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【米国発】 2000.5.30 4:05 PM PT――
人のしゃべり方から,その人がうそをついているかどうかを聞き分けるソフトが,企業の顧客対応部門で導入されようとしている。
イスラエルの会社Trustechは,人と人との対話または電話での会話で,抑揚など,話し方の特徴を聞き分けるPC用のソフトウェアを開発している。同社の製品「Truster」では,特定の話題について,「半分は本当」「真っ赤な嘘」など,話がどの程度誇張されている可能性があるかの評価を下す。
Trusterはこれまで,警察向けのバージョンやコンシューマー向けのバージョンなどが売られてきた。今回,この製品をもとに,企業のコールセンター向けに「iVocal」という製品が開発された。
オーストラリアでこの製品の販売にあたるPoint Tradingのマネージングディレクター,Avner Klein氏によると,iVocalは,会社がある顧客と電話でやり取りしている最中に,そのやり取りに潜む「リスク」についての評価を下す。
「iVocalは新たなパッケージ商品。うそ発見器ではなく,リスク管理ツールだ。同じ技術を特定市場向けに修正した」とKlein氏。
Point Tradingは現在,ある大手コールセンターソリューション企業との交渉を進めており,うまくいけば,銀行や金融電話サービスの会社が,iVocalを採用することになるという。Point Tradingでは,交渉先の会社の名前は明らかにしていない。
Trusterは2年前にリリースされた際,相手に知らせずにこうした評価を下すことの是非などをめぐって,物議をかもしている。
Point TradingのKlein氏によると,今回の新製品では,「一部の国の法律に照らし合わせて」技術に修正が施されているという。同社では,iVocalが多くの企業に採用されることを願っている。
顧客とやり取りする上で「企業はリスクのレベルを知る必要がある」と同氏。
理論上は確かに,iVocalのようなツールはコールセンター業界にとって,ある程度価値があるだろう。「この種の技術は,会社にとって――特にセールス部門に――利点をもたらすものだと思う。だが私としては,これを採用しようとは思わない」と語るのは,オーストラリアおよびアジア太平洋地域でコールセンターサービスの運営にあたっているHelp Desk Institute + Call Center InstituteのJouie Jahjah氏だ。
採用する気になれない理由をJahjah氏は,「(この種の技術は)生産的でないし,信用を築く上でも良いものとは言えない」と説明する。同氏はまた,次のように付け加えた。「われわれは,顧客は常に正しいと信じている。私としては,顧客が正直に話してくれているという考えのもと,彼らに敬意を払う必要がある。うちの顧客担当部門はひょっとすると違う考えかもしれないが」
[Nicole Manktelow(ZDNet/Australia), ZDNet/USA]