バーチャル・キャラクターは冴えない夢をみるか?

 
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投稿者 佐藤雅彦 日時 2000 年 5 月 24 日 23:39:14:

●WIRED NEWS日本語版が、バーチャル・キャラクターを論じた興味深い記事を出していたので、転載して紹介します。
●悪ガキだったら経験があるかもしれませんが、街頭に貼ってある美人ポスターに髭を書き込んだり、不二家のぺこちゃん人形や、コルゲンコーワのカエル人形に蹴りを入れても、相手は生き物じゃないから反撃してこないし、周囲の人も目さえ気にしなきゃ何をやろうが良心の呵責はない……。  バーチャル・キャラクタに存在価値があるとすれば、そのくらいなのではないか? ギャルゲーが人気を維持しているのは、やはりそうした“暗い情熱”に支えられていると思うんですよね。 時に、こうした“やり放題”の欲求は現実と仮想との区別がつかなくなった奴によって、本物の人間相手に実行され、往々、犯罪に帰結する。 ここで問題になるのは――つまりロールプレイング・ゲーム的な犯罪を抑止するために決め手になるには――仮想世界のなかでのみ解放が許されていた欲求を、現実世界のなかで容易に許してしまうような、“脇の甘い”社会をどうするか、という問題だと思うんですが……。
●最近では、かわいくセクシーなバーチャルキャラクターに、思うがままのポーズを取らせることができるゲームも登場しています。 “暗い情熱”をそんなに煽って、どうするんでしょうね。 カネが儲かれば何を作っても良いのかね?(などと一応分別臭いことを言っておこう、と……。)
●ホリプロが数年前に売り出して惨敗した美少女バーチャル・キャラについても、記事のなかで冷笑的に言及されています。 (参考までに、その原文[英文]記事を最後に入れておきました。)  勝算がないことは、最初から分かっていたのに、あの芸能プロは何を考えてるんでしょうね?【笑】   インターネットサイトにバーチャル・キャラを登場させれば、悪戯の標的になるのは分かり切ったことなので、企業側はその辺の問題にすでに懸念しているようです。 IT音頭に浮かれている日本のバカ企業群にも、爪の垢を煎じて飲ませたいところですね【笑】

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● バーチャル・キャラクターは効果的か(上)
      Katie Dean
   http://www.hotwired.co.jp/news/news/20000523206.html


2000年5月18日 3:00am PDT  大統領候補はふつう、管理され、作られ、テレビ向けに見栄え良く手を加えられる。アル・ゴア候補に至っては、まるでロボットのようだ。

 『ジャッキー・ストライク』(http://www.jackiestrike.com/)を見るがいい。

 ストライクは、宣伝とウェブ用アプリケーションを専門とするドイツの企業ベットヒャー・ヒンリクス社(http://www.boettcher-hinrichs.com/)によって作られたバーチャル大統領候補だ。近いうちに会話もできるようになる。

 このプロジェクトのリーダーを務めたクリストファー・ゴールド氏は、「われわれはチームを組んで(彼女を)作った。血の通った生身の人間の候補者とそれほど違いはない」と語る。

 ストライクは、増えつつあるバーチャル・キャラクター開発の一例に過ぎない。やたらと広帯域を使いたがる企業は、これらのバーチャル・キャラクターが情報をより効果的に消費者に届けてくれることを期待している。

 それも無理のないことかもしれない。何しろ、バーチャル・キャラクターは実際、自然だからだ。

 人々はすでにコンピューターを人間のように扱っている、とマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ(http://www.media.mit.edu/)のジャスティン・カッセル準教授は言う。カッセル準教授はメディアラボのジェスチャーおよび発話言語研究グループの責任者でもある。プログラムがうまく動かないとき、人はそれをコンピューターのせいにする。

 バーチャル・キャラクター・ソフトウェアメーカー、独キーウィーロジック社(http://www.kiwilogic.com/)のカール・フォン・ベント最高経営責任者(CEO)もカッセル準教授と同じ意見だ。「私がそのことに気づいたのは、自分のコンピューターの前に座って、コンピューターに向かって悪態をついていたときだ」

 カッセル準教授は「もしも本当に会話のできるコンピューターを作ることができれば、もっと効率的かつ効果的で魅力的なやり取りができるようになるとわれわれは思っている」と語る。

 カッセル準教授と学生たちは現在、ユーザーとちょっとした会話ができるバーチャル・エージェントの実験を行なっている。

 だが、消費者がこのようなバーチャル・キャラクターに対して好意的な反応を示すかどうかは、まだ定かではない。たとえば、先月バーチャル・ニュースキャスター第1号として登場した『アナノバ』(http://www.ananova.com/)は、最初の数日間、大いに注目を集めた。しかし、英アナノバ社は、具体的な数字は明らかにしなかったものの、ページビューがその後減少したことを認めている。

 批評家たちは、この緑の髪のニュースキャスターをこきおろした。『オンライン・ジャーナリズム・レビュー』(http://www.onlinejournalism.com/)のベン・バーコウィッツ氏は、「アナノバは、インターネット上でニュースを知るための最も使えない方法(http://ojr.usc.edu/content/ojc/commentary.cfm?request=374)の1つかもしれない」と書いている。

 にもかかわらず、企業の中には製品販売や顧客サービス提供のためにバーチャル・キャラクターを開発しているところがある。米モトローラ社は、今年のアカデミー賞授賞式(http://www.gx-2.net/wwow/mya_flash.html)で『Mya』――顧客が携帯電話を通じて電子メールやニュース、天気、フライトの時刻などをチェックするのを助けるキャラクター――を紹介した。双方向娯楽企業である米オッドキャスト社(http://www.oddcast.com/)は、電子商取引サイトのバーチャルホスト、『K』を開発した。

 オッドキャスト社のアディ・サイドマン最高経営責任者(CEO)は、「彼女が本当のキャラクターでなければ、つまり本当の人格を持っていなければ、誰も彼女のことなど気にかけたりしないだろう。(ユーザーは)喜ばせてくれるものが好きなのだ。彼らはフィードバックが大好きなのだ」と語った。

 オリンパスの『アイトレック』ウェブサイトのホストである『マーク』(http://www.eye-trek.com/welcome_e.html)は、製品について質問を入力するとそれに答えてくれるが、質問をするのと同じくらいの数のユーザーが――例えば、マークに罵り言葉を浴びせたりして――システムを 悪用している。

 「質問への答えが得られたなら、次はシステムそのものを試してみたくなる」とキーウィーロジック社のフォン・ベントCEOは言う。

(5/24に続く)

[日本語版:藤原聡美/柳沢圭子]


日本語版関連記事
・バーチャル・モデルのエージェント業者

WIRED NEWS原文(English)  
  http://www.wired.com/news/culture/0,1284,36058,00.html

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   バーチャル・キャラクターは効果的か(下)
      Katie Dean

      2000年5月18日 3:00am PDT  (5/23から続く)

 人間と違って、バーチャル・キャラクターは眠らないし、わがままも言わず、給料をくれとも言わない。

 コンピューターとのやり取りに人間らしさを加える試みは、この数十年間に何度も行なわれてきた。米マイクロソフト社の『ボブ』や、あのイライラするペーパークリップはユーザーの手助けをしてきたが、同社はこれを抹殺してしまった。『伊達杏子DK-97(英文記事)』(http://www.wired.com/news/culture/0,1284,11701,00.html)は日本で生まれた(そして、その後、人前から姿を消した)最初のバーチャル歌手だったし、ビデオゲーム『Tomb Raider』の官能的なヒロイン『ララ・クロフト(英文記事)』(http://www.wired.com/news/culture/0,1284,20406,00.html)はおそらく、コンピューターの中に住む最も有名かつ成功したキャラクターだろう。

 各企業がそれぞれのキャラクターに魅力的な性格を持たせようと努力している一方で、こんな大騒ぎはただの時間の浪費ではないかと考えている人もいる。

 米フォレスターリサーチ社のメディアおよびエンターテインメント部門責任者クリス・シャロン氏は、「サイトでは、訳のわからないことを言うキャラクターとのやり取りより、有用性の方がはるかに重要だ」と述べる。「楽しませてくれる気まぐれなホストも、ユーザー体験の邪魔になるなら、有用というより、反感を買うものとなる」

 米メリーランド大学ヒューマン・コンピューター・インタラクション研究所(http://www.cs.umd.edu/hcil/)所長を務めるベン・シュナイダーマン教授は、デザイナーが人間や動物の行動をシミュレーションしたがるのは自然な本能だが、それによる技術進歩はほとんどない、と語る。

 「車は足で走るわけではないし、飛行機は翼をはばたいて飛ぶわけではない」とシュナイダーマン教授。「われわれは、スマートで知性のある機械を作ることから、素晴らしいことを成し遂げる能力をユーザーに与えることへと、注意の対象を変えなければならない」

 しかし、このような人間に似たキャラクターの開発はきっと当分続くだろう。また、キャラクターの完成度が高まるにつれて、もっとややこしい法律問題が出てくると予測する人もいる。

 サンフランシスコで技術関連の問題を専門に扱っているブレント・ブリトン弁護士(http://www.brittonlaw.com/)は、これらの人造キャラクターは、特許と同様、権利も持つことになると言う。現在、そういったキャラクターは著作権で保護され、商標価値を持っているが、将来はキャラクターを標的にした、あるいはキャラクターそのものによるデジタル犯罪といった問題がきっと表面化するだろうとのこと。

 MITのカッセル準教授は、万一アナノバがハッカーに攻撃されたらどうなるのかと心配している。もし米CBS社の名誉を傷つけるような発言をしたら? アナノバが伝えるニュースを提供するイギリスのプレス・アソシエーション通信社が責任をとるのだろうか?

 こういったことを懸念して、生身の人間を使うことがやはり最善のアプローチだと考えている企業もある。

 「編集という点からいえば、バーチャル・キャラクターは素晴らしい。キャラクターはコントロールできるし、何を言わせるか決めることができるのだから。でも、バーチャル・キャラクターにできないことは、個人個人と本当のコミニュケーションを取ることだ」と語るのは、10代の女の子たちのためのコミュニティー・サイト米キブ・コム社(http://www.kibu.com/)の創立者の1人でもあるジュディー・マクドナルド最高経営責任者(CEO)だ。

 「このサイトを訪れる少女たちは、コミュニケーションができる本物の人間を求めている。バーチャル・キャラクターのようなものはわれわれにとってはまったく役に立ちそうもない」とマクドナルドCEO。「本当の意味での意見を言ってくれるのは、生きている人間だ」

 ブリトン弁護士はさらに付け加える。「本物が一番いい。バーチャル・キャラクターは実在しないのだし、この先も実在することはないのだ」

 こんなことを言うと、ストライク大統領候補の選挙運動に水を差すことになるのだろうか。


[日本語版:藤原聡美/柳沢圭子]

日本語版関連記事

・バーチャル・モデルのエージェント業者  【下に紹介しておきます】

WIRED NEWS原文(English)
  http://www.wired.com/news/culture/0,1284,36058,00.html


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●  バーチャル・モデルのエージェント業者
        Leander Kahney
     http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/2757.html

1999年7月15日 3:00am PDT  飲酒や麻薬、高いプライド、摂食障害、燃え尽き症候群といった問題に苦しむモデル業界は、気まぐれなモデルたちに代わる完全なモデルを見つけたのかもしれない。バーチャル・モデルだ。

 エリート・モデリング・エージェンシー社は、コンピューター・グラフィックス(CG)で作られたモデルと女優の管理部門を新設した。

 英アイドス社のゲーム『トゥームレイダー』に登場するデジタル・スター、ララ・クロフトの華々しい成功に触発され、エリート社のイリュージョン2K部門が、バーチャル・ファッションショーや映画、TV、広告、ゲーム向け にCGモデルを斡旋する。

 「バーチャル・モデルを、通常のモデルと同じような形で使う可能性があるとわれわれは見ている。雑誌やテレビ、広告などだ」。同部門の本拠地サンパウロから、エリート社パートナー[共同経営者]であるルシアーナ・アブルー氏は、こう説明した。サンパウロはブラジルのモデル産業の中心地でもある。

 世界最大のモデル斡旋業者と自負するエリート社には、この業界に送り出した、あるいは契約しているスーパーモデルが複数いる。シンディー・クロフォード、リンダ・エヴァンジェリスタ、ケイト・モス、ナオミ・キャンベル、クラウディア・シファーなどだ。

 イリュージョン2Kは13日(米国時間)にサンパウロで記者会見を開き、同社のバーチャル・モデル、ウェビー・トゥーケイについて発表した。エリート社が100万ドルを投資して宣伝する、はじめての(そして現在のところ唯一の)バーチャルモデルだ。

 プレスリリースによると、スウェーデン人のデザイナー、ステベン・ストールベリ氏が作り出したウェビーの美的なパラメーター(http://www.illusion2k.com/images/webbie_tookay.gif)は、エリート社の創設者、ジョン・カサブランカス氏によって定義されたという。

 もっと多くの人材を集めようとの思いから、イリュージョン2Kは、エリート社の毎年恒例のコンテスト『エリート・モデル・ルック』のバーチャル版『バーチャル・モデル・ルック』をはじめる予定だ。エリート・モデル・ルックには毎年、約30万人の応募者がある。

 バーチャル・モデル・ルックは、エリート・モデル・ルックと合同で、9月に開催される予定。結果は、来年フランスのニースで行なわれる最終選抜で発表される。

 「目的は、ウェビー並みのモデルを作り出せる可能性を秘めた、すべてのアーティストを発掘することだ」とアブルー氏は言う。

 アブルー氏によれば、イリュージョン2Kは近々、数々の事業をウェブで開始する予定。デジタルモデルのウェビーがホストをつとめるニュースサイトやエンターテインメント・ガイド、バーチャルストアなどだ。ウェビーは、映画館の予告編シリーズや、現在制作中のテレビ番組にも登場するという。

 アブルー氏によれば、もしこれらが成功すれば、イリュージョンのバーチャル・モデルには、エリート社に属する人間の超高給モデルに匹敵するモデル料が払われるという。

 「バーチャル・モデルは全員、通常のモデルと同じ待遇を受ける。もし、ジゼル・バンチェンくらい成功すれば、モデル料も同じ程度になる」と、アブルー氏。ブラジル人のジゼルは現在、エリート社のトップ・モデルだとアブルー氏は言う。

 イリュージョン2Kの本部はブラジルにあるが、事業は、世界中にあるエリート社の25の支社で運営される予定だ。

 アイドス社広報のキース・ゲイリー氏によれば、アイドス社はいろいろな提案に対してオープンな立場だが、ララ・クロフトはすでに大規模なマーケティング活動に支援されているので、イリュージョン2Kのサービスは必要ないだろうとのこと。

 クロフトはすでに、イギリスのスポーツ・ドリンクやフランスの車のコマーシャルに登場している。ゲイリー氏によれば、アニメ映画も計画中だという。

 現在ブラボー・ネットワークで再放送(http://www.virtuallot.com/cmp/vault/classic/cl01.htm/)されているテレビ映画『未来テレビ局・ネットワーク23』のマックス・ヘッドルームが、ファッションショーの舞台に登場するかどうかについてはコメントがなかった。


[日本語版:矢倉美登里/合原弘子]



WIRED NEWS原文(English)
  http://www.wired.com/news/news/culture/story/20736.html

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【参考】 ニッポンのホリプロが
      (30年遅れの和田アキコ、15年遅れの山瀬マミとして)妄想した
        “ヴァーチャル・アイドル” ダテ・キョウコについての英文記事

  Importing a Virtual Star
        (by Richard Kadrey /5:02 a.m. Apr. 23, 1998 PDT )
    http://www.wired.com/news/culture/0,1284,11701,00.html
   

With digital heroine Lara Croft pushing sales of Tomb Raider videogames past US$3 million, you'd think there'd be room for another virtual babe to pull in a big audience. So hopes HoriPro, the Japanese talent agency for the ultra-lifelike virtual star Kyoko Date. Kyoko's bubble-gum personality and songs were designed to appeal to Japanese teens. While her CDs have sold, she hasn't translated into an ・ersuccess. So HoriPro set her up with a day job: spokesmodel for Oz Interactive, a San Francisco firm that creates virtual worlds for PCs.

Oz, a company with roots in dance music, plans to put a Euro-style spin on Kyoko, toughening her up for new audiences. So far, Kyoko earns her milk money as a model for Oz's 3-D streaming Web software (www.oz.com/). Longer term, the company hopes to develop her into an entertainment icon, perhaps featuring her in concerts or ads. This may involve computer surgery to modif y her looks. Says Oz spokesperson Daddi Gudbergsson: "Should the German Kyoko Date look the same as the Japanese? Is the American version going to be a little taller, a little thinner, maybe have bigger breasts? These are the exciting opportunities of working with a virtual star."







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