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東京スポーツ5月21日(20日発行)
“森首相 横浜の韓国人はベトナム帰還兵
軍事行動起こす恐れ
母校・早大で92年6月外国人侮辱発言
雄弁会の講演で自説トウトウと”
前代未聞の〃買春スキャンダル〃に続き「神の国」発言と、アキれた醜聞には事
欠かない森喜朗首相だが、母校・早稲田大学(東京・新宿区)で過去に行った講
演会で、とんでもない外国人侮辱発言をしていたことが新たに判明した。
自民党政調会長時代の92年6月5日、自分がOBである早大雄弁会に招かれ、
早大大隈講堂で約200人の学生を前に話した時のことだ。国連平和維持活動協
力法(PKO法)が焦点の参院選公示1か月前ということで、話のテーマは「日
本の国際貢献」。なのに森首相は約1時間15分の講演で、石原都知事の「三国
人」発言どころの比ではない超過激発言を連発した。
当時、米ロザンぜルスでは暴動で在ロス韓国人の店舗が次々襲撃され、韓国人た
ちが銃で応戦する騒動が起きたばかりだったのだが、森首相はこのニュースを引
き合いに出し、なんとこう発言したのだ。
「横浜の寿警察署管内には1500人くらいの韓国から来た労働者がいる。この
人たちはベトナム戦争に参加しているから、銃を撃つなんてことはそんなに不慣
れではない。1つリーダーがいて、1000人くらいまとまったら、大変な軍事
行動ができるくらいになるという恐れがあるといわれている」
まだまだある。自らの〃買春検挙〃疑惑をタナに上げ、東京・新宿歌舞伎町周辺
に密集する外国人女性について、「新宿の新大久保からあの辺のホテル街、世界
中の女性がいる。特に中南米の女性だ。みんな麻薬やけん銃と一緒にいろんな動
きをしている」とまとめて悪者扱い。
そして、日本にいる外国人労働者が群馬や千葉、静岡など各地に分散して働いて
いることに触れた森首相は、「小さな町、1軒の家の中に20〜30人がたむろ
している。そういう町ができると、やはりその町の人はそこの場所を通らなくな
る」と発言。まるで自分がその目で見てきたかのような口ぶりで、地方都市在住
外国人は疎外される構図──と決めつけた。
あまりの偏見にサミット危ぶむ芦も
さらに、そうした厳しい住環境ながら必死で働く在日外国人に対し、「抑圧され
た生活の中から女性のレイプ事件が起きて、女性が自殺した事件とか、こうした
外国人の日本におけるいろんな事件が実は起こっている」。確かに当時から外国
人犯罪はあったが、レイプを合めそれらの原因はすべて外国人労働者の禁欲生
活、とでも言いたげなニュアンスだ。
森首相が韓国人労働者問題に触れた際、会場からは「ナンセンス!」という声が
上がり、この発言を知った韓国地元マスコミは一斉に「妄言」と反発。また、後
日発行された「早稲田大学新聞」(92年6月8日付)コラムは、ロス暴動のよ
うに貧困・失業間題が民族的差別につながる欧米先進国の現状が、ネオナチなど
社会排斥主義台頭の基礎になっていると指摘。そのうえで「この構造を肯定し維
持しようとする者の感覚が、森氏の発言にはにじみ出ているではないか」と締め
くくっている。
講演での発言について、森首相は当時「私は外国から単純労働者を受け入れるた
めに、住居や医療など地域対策の問題をやらなければならないと考えている。そ
のために、どういう状況かを説明するために話した」と弁解し、横浜の韓国人に
ついての話は「党本部の広聴室で、私が地元の人から電話で聞いた話」と人のせ
いに…。
とはいえ、これからの社会を背負って立つワセダの後輩たちを前にこれだけの侮
辱発言をしたのだから、森首相の外国人に対する偏見は相当なものといえる。各
国首脳が集まる沖縄サミットをこんな人に仕切られてはそれこそ大変だ。(醍醐
竜一)