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2000.06. 8 Web posted at: 5:59 PM JST (0859 GMT)
ウィスコンシン州オークレア(CNN)10年前に事故で失明した米ウィスコンシン州の男性が、先月、突然視力を取り戻した。諦めていた回復だけに、本人や家族は戸惑いながらも喜びをかみしめている。
この男性は、ウィスコンシン州オークレアに住む理学療法助手、レネー・ポワリエさん。10年前、感電事故で視力を失って以来、白い杖をついて仕事に通う日々を過ごしていた。
◎まぶしい光が走るのが見える
ところが、先月23日、勤め先の病院で、いつものように仕事用の器具を準備していたところ、突然ひどい頭痛に襲われた。同時にまぶしい光が走るのが見え、しびれを感じたという。
「私は、9階の部屋の窓の近くに立っていました。」と、ポワリエさんはその時の様子をCNNに語った。「ようやく目を開けると、下に立っている礼拝堂と、芝生や木々の緑が目に飛び込んできたのです。階段を9階分駆け下りて、礼拝堂までまっしぐらに向かい、その場にひざまずいて神様に感謝しました」
ポワリエさんは、司祭のドアをたたき、「見えるんです!見えるんです!」と叫んだ。「どういう意味ですか」と呆気にとられる司祭に、ポワリエさんは、礼拝堂に掲げられた聖書の引用を読み上げてみせたという。「事故以来、10年ぶりに文字を読みました」
妻のコニーさんも、ポワリエさんの視力はもう回復しないものと諦めていた。「夢にも思っていませんでした。彼が失明してから、ずいぶん長い時間がたっていましたから」
ポワリエさんは、知らせを聞いて駆けつけたコニーさんと一緒に、子供たちを迎えに行った。
◎子供の顔見て、最高の日
10年の間見ることができなかった子供たちの顔を、ポワリエさんはまじまじと見つめた。「5分間は、まばたきもしなかったと思います。ただじっと顔を見ていました。子供たちはとても可愛い顔をしていた。人生の中で、最良の日でした」
子供たちは、最初、何が起きたのかわからない様子だったという。しばらくして、長女が尋ねた。「パパ、大丈夫?」ポワリエさんは答える。「大丈夫すぎるくらいだよ。目が見えるようになったんだ」
今後の計画を尋ねると、ポワリエさんはこう語った。「理学療法の仕事は大変気に入っています。失明したことで、患者さんの気持ちを多少とも理解できるようになったし、今回のことでは信仰心を新たにしました。この経験を仕事に活かしたいと思います」
「毎朝、目覚めて外を見ると、何もかもが美しい。どこへ行っても、どこにいても、すべてのものをしっかりと感じたいのです。大きな計画などありません。ただ、今ここにあるもの、生活の1日1日を、楽しもうと思います」