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★といっても、飛鳥昭雄氏のいっているものとは違います。
2000.06.18 Web posted at: 7:32 AM JST (2232 GMT)
次世代の宇宙ロケットのエンジンとして期待される「プラズマ(核融合)エンジン」の開発に向けて、NASA(アメリカ航空宇宙局)がモンタナ州の民間企業「MSEテクノロジー・アプリケーション」社と共同開発の協定を結んだことが13日、発表された。プラズマエンジンは従来のロケットに比べ、2倍以上のスピードが出るため、飛行時間が大幅に短縮され、木星探査などに道を開くことになるとして大きな期待が寄せられている。
発表によると、実用化の目標は10年以内で、早ければ2004年には軌道でのテスト飛行を行う予定という。MSE側は、実際にロケットを打ち上げる前に、コンピューターを使った実験を担当する。
NASA側の責任者、フランクリン・チェンディアズさんは「宇宙をあまり長期間、飛行したくない。プラズマエンジンの開発によって、飛行時間が短縮できる」と話す。プラズマエンジンによるロケットを使えば、木星への飛行時間は3カ月ですみ、が従来の化学反応を使ったロケットの8ヶ月に比べ半減する。
宇宙空間で長時間、生活すると、無重力状態によって、乗組員の骨や筋肉、血液循環など身体への影響が出てくる。また、宇宙空間の放射線にさらされる影響も無視できない。飛行時間の短縮は、これらすべての問題を軽減する。また、プラズマ推進のロケットでは、地上の1000分の1程度の重力が生まれるため、より高速化が進めば、乗組員の負担が減ることになるという。
鍵となる技術は30年間の研究から
プラズマとは、気体が何千度、何万度という高熱で熱され、原子中の電子が原子核から離れ、プラスとマイナスに分かれた状態を言い、プラズマエンジンは、このプラズマを噴射して推進力とする。
プラズマエンジン開発の技術的な鍵となるのは、プラズマの噴射をコントロールする「VASIMR」というシステムだったと、チャンディアズさんは言う。プラズマの高熱に耐えられる物質はないが、チャンディアズさんの30年間の研究で、特別に計算された磁界の中ではそれが可能だと分かり、その結果、「VASIMR」が生まれたという。
「VASIMR」を使ったエンジンは、3つの環状に連結した電磁石を備える。まず、水素などが燃料として注入され、熱されてイオン化。次に、放射線を当てて、電子レンジのように加熱する。最後に、磁気ノズルがプラズマのエネルギーを推進力に変換するという仕組みだ。
当面の予算は年数億円程度
木星への飛行を例にとれば、ロケットは飛行の前半では加速し、後半には逆に速度を落とすことが必要となる。「(噴射を調節できることは、)非常に重要だ」と、MSE側の担当者であるデイプ・マッケレットさんは、VASIMRのシステムを賞賛した。
チェンディアズさんによると、プラズマエンジンの開発に費やされる額は年に数百万ドル(数億円)程度と言う。しかし、もしNASAがプラズマ推進によるロケットの開発を進めると決めるなら「もっと開発を急ピッチにする必要がある」と語った。