Tweet |
【ベルリン25日=関厚夫】
旧東ドイツの秘密警察である国家保安省(シュタージ)の長官を三十余年にわたって務めたエーリヒ・ミールケ氏=写真=が死去していたことが二十五日、確認された。九十二歳だった。循環器障害と貧血が原因で二十一日に死亡したが、公にされずにいた。
ミールケ氏は一九五七年から冷戦終結を象徴する「ベルリンの壁崩壊」が起きた一九八九年まで国家保安省長官を務め、旧東独を共産圏でも有数の秘密警察国家にした。同省は壁崩壊まで八万五千人の正規職員と約十万人の非公式協力者を擁し、旧東独内に反政府勢力を監視するスパイ網を張り巡らせていた。
壁の崩壊後、ミールケ氏や国家保安省は旧東独市民の憎悪の対象となった。また人民議会でミールケ氏が「それでもわたしは国民を愛している」と演説したさいには、議場が冷笑に包まれたエピソードがある。
ミールケ氏は九五年、共産党員として戦前に警察官を殺害した罪に問われ、六年の禁固刑を受けたが、今年出所し、ベルリンの老人ホームで暮らしていた。
★愛国心の表出は人それぞれ、ということでしょうか。