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小麦のはい芽部分を一緒に製粉し、健康志向の人に好まれているはい芽入り食パンから、普通のパンより残留濃度が高い複数の有機リン系殺虫剤が検出されたことが環境ホルモン全国市民団体テーブル(東京)の調べで分かった。「輸入小麦に収穫後に使用された農薬が残留したと思われる」と同テーブルでは話している。
この調査は4月、東京、神奈川などの店頭で「小麦はい芽入り」などと表示された主要メーカー12ブランドの食パンを購入。東京の検査期間に依頼して、収穫後にポストハーベスト農薬として散布されている有機リン系殺虫剤のクロルピリホスメチル、フェニトロチオン、マラチオンの含有量の有無を調べた。
その結果、10のパンから1種類以上の殺虫剤が検出された。平均値はそれぞれ5.1ppb、0.3ppb、3.1ppb(ppbは10億分の1の意)。北海道消費者協会が昨年行った普通の食パン13ブランドの検査の平均値(クロルピリホスメチル1.8ppb、マラチオン1.7ppb)と比べて高かった。これについて同テーブルは「はい芽は、小麦の表面に近いので農薬が残留しやすいため、数値が高くなったのではないか」とみている。
この結果について、厚生省は「いずれも国内外の残留基準を大きく下回っており、問題ない」との見解だ。ただ、「今回の残留レベルでも、ごく微量の化学物質に過敏に反応する化学物質過敏症の人に症状が現れるとの研究報告があり、注意が必要だ」と同テーブルは強調している。 【読売新聞 2000年5月15日付】