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回答先: Re: 内視鏡問題で東芝が提訴=欠陥なく賠償の義務ないと(共同) 投稿者 MIROKU 日時 2000 年 6 月 04 日 05:01:19:
★このうちどれだけが「東芝製内視鏡」によって引き起こされたのでしょうか?
ファイバースコープなどで胃や大腸などを検査、治療する内視鏡診療中に、1983年から97年の15年間で520人が死亡していたことが、日本消化器内視鏡学会の最新の全国調査で分かった。内視鏡診療は調査の初年となった83年以降急増しており、調査対象の診療総数は約2454万件に上っている。学会の指導で麻酔や鎮静剤の副作用死は減ったが、検査、治療による死亡事故は依然として年間20件前後起きており、学会は今秋をめどに発生頻度の減らない胆道検査などでの防止策の指針作成に乗り出した。
調査は偶発症と呼ばれる想定外の医療事故について、実態を把握したうえで防止策を講じるため、学会の偶発症対策委員会が83年から、5年ごとの87年と92年、97年の3回、実態調査をアンケート方式で実施。学会評議員や専門医の所属する医療施設を対象に各回537〜846施設の協力を得て、まとめてきた。
15年間の死亡事故を含む偶発症総数は計8229件。死亡した520人のうち、326人は内視鏡や腹腔(ふくくう)鏡を使った検査や治療時だった。誤って十二指腸などの内臓壁に穴を開け、腹膜炎や感染症などで亡くなっている。近年は大腸がん検診が増え、大腸でのケースが目立つ。
一方、内視鏡を入れる痛みを抑えるための鎮静剤などの副作用による死亡は194人。鎮静剤による呼吸不全や血圧低下のほか、麻酔によるアレルギーで、調査順で54人(87年)、134人(92年)、6人(97年)となっている。学会が注意を喚起した2回目調査をピークに急減した。
同対策委担当理事の金子栄蔵・浜松医科大名誉教授は「内視鏡治療は開腹手術に比べ、患者の負担が少ない。高齢者にはメリットがあるが、慎重さがより必要だ。ただ、偶発症の発生率は減っており、欧米に比べても低いと思う。今後、防止策を一層啓発したい」と話している。
【浜本 年弘】
内視鏡と腹腔鏡
内視鏡は、体内に小型カメラなどを入れ、臓器や組織を観察する器具の総称。検査のほか、胃や腸のポリープを切り取るなど治療に使うことも多い。口から入れる胃カメラや気管支内視鏡、お尻から入れる大腸内視鏡などがある。細いガラス繊維(グラスファイバー)の先にレンズを取りつけたファイバースコープなどが使われる。腹腔鏡は内視鏡の一種で、腹に小さな穴を開けてカメラや手術器具を入れる。肝臓の検査や小規模な胃の手術、胆石の除去などに使う。
◆十分な説明と同意が不可欠
医療界の閉鎖性などが原因で、医療事故はこれまで表面化することは少なかった。事故情報は共有されず、系統立った原因調査と対策は遅れていた。それだけに、日本消化器内視鏡学会のような大規模学会が、長年にわたり実態把握を続け、対策に取り組む意義は大きい。
内視鏡治療は外科手術に比べ、患者への体力的負担が少なく入院日数も短い。診察も臓器内部を直接見るため、がんの早期発見などの有効性が高い。調査ごとに受診件数が倍増しており、患者もメリットを受け入れているといえる。
15年間に及ぶ調査は、事故による死亡率の減少を示しているが、依然として一定数の死亡事故があるのは事実。医療過誤による死亡事故は、立件はまれとはいえ、刑法上の業務上過失致死罪にあたるだけに、より慎重な診察・治療が望まれる。
徹底的な防止策を講じるのは当然だが、メリットを強調するだけでなく、臓器の種類や患者の年齢などによってはリスクが伴うことを伝えるインフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)が不可欠だ。
【浜本 年弘】
[毎日新聞6月7日] ( 2000-06-07-15:02 )