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核兵器の現代的様相と、反核運動の死角
●倉田佳典さま、いつも価値ある情報を提示していただき
感謝しております。
本日、次のようなご投稿を拝見しました。
>投稿: 7219
>投稿者: 倉田佳典
>e-mail:
>題 名: 工学社のサイバーX、12号が、出ませんね。
>
>こんどは、4月中旬予定だったはずですが。。
>http://ns.telestar.or.jp/etc/cyberx/
『サイバーX』は、さらに煮詰めた内容で
リニューアルを考えているようです。
これをご覧になっている皆さんの
ご関心のあるテーマなどを
この掲示板に書き込んでいただければ
同誌の編集サイドに伝わると思いますよ。
>あと、工学社で出てる本、
>http://ns.telestar.or.jp/new/igaku.html
>『現代医学の大逆説』 工学社
>佐藤 雅彦 著
>A5判 約320頁 定価:本体価格1900円+税
>2000年 1月
>いつも★阿修羅♪空耳などで活躍されておられる、
>佐藤雅彦さんの著書です。
>おりを見て注文させていただこうと思っています。(^_^)
宣伝をしていただき、心から感謝しております。m(_ _)m
遺伝子治療の危険性や、米国で死亡事故をきっかけに
噴出した、非人道的人体実験の実情や、ずさんな実験計画
や事故隠し、そして、こうした行為の横行に衝撃を受けた
政府保健当局の慌てぶりについて、
日本のマスコミは黙殺しています。
全国の大学で遺伝子治療人体実験が行なわれるとなれば
嬉々としてそれを宣伝し、
「日の丸ベクターの開発へ第一歩」などと
チンケなナショナリズムを、こんな領域でも煽り立て、
東大医科研などで、被験者に死亡例がでても
知らんぷりを決め込み、日本の科学ジャーナリズムは
まったく馬鹿でお調子者で、タイコ持ちばっか
やってんだから救いようがない……フゥッ
20世紀の太平洋の孤島で、
未開部族が行なっていた風習ですが、
白人が飛行機でやってきたことを無闇に“崇拝”し、
海岸(だったかな)に藁[わら]や木の枝で「飛行機」まがいの
オブジェを築いて、“白い神”たちの再来を讃えるという
「カーゴカルト」という疑似宗教儀礼が
存在していたことがあります。
【リーダーズ英和中辞典からの引用――
cargo cult :《メラネシア特有の》積荷崇拝。
《現代文明の産物を満載した船または飛行機に乗って
祖先たちが帰り、労働の必要がなくなって
白人の支配から自由になる日が
訪れるという信仰》 】
日本の科学ジャーナリズムって、単なるカーゴカルトなんですよね。
『現代医学の大逆説』は、もともと欧米(とくにドイツと米国)の
最先端の医学研究機関で、普通の磁石でオデコをさすると
鬱[うつ]病のような精神疾患が軽快したり、
手足の運動麻痺が軽快するという
“魔法使いの杖”みたいな研究が
真剣に行なわれているという現実に衝撃を受け
いろいろと調査し始めたのが執筆のきっかけでして、
テーマを「脳死」や「遺伝子治療」などの
科学的・根元的批判から、医療とオカルティズムの交流史や
「金融工学」の致命的問題点にまで、
拡散・発展させながら考察しています。
手前味噌ながら、遺伝子治療について、
これほど徹底的に、技術的破綻を暴露・批判した本は
日本には皆無だといえますし、
英語圏でもまだ出ていないと思います。
(でも、まだ徹底さが足りないと感じている次第。)
ところで『現代医学の大逆説』では
現代医学では「迷信」と決めつけられ
頭ごなしに否定されている「瀉血[しゃけつ]」が
じつは“インターフェロンが効かないC型肝炎”などの
治療に顕著な効果を現わすという
日本発の――だが日本の医学界では無視し
欧米の医学界が注目している――「逆説的」医術
についても紹介してあります。
血液を若干抜き取ると肝炎がなぜ軽快するのか、
正確な理論的根拠はまだ解明されていないようですが、
血中の鉄イオンが過剰だと
体内組織が酸化作用で傷害を受けやすい。
だから鉄イオンの血中濃度を下げることによって、
そうした傷害作用を抑制できるからでは――という
解釈が有力です。
これに関連した話題が、
最近 CNET日本語版で紹介されていましたので、
ここに転載しておきます――
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● 献血すれば心臓病になりにくい? 米研究者が報告
2000.05. 2 /Web posted at: 3:43 PM JST (0643 GMT)
http://cnn.co.jp/2000/HEALTH/05/02/give.blood.wmd/index.html
(WebMD)輸血用血液の供給不足が叫ばれる中、「献血は人を助けるだけではない。自分の命
を救うことにもなる」と主張し、もっと献血をと呼びかけている研究者がいる。フロリダ大学のジェローム・サリバン医学博士だ。博士によれば、献血をして血液中の鉄分が減ると、心臓病にかかる確率が少なくなるという。この説を裏付けるデータもいくつか報告されている。
サリバン博士の研究によれば、血液中の鉄分はコレステロールの酸化を進める働きがある。酸化したコレステロールは動脈をいため、心血管疾患の原因になるとされている。
心臓病にかかる確率は、年齢とともに高くなる。特に、男性では女性よりも早い時点で確率が上がり始めるが、これは血液中の鉄分濃度で説明できると、サリバン博士はみる。女性は月経による出血で定期的に鉄分を失うが、逆に男性は、20才を過ぎたころから、鉄を体内に蓄積し始める。男性の心臓発作の確率が高くなるのは、ちょうどこの時期だ。
専門家によると、成人男性の体内には平均1000ミリグラムの鉄が蓄積されているが、閉経前の女性では、300ミリグラムにすぎない。閉経後、この数値は上がり始め、最終的には男性と同じレベルまで上がるという。
サリバン博士の説に疑問を投げかける専門家もいる。国際赤十字社連合のピーター・トマスロ医学博士は、「鉄分濃度と心臓病のリスクの間に相関関係は確立されていない」と指摘する。閉経前の女性に心臓病が少ないのは、女性ホルモンの働きによるものだとする説が、今のところ専門家の間では有力だ。
しかし、鉄分濃度の関与を示す報告も、最近いくつか出されている。例えば、専門誌「サーキュレーション」でスウェーデンの研究者が昨年発表した統計によると、遺伝的に血液中の鉄分濃度がやや高い男性は、正常な男性に比べ、心臓発作を起こす確率が2、3倍高くなるという。
サリバン説を最終的に証明するには、定期的に献血をする男性と、そうでない男性を対象に、心臓病のリスクを正確に比較する、大規模な研究が必要になるだろう。すでに小規模な調査はいくつか行なわれていて、サリバン博士の主張を裏付ける結果が出始めている。1998年9月の「アメリカン・ジャーナル・オブ・エピデミオロジー」誌では、フィンランドで2682人の男性を調べた結果が報告された。それによると、1年に最低1回の献血をした男性は、他の男性に比べ、心臓発作の確率が88%も低かったという。さらに、1997年8月の「ハート」誌でも、心血管疾患について同じような研究結果が発表されている。
献血をする人はもともと健康なだけだ、という反論も当然出てくる。しかし、たとえば、1995年「インターナル・メディシン」誌上に掲載された研究では、14人の患者を対象に、採血で鉄分濃度を下げたところ、コレステロールの酸化が減るという結果が出ている。
こうした報告を受けて、サリバン博士は自説への確信を深めているが、一方で、献血を受け取る血液銀行では、博士らの呼びかけに、戸惑いの表情を見せている。寄せられる血液が不足しているのは確かだ。しかし、「自分の利益になるから」との理由で献血を呼びかけることについては、苦い経験がある。30年前、血液銀行が献血に対し報酬を支払っていた時期、カネ欲しさに、肝炎などの病歴を隠して献血する者が続出したのだ。
とはいえ、現在、献血される血液は以前よりずっと厳密に検査されている。献血する側のリスクもほとんどないといえる。「人助けになり、自分のためにもなるのだから、献血して鉄分濃度を下げよう」と、サリバン博士らは訴えている。
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●さて、本題に移りますが、本日いただきました共同電のなかに、きわめて皮肉な二つのニュースが報じられていました。 日本の反核団体の努力で「核兵器廃絶」に向けて“一歩前進”だと喜んでいるニュースと、その反核団体の地元(ニッポン)で新型核兵器(劣化ウラン弾)が保管されている事実が発覚、というニュースです。
●第2次大戦後の国際政治史をみれば、「核兵器」が“神様的・超自然的破壊力”を象徴する政治的シンボルに祭り上げられ、利用されてきたことは明らかです。つまり「核兵器」は国際政治という“まつりごと”(政治)を執り行なう上での魔術的なご神体に使われてきたわけです。 国際政治学では「核の神学」という用語が出来ているほどなのですから……。
日本は戦争で原子爆弾をモロに食らった世界唯一の国ですから、「反核運動」という形でこの“ご神体”を政治利用できる“特権”を持ってはいますが、日本の被爆者運動が、自らの“被爆者性”だけを根拠に運動を続けていれば、「反核」のスローガンが風化していくのは当然のことでしょう。
たとえば、冷戦で水爆の実験場にされ、国土そのものを消されてしまったり、いまだに猛烈な放射能汚染を受け入れて生きている南太平洋の国々の人々や、ヒロシマ・ナガサキ以降の被爆者であるし、さらにユーゴ紛争で劣化ウラン弾を受け、汚染された土地に住んでいる人々のなかに、「被爆者」は次々と生み出されてきた……。
●「核兵器」はなぜ、脅威なのか? なぜ禁止せねばならないのか?
その理由をもう一度、きちんと整理して、反核の論理と倫理を組み立て直さないと、日本に――皮肉にも――もたらされた「反核運動における国際的特権」は、時代遅れの“祝詞[のりと]”のようになって、遠からず誰にも相手にされなくなるでしょう。
●「核兵器」はなぜ脅威か?
――開発された20世紀半ばの時点では、その圧倒的破壊力――まさに強力なTNT爆薬で1000〜1000.000トン単位の換算が必要なほどの――が、この兵器の(使う側にとっての)“魅力”であり、脅威だったわけです。
放射線生物学を専攻されている市川定夫教授(埼玉大学)が自らの体験として語っていたことですが、米国が放射線の影響を真剣に研究するようになったのは、有人宇宙飛行が可能になり、宇宙飛行士が宇宙線をモロに浴びる状況がでてきた1960年代になってからだそうで、それまでは放射線の生物学的影響についてはさほどの関心はなかったらしい。 もちろん1950年代に米国では「アトミック・ソルジャー」演習――つまり原爆投下直後の歩兵突撃を想定してネヴァダ砂漠で盛んに行なわれた(本物の原爆爆発状況下での)野外演習――を盛んに行なっていたので、被曝実験を極秘に行なっていたわけですが、その実態たるや“根性芸人エスパー伊藤の今日もムリやってみました”的な演芸【笑】みたいなもので、学術研究と呼べるシロモノではなかった。
むろん圧倒的破壊力は今もって核兵器研究者の間では“魅力的”なようで、純粋核融合爆弾――いわゆる「クリーン水爆」――などは、放射能で環境を汚さないキレイな核兵器だということで、環境保護意識が病的に鋭敏な米国政府ス
ジでも評判がいいらしい。【笑】
しかし破壊力という点では、小型原爆にも匹敵するようなガス爆弾が、すでにペルシャ湾岸戦争などで実戦使用されている。 ついでにいえば、精密誘導爆弾の実用化や、効率の高い空襲システムの採用によって、ヒロシマ・ナガサキなみの徹底的な大量虐殺は実質的に可能になっている。
原爆は残虐である。 だが残虐でない殺戮兵器なんぞ、ありません。 目下、欧米では「非致死性兵器」(NLW)体系の開発に拍車がかかっており、この枠組みのなかで、電磁波や超音波を使った対人無力化兵器や、新たな微生物や化学剤を利用した対物破壊兵器、マインドコントロール兵器などが開発されつつあり、火事に遭ったロスアラモス研究所がそのメッカになっているわけですが、これは最初から「残虐でない人道的破壊兵器」【笑】という売り込みかたなので、警戒が必要なのですが……。
原爆は放射能をばらまくので、強烈な「遺伝毒物兵器」でもある。 これは長期的な民族抹殺を目論む兵器といってもよいでしょう。 原子力発電は元来、核兵器開発・生産施設を“産業施設”として拡大再生産するという、米国の軍産複合体の思惑から生まれたものですから、原発そのものも、核廃棄物も、その気があれば容易に軍事転用できる。 その意味で、被爆者運動が反原発運動と連帯するのは当然の論理的帰結なのですが、「遺伝毒物兵器」としての脅威を考えれば、たとえば飲用水の貯水池にプルトニウムやウラン加工品をばらまいただけでも「兵器」としての戦略的意義は充分に遂げられる。 もっとも、爆発のようなドラマチックな“見せ場”がないので、政治的な恐怖心を“敵”に与えるという意味では、効果的な展開を考える必要があるわけですが……。 しかし、「放射能の恐怖」という世間的通念を“利用”すれば、情報戦がここで大きな政治的意味を持ってくる。 つまり、プルトニウムなどという大袈裟な小道具でなくても、アイソトープを「青酸カリ」みたいに脅迫の道具に用いるという戦術も、展開の仕方によっては充分な政治的・軍事的威力を持ちうる。 こうなるともはや「テロリズム」の領域であって、日本の防衛庁も(米国から15年おくれで)研究しはじめた「低強度戦争」(LIC)の部類に入ってくるわけですが……。 劣化ウラン弾も、「遺伝毒物兵器」という観点からいえば、立派な「核兵器」なわけです。
●要するに現代においては、劣化ウラン弾などは立派な「核兵器」であるし、大学あたりでズサンに管理されているアイソトープとて潜在的「核兵器」である。 「核兵器」のそうした現代的発展を視野に入れながら「反核運動」を展開していかねば、現代世界への影響力なんぞ到底持ち得なくなることは目に見えているのです。
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以下の2つが、問題のニュース記事です
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353 05/24 20:07 米弾薬庫に劣化ウラン弾 人体への影響を否定 社会113#01
在日米空軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)に駐屯する第一八航空団のスミス司令官は二十四日、同基地に隣接する嘉手納弾薬庫(読谷村など)に、人体への影響が懸念されている劣化ウラン弾が保管されていることを明らかにした。
劣化ウラン弾は、在韓米軍に配備されているA10対戦車攻撃機用の三○ミリ機銃弾で、朝鮮半島などの有事に備え貯蔵されている。
スミス司令官は「弾薬庫の五百八十の施設のうちの一施設に保管されているだけで、人体に対する悪影響はなく、撤去の予定もない」と強調した。
米海兵隊は一九九五年から九六年にかけて、同県の鳥島に劣化ウラン弾千五百発余りを誤射。その後、在日米大使館は「在日米海兵隊が扱っている劣化ウラン弾については、日本国内すべての基地から撤去した」と外務省に通知していた。
鳥島については科学技術庁が「周辺環境への影響は無視できる」との調査報告をまとめている。
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63 05/25 16:32 「暗いトンネルに光」 予想超えたNGOの影響力 社会53 #01
核拡散防止条約(NPT)再検討会議で最終文書が採択されたことに、当初は合意にさえ悲観的だった広島、長崎の被爆者たちは「暗いトンネルに一条の光が差し込んだ」と受け止めている。被爆者や平和団体にとっては、予想を超える合意内容だった。
「挫折ばかり味わってきた。今回もどうせ駄目だろうという無力感が漂っていた」。広島県原爆被害者団体協議会の近藤幸四郎事務局次長は言う。当初の悲観的な見通しを一転させたのは、今回初めて公式発言の機会が与えられた非政府組織(NGO)の影響力だった。
長崎市の伊藤一長市長は三日、NGO「世界平和連帯都市市長会議」の副会長として会議の会場である国連の演壇に立った。
「過去の憎しみや恨みから核兵器の廃絶を訴えるのではない。核兵器が国際法に違反する非人道的な兵器であることを、五十五年前の悲惨な被爆体験で知っているからだ」。静まり返る会場。各国代表の視線に「吸い寄せられるようだった」と市長は振り返る。
原水爆禁止日本国民会議(原水禁)も会議を前にした四月、「反核行脚」のため被爆者ら二十四人を米国に派遣した。二十四人はネバダ核実験場で座り込み、国連本部前の集会でも核兵器廃絶を訴えた。
核兵器廃絶を「究極的な目標」にとどめようとした核保有国が最終的に譲歩した背景には、核廃絶を主張する七カ国で構成する「新アジェンダ連合」やこれを支えるNGOの強い圧力があった。「核兵器廃絶への第一の扉が開けられた」。伊藤市長はそう評価する。
一方で、被爆者団体などは「究極的目標」を支持した日本政府への失望を隠せない。日本政府代表は、会議前にニューヨークで原水禁の派遣団と面会した際「生物兵器などの大量破壊兵器に対する核抑止が必要」との認識も示したという。
伊藤市長は「核兵器廃絶への具体的な取り組みという第二の扉のカギは、非核保有国と被爆地の市民、世界のNGOが握る」と総括する。二十一世紀の核軍縮は、NGOなどが五大国の「約束」をどう履行させるかにかかっている。(共同=宇田川謙、錦織信子)