濃厚なのである。今月17、18両日には国会で、そごう問題の集中審議が開かれるが、野党だけでなく、与党内でも批判が高まっており、救済策が全面的に見直される可能性も出てきた。
「世間では、国による債権放棄に批判が集まっているが、そもそも、その前段である買い取りに大きな問題がある」と、語るのはある金融当局筋だ。
金融再生委員会と預金保険機構は先月30日、新生銀のそごう向け債権の買い取りと債権放棄を決定した。買い取りは、一時国有化されていた旧長銀が今年2月、米国のリップルウッド・ホールディングスに売却された際に結ばれた契約に基づく措置である。
契約には売却後3年以内に2割以上の価値下落があった債権は国が買い戻すという「瑕疵(かし)担保条項」が盛り込まれている。つまり、買い取りには、新生銀のそごう向け債権の価値が2割以上下落したことが厳密に証明されなければならない。だが、その証明が極めてあいまいなのだ。
前出の金融当局筋が解説する。
「そごうが、新生銀に対し970億円の債権放棄を要請したことによって、その分、債権の価値が下落したということにはならない。なぜなら、そごう向け債権2000億円には約1000億円の引当金が積んである。これは長銀の損失処理の際に投入された4兆5000億円の公的資金の一部。仮に、新生銀が放棄に応じても、引当金を取り崩せばいいだけで、新たな損失、つまり、価値の下落は発生しない。引当金でカバーされていない残り1000億円の債権の価値が2割以上下落したかどうかが、ポイントになる」
債権放棄の要請だけで、買い取りを決めることはできない。仮にそごうが法的整理(事実上の倒産)という事態になれば、残り1000億円の債権の大半が損失となるため、当然、買い取りの条件は満たされる。だが、そごうは法的整理にはなっていない。
そこで、再生委は強引にある買い取り理由をひねり出した。
その理由とは、「そごうの債権放棄要請に、一部取引先銀行が応じないことから経営再建の見通しがたたなくなった。この結果、債権回収に支障をきたす恐れが出てきたため、新生銀は残り1000億円の債権について、新たに200億円以上の引当金を積む必要が生じた。これは、債権の価値が2割以上下落したことを意味する」(再生委関係者)というものだ。
極めて巧妙なレトリックだが、再生委が主張する理由には大問題がある。債権放棄要請に応じない「一部取引先銀行」とは、新生銀そのものなのである。
「自らが債権放棄を拒否し、その結果、債権の価値が下落したという“ふざけた理屈”がどうして通るのか。再生委の買い取り決定は、まやかしのインチキ以外の何物でもない。債権放棄によってそごうを救済することが先に決まり、買い取り理由は後から取って付けたというのがミエミエだ」(有力金融アナリスト)
再生委の債権放棄決定に対しては、「税金で一企業を救済するもの」と、与野党から厳しい批判の声が上がっている。
特に、自民党内では亀井静香・政調会長が「経営者の責任や銀行のモラルを厳しく追及すべき」と指摘しており、そごうの水島広雄・前会長の私財提供に加え、メーンバンクである日本興業銀行の責任問題が今後の焦点となるのは必至だ。さらに加藤紘一・元幹事長は「どの企業が例外として債権放棄の対象となるのか、基準が納得いかない。白紙に戻して、党で再検討を加えるべきだ」などと述べており、救済策の全面的な見直しに発展する可能性も出てきた。
もっとも、債権放棄の大前提である国による買い取りに正当性がないということになれば、放棄そのものが成り立たなくなる。果たして、再生委はこの大問題にどう答えるつもりなのだろうか。