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【ニューヨーク9日=坂本裕寿】
アメリカの投資家ジョージ・ソロス氏が率いるヘッジファンド運用会社から、らつ腕で知られた資金運用責任者が相次いで辞任することになり、世界のマネーゲームを牛耳ってきた「ソロス帝国」の凋落がささやかれている。
四月に退任を表明していたスタンレー・ドラッケンミラー、ニコラス・ロディティの両氏に続き、九日には海外運用責任者で唯一残っていた欧州担当のスコット・ベセント氏も六月末で辞任することを表明した。ベセント氏は辞任後、ソロス・ファンドのスタッフ九人を引き連れて、新しい投資運用会社を設立する。
当初は残留して、ファンド再建に当たる意向を示していた最高経営責任者(CEO)のダンカン・へネス氏も、一転して辞任表明するなど、これで四人の経営幹部がソロス氏のもとを去ることになる。
主力ファンドのクォンタム・ファンドが今年一〜四月に20%を超える運用損を出し、投資家の資金引き上げが加速する中で、ソロス氏はファンドの運営体制を抜本的に見直す意向を示していた。しかし、市場関係者の間では「相次ぐ幹部の流出は巨大ヘッジファンドの時代の終わりを雄弁に物語っている」とも言われている。
(6月10日20:40)