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【米国発】 2000.5.25 2:50 PM PT――
フランス議会で審議されている法案がもしも通過した場合,オンラインで何かを公開しようとするフランスのWebユーザーには,同国政府にその目的を登録する義務が生じることになる。
5月23日にフランスの下院を通過し,上院で審議されているこの法案では,ユーザーがインターネット上で何かを公開するには,オンライン登録フォームに記入しなければならないと規定されている。
多くの人は,このようにユーザーに余分の作業が発生するようになることで,フランスのWebホスティング企業の国外への移転が相次ぐことになるだろうと考えている。また,この法案はオンラインでの言論の自由およびプライバシーの侵害であり,この動きが欧州全体に広がりかねないとして強く反発している人々もいる。欧州ISP協会(EuroISPA)の広報は,この法案が通過すれば,フランス政府はEUに対して,同様の規制を欧州全体でも施行することを検討するよう働きかけるだろうと語っている。
この法案の支持者らは,この法案により,人々は自分がインターネット上で公開するものに対して法的責任を持つようになるだろうと語っている。他方,この法案に反対している人々は,この法案は個人のプライバシーを奪うものであり,明らかに行き過ぎだとしている。英国人で市民的自由擁護団体Cyber Rights and Cyber Libertiesのインターネット関連の法律顧問を務めているNicholas Bohm氏はこう語っている。「これは極めて古典的なやり方だ。これは言論の自由に対して政府が長らく抱き続けてきたある種の恐れからきたものだ」
Bohm氏はさらに「これは,この種の問題を扱う際に業界と情報交換を行ったり専門家の意見を聞いておかないとどうなるかを示す好例でもある」とも付け加えている。
Charles Russell法律事務所のパートナーであるRobin Bynoe氏は,この法案は,皮肉なことだが欧州の方向性に沿ったものだとし,「(ECの)基本的なアプローチは,公開されるコンテンツに対する責任は仲介者(ISP)にではなく個人にある,というものだ」と語っている。ただ同氏はこう付け加えてもいる。「しようと思えばだれでも,フランスの法律の網を巧みにくぐり抜けて卑猥な内容を公開することができる」
[Will Knight(ZDNet/UK), ZDNet/USA]