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CIA研修に対する所感
総務部国際渉外室
上席専門職 岩井克己
情報機関の最高峰たるCIAの研修に参加でき、情報機関のあるべき姿について若干の知識と示唆を得ることができたので、その所感について次のとおり報告します。
1 政策を示唆するための情報分析
情報機関の目的は、将来の状況を予測し、政策を示唆することである。米国の情報機関は、この点が徹底され合理化されている。すなわち、CIAの作成するレポートでは、政策との関連性が最も重視され、限られた情報しかない場合でも、単なる情報の叙述にとどまらず、仮説をいくつか立て、各仮説について可能な政策を示さなければならない。CIA自身は、政策を決定する権限はないが、CIA内では、政策との関連性のないレポートは価値がないとされ、政策を示唆できることが職員の仕事への積極的な取組の最大要因となっている。
当庁においても、収集された情報を政策のレベルまで高めることのできる分析官の養成とその分析結果を提言するための場を発展させることが必要であると感じられた。
2 外国情報機関との共同作業の実施
国際情報を扱うためには、各国情報機関との協同作業が必須である。今回のCIAによる研修生受入は、米国による世界戦略の一環である。たとえば、同種の研修は既に某アラブ国機関に対し実施されている。また、共産主義政権崩壊後の東欧諸国の機関には、米国の某機関が既に研修を実施している。さらに、ラテンアメリカの某国機関に対し麻薬テロ問題で研修生を受け入れている。
当庁が今後、国際情報の収集分析を強化していくためには、日本の世界戦力に基づき、外国情報機関との相互の研修生の交換、さらには、共通の目標に向けた外国情報機関とのジョイント・オペレイションの実行などを積極的に検討する必要が生じていくものと考える。