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北陸中日新聞「風紋」 2000年6月18日
猿社会に思うリーダー不在
総選挙が巡ってくるたびに、思い出すことがある。愛知県犬山市の野猿公園の猿が放し飼いからおりに囲われたときに失脚したボス猿のことだ。
猿のいたずらがひどくなり、電流を流したおりに群れが囲われたとき、ボス猿は電流をものともせずさくを乗り越え山に逃げた。群れにも脱出するように指示したが、“一般猿”は電流が怖くて逃げられず、三日後、おりの中に新政権が誕生した。
動物学者でもあった園長の話では、放し飼い時代のボスは、えさ場に群れを連れて行くなど指導力があったが、おりの中のボスは腕力が強く、先にえさを食べるぐらいとのこと。当時「生活が安定すれば利権政権ができるのは人も猿も同じか」と妙に感心したが、最近は「リーダー不在でこの国はどこへ行くのか」と少々不安である。
(富山支局長 鈴木輝剛)