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大手広告代理店「電通」(東京都中央区)の社員で自殺した大嶋一郎さん(当時24)の両親が「自殺は会社が長時間労働をさせたことによる過労が原因だ」として電通に約1億6300万円の損害賠償を求めた訴訟の和解が23日、東京高裁(奥山興悦裁判長)で成立した。
この訴訟では、二審・同高裁判決が一郎さんや両親にも原因があったとして賠償額を3割減らした部分を今年3月に最高裁が破棄し、審理を差し戻していた。双方は、会社側の責任を全面的に認めた一審・東京地裁判決の賠償額に利息分などを加えた1億6800万円余を電通側が支払うことで合意した。
和解のなかで電通側は「今回の事件を深く反省し、今後労務管理の徹底と健康管理の充実を行い、不幸な出来事が2度と起こらないよう努力する」などと陳謝した。過労自殺をめぐる訴訟で、企業側が責任を全面的に認める形で和解が成立したのは初めてで、遺族側は「全面勝利の内容」と評価している。1996年の一審判決以降、労災認定や同種の裁判に大きな影響を与えることになった訴訟が終了することになった。
最高裁は「企業には過労によって社員が心身の健康を損なわないようにすべき義務がある」との初めての判断を示して電通側の責任を認めていた。奥山裁判長は先月、「最高裁で法律的には大部分決着がついている」として双方に職権で和解を勧告。過失相殺をせずに約1億2600万円の賠償額を認めた一審判決をもとに協議が進められていた。
<電通広報室の話>
高裁の和解勧告に応じ、誠心誠意和解に努めてきた。
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大嶋一郎さんの父久光さん(71)は和解成立後、東京都内で記者会見し、「長い苦しい裁判だったが、息子の名誉が回復され、有意義な結果に満足している」と語った。電通に対しては、「この裁判の教訓を肝に銘じ、経営を刷新し、ますます発展して欲しい」と注文した。
また、代理人の川人博弁護士は「電通ばかりでなく多くの日本企業は今回の和解を教訓に健康被害・自殺防止に努めるとともに、万一発生した場合、企業としての責任をきちんととるべきだ」と話した。
一郎さんの部屋は亡くなった時のままになっている。久光さんは、賠償金でこの部屋を改装し、膨大な裁判記録を保存し、同様の経験をしたり、悩みを抱えたりしている人たちに閲覧してもらえるようにしたいという。
(13:31)
★電通もそうだが、リクルートも酷いんだけどなぁ。社員の酷使という意味では。あとトランスコスモスや京セラなんかも。