ボイラン博士の六州グランド・ツアー

 
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投稿者 SP' 日時 2000 年 6 月 30 日 20:04:12:

『UFO誘拐事件の真相−−MITからの報告(上)』(C・D・B・ブライアン著、日暮雅通訳、中央公論新社)より。


 会議最終日前夜にあたるこの日の夕食は、前もって手配はされていなかった。私を含め、様々な出版物や番組のためにこの会議を取材してきた人たちのグループが、一緒に夕食を食べながら、非公式に考えを話し合おうということになった。デイヴィッド・チェルニアック、『アトランティック・マンスリー』誌特別プロジェクト部長のカレン・ウェソロウスキー、ワシントンにあるナショナル・パブリック・ラジオのマーガレット・ウェスト、『脳がかかえる爆弾』の著者で、『ディテールズ』誌のために会議を取材しているスティーヴ・フィッシュマン、そして私である。
 私たちが講堂の外の廊下にかたまって、どこで食事するか決めようとしていると、ふいに、リチャード・ボイランが一人で、あてもない様子でふらふらと通りかかった。先刻、不機嫌だと言われていたが、一緒に来ないかと誘うと、感謝して喜んで加わると言った。そして、驚いたことに、その晩の私たちの話題の中心は会議のことではなく、オフレコの(後で公表してもいいことになった)ボイランの話だった。
 ボイランは十週間前の四月、愛車シボレーS−10ブレーザーで「南西部の秘跡と言われるところをめぐる、六州に渡るグランド・ツアー」に出かけた。そこで、UFO現象は巨大で長期的な政府の隠蔽工作の対象となっていると、彼は確信した。
「グランド・ツアー」の途中、ボイランはネバダ州トノパーにある、米国空軍防空本部、トノパー実験場、ネリス実験場の北東隅にある地区51と地区S4(グルーム基地とパプース湖基地)を訪れた。ボイランはそこから、コロラド州との境界線の近くにある、ニューメキシコ州ドゥルセーの北、アーチュリート・ピークへ、さらに、ロス・アラモス郡の大部分にあたる、東西五マイル、南北十三マイルを占める巨大なロス・アラモス国立研究所へ足を延ばした。そこから、アルバカーキの郊外、エネルギー省(戦略防衛構想)の西部地区本部があるカートランド空軍基地、サンディア国立研究所、核防衛局本部、エネルギー省の国立原子力博物館へ。サクラメント・ピークの頂上、ニューメキシコ州サンスポットで足を止めた。そこには、陸軍サクラメント・ピーク周波数監視局と国立太陽観測所がある。サンスポットからボイランは、幅八十二フィートの、国立電波天文台の巨大なパラボラアンテナが二十七基並ぶ、ニューメキシコ州サン・オーガスチン平野へ、そして、カリフォルニア州ランカスター近く、ノースロップの“円盤工場”まで行った。
 夕食時の話によると、ボイランのこの旅の理由は、「新型宇宙兵器とアメリカ製円盤が生産され、実験されているという、政府の秘密基地についての記事を、この数年間目にするから」ということだった。
「ところが、こうした場所や円盤についての証言は決まって“オフレコ”か、“匿名の情報筋から”でした。ですから、自分の目で確かめることにしたんです。
 実は、この議論全体には脚が三本ある、三本脚のスツールのようなものです。UFO現象、地球外生物との接触現象、アメリカ政府の隠蔽現象。“隠蔽”というと、武装対応や戦略防衛構想(SDI)対応までは考えつくでしょうが、三本目の脚、“隠蔽/SDI”があるんです。旅行している間に全部しっかり確認したんですが、米国政府は、スター・ウォーズ兵器、物理学的進歩、輸送力、いずれも、それまでに私が発表されたものから知ったよりも、はるかに進んだところに来ています」
「どんなところに発表されていたものですか?」と私がきく。
「『ロサンゼルス・タイムス』紙のほか、いろいろな雑誌です。『エイヴィエイション・ウィーク・アンド・スペーステクノロジー』、『ポピュラー・メカニクス』、『UFOマガジン』、『MUFONジャーナル』など。ハワード・ブラムの傑作『アウト・ゼア(向こうに)』や、ティモシー・グッドの必読書『トップシークレット』にも、有効な手がかりがたくさんありました。ウィリアム・ハミルトン三世の『宇宙のトップシークレット』の偽情報からも、できるだけ情報を拾おうとしたんですよ。この本、ご存じですか?」
「知りません」私は正直に答える。
「裏表紙に、ゲーリー・シュルツ撮影の、コンピューターで修整された写真が載っているんです。てっぺんがドーム状の、明るいオレンジ色に輝く円盤がはっきりと写っています。私が行ったネリス空軍基地の地区51の中で撮影されたもので、私もそっくりのものを見ましたよ」
「あなたも、そこで円盤を見た? 写真を撮りましたか?」
「円盤は複数です。一基ではありませんでした。でも、遠くて撮影できませんでした。撮っても、せいぜい星のように見えるだけだったでしょう。何マイルも離れていたし、たいした機材も持ち合わせていなかったし。シュルツのほうがずっといい写真を撮っている。もう一人、イスロウ・イソカワという男もいい写真を撮っています。ものすごくいい望遠レンズを使って……でも、円盤だけじゃない。私がこの旅行で見たものは、核融合原子炉が−−小型化されて目立たない、持続式反応型のものです−−それも、もう何年も存在したらしい。少なくとも、七年間はあった」
「ボイラン博士、見ただけで小型核融合原子炉だとわかるんですか?」
「自信はありません」、彼はそう答えて笑う。
「政府の情報を、額面どおりに取っているだけなんです。公表されているんですよ。推定でものを言っているわけではありません。アルバカーキの国立原子力博物館に行って、展示を全部じっくり読んで覚えておくんです。それを総合してみると、非常におもしろいことがいくつも見つかります−−一つには、百兆ボルトの電磁パルスが達成されたということもあります。データをきれぎれに、少しずつ公表しているだけなんですよ。
 トノパー実験場の外には、エネルギー省の施設があります。そして、アルバカーキのカートランド空軍基地の、極端な警備。通電柵がはりめぐらされ、建物に入るには二重ドアになった職員たちの部屋を通り、暗証番号を入力しなければならない。いたるところ、不法侵入には『懲役一年、罰金一万ドル』の警告だらけ。どうですか? いわゆるエネルギー省の施設−−本部であって管理研究所でもないところに、そんなにものものしい軍警備装置ですよ。高度秘密事項取扱許可がなくても、新型兵器の進行具合についての情報がここまで得られることに、ただ感心しましたよ。そして、円盤が生産され、生産現場で試運転され、軍隊実験場でも本格的に試運転されているのを見てわかったんです。UFOがそこらじゅうを飛んでおり、墜落して回収されたらしいということばかりじゃない。自力でか地球外生物の助けを得てなのか知りませんが、技術を盗んで、自分たちの原始的パイパー・カブ機のようなUFOをつくっているんです。空をのろのろ飛んでいるのは、それなんですよ」
「あなたが見た円盤は、人間が自らつくったものだということですか?」
「そうです」、彼は平然と言う。「あんなに不 完全な飛行をする乗り物が、地区51の地面からぽっと出て、異星人はデマだというキャンペーンをしているなんて信じる理由は、どこにもない」。
 私は、テーブルについているほかの人たちを見回す。「最初から話してもらったほうがいいみたいですね」と、私は言う。
「何の最初ですか?」と彼がきく。
「旅行の最初からです」
 ボイランは、最初、ネバダ州の小さな町、トノパーに向かったという。「ブラック・バジェット航空宇宙SDIプロジェクトへの入り口です。もちろん、アルバカーキはもう一つの入り口です。この二つを線で結んでみると、私の調査によれば、ほとんどこの二つの町の間で、ブラック・バジェット航空宇宙SDIプロジェクトは建造され、試運転され、配置されています」と付け加えた。
 ボイランは、ジャケットのポケットからカラーのスナップ写真を取り出して、見せようとする写真を選ぶ。「トノパーの経済は、表向き鉱業が支えていることになっていますが、実は、空軍の航空総隊があるのです」。彼は、政府のものらしい個性のない建物の写真を、テーブルをはさんで座る私にすっと渡す。ボイランが言ったとおりの名前が、建物の看板にある。「つじつまが合いません。一番近い公式の米国空軍施設のネリス空軍基地が、南へ百八十マイルのところ−−もちろん、ネバダ州の北端に米国空軍が極秘に存在するというなら話は別です。実は、それがあるんです」。
 彼が、二枚目の写真をすっと渡す。「サンディア行きシャトル」としるされた、地味な青のスクールバスが写っている。
「ネバダ州トノパーにいるときもこれを見ました。非常に興味深い。サンディア国立研究所は、二つも州を隔てたニューメキシコ州アルバカーキにあるんですから−−もちろん、近くにサンディアが極秘にあるなら話は別。これも、あるんです」
「トノパーから、国道6号で十五マイル南下して、トノパー実験場の出口で降りました」。彼は三枚目の写真を私に渡す。小さなホーク型の個体燃料地対空ロケットが描かれた、トノパー実験場の入り口の看板。「この看板だと、小型ロケットが試験発射されるところだという誤解を招きますよね。でも、入り口から続く道路を十二マイルほど南に走ると、国防省ではなく、エネルギー省のサンディア国立研究所運営の、不規則に広がる巨大な基地に到着しました。話を聞いたサンディア国立研究所の広報担当官によると、『サンディア国立研究所というのは実は、AT&T』なんだそうです。つまり、AT&Tという巨大企業が、物理学研究をスター・ウォーズ兵器に応用するバックについている、と。AT&Tの宣伝文句にある『手を伸ばせば誰かに触れる』ってのは、電磁パルス兵器のことかもしれないな」。彼は苦笑した。
「正門の前に、実験場の従業員宿舎になっている、二階建ての大きな建物が三十棟あります。そして双眼鏡で−−七×三五のです−−五マイルほど先が見渡せましたが、そこにまた、同じように大きな建物がかたまっていました。電磁パルス、粒子ビーム、戦略核やレーザー装置など、エネルギー省の兵器の実験場が、東西数百マイルに渡っているんです。ところで、戦略核兵器は、さらに百マイル南にある、エネルギー省の別の施設、ネバダ実験場で試験されています。一方、アメリカ製の円盤は、百マイル南東のグルーム基地やパプース湖基地で試運転されているんです」
 トノパー実験場の警備員たちは、「“ASI−SWAT”という暗号めいた袖章のある」迷彩色の「ジャンプスーツ」を着ていたと、ボイランは言う。軍の護送隊を満載した二トン半トラックが、ぞろぞろ門に入っていく写真を見せる。先頭のトラックは、すでに道に沿って曲がるところだ。
「正門に近づくと、警備員が二人、無愛想に攻撃の構えで立っています。武器は、直径五インチ、長さ一ヤードほどの、黒の太い筒状に見えましたが、先端には銃身も銃口もありません。私はアメリカや世界の軍隊、警察、特殊部隊の武器に詳しいんですが、こんな変な武器のようなものは見たことがありませんでした。この武器がつきつけられるのを待つまでもなく、通してはもらえないものとあきらめました」
 ボイランはトノパーを後にし、ハイウェイ375を南に八十マイル進み、レイチェルへ向かった。そこは、主にネリス空軍基地の実験場の地区51で働く人たちの移動住宅からなる、ネバダ州の小さなコミュニティーである。レイチェルで人気の社交場は、リトル・ア・レ・イン・バー・アンド・レストランという小さなバーである。空軍の袖章、UFOの写真、絵、記念品、そしてUFO研究家や報道ジャーナリストのサイン入り写真が壁いっぱいに飾ってある。ボイランによると、バーのオーナーであるジョー・トラヴィスが、「ある晩、閉店後にUFOが舞い降りてきて、レストランの部屋全体がぱっと明るくなった」という話をしてくれたという。
 ボイランの話のうちで私が重要だと思ったのは、リトル・ア・レ・イン・バー・アンド・レストランしかない。たとえ軍や政府の施設の警備がものすごく厳重であったとしても、そこで働く人が好んで通うバーさえわかれば、その厳重に警備された門の後ろで実際に何が起こっているのか、たいていはわかるものだ。実際、トノパー実験場がミサイルの研究だけしているのだったら、なぜ地元のバーでそんなにUFOに興味がもたれているのだろうか?
 ボイランは米国測地調査地図(USGS)とハミルトンの著書『宇宙のトップシークレット』を道案内にして、ハイウェイをさらに二十五マイル南東に進んで「悪名高い黒い郵便箱が目印となっている出口」で降り、ぬかるんだ道に気をつけながら西のグルーム湖基地に向かった。その時点ではまだ軍用保留地の境界線から五マイルほど離れた土地管理局の所有地を走っており、ボイランが言うには、「運転していても、絶対、法に触れない場所」だった。
「私は地区51に向かっていたんだし、USGS地形地図を持っていたので、自分がどこにいるか正確にわかっていました。ハイウェイ375から降りて、ほかのことは考えずに運転していました。屋根に棒状ライトが付いた、目立たないフォード=ブロンコ車が、道路の少し脇に、こちら向きに駐まっていました。迷彩色のジャンプスーツを着た、バッジを付けていない男が二人乗っています。『まあ、自由の国なんだから、まぬけなやつらが自分の好みで、砂漠で乗るようなRV車に乗ってることもあるだろうさ』と思った。ところが、通り過ぎざま、彼らが武器を持っていることに気がつきました。そこまでのお人よしじゃありませんから、警備員かもしれないとは思いました。でも、なんだってこんなに遠いところにいるんでしょう。それとわかるようなしるしがあったとしても、私には何も見えませんでした。それでも、『あそことここは離れているから、荒っぽいことになるとしてもまだ五マイル先のことだ』と思いました。つまり、門が閉まっていて、適切な身分証明書を提示できなかったら、戻るように言われるだろうと思ったのです。でも、そこまでのことにはならなかった」。
「そこを通り過ぎるとすぐ、左の後部タイヤがパンクしたのです 。車を止めて外に出てみると、タイヤの側面部に穴があいていた。みごとなものです。泥道で何かひいてタイヤの側面部が破れたわけじゃない。二人のどちらかが、タイヤを撃ったのだという結論に達しました」
「あなたに向けて撃ったんでしょうか?」、私はばかげた質問をしてしまった。
「タイヤを撃ったのです」とボイラン。「一分ほどして、迷彩服の二人組がブロンコでUターンして追いつき、『お困りですか?』ときいてきた。ジャッキを取り出してスペアタイヤに取り替えようとしていたところでしたから、『ええ』と言いました。
『あそこまで行かれるところでしたか?』と、地区51のほうをあごで指しながら言いますので、『そうです』と答えました。
 すると、セキュリティ・バッジを持っているかときかれました。持っていないと言うと、『それでは、行ってもしようがない。その先へは行かれません』と、こうです。
『なぜです? 門に鍵がかかっているとか?』ときくと、『そうです』という答え。
『やれやれ、どっちみちだめみたいですよ。がたぴしと町まで戻って、タイヤを替えなくちゃならない。このタイヤ、撃たれてしまって』と、私は言いました。
『おや、そのようだ。災難ですね』と言って、連中はくすりと笑いながらブロンコに乗り込みました。車は元の場所まで戻っていきました」。
「タイヤがパンクしたとき、その車とあなたのブレーザーはどういう位置関係でした?」と私。
「私は西へ向かって、泥道の右側を走っていました。彼らは東向きに、道路の南側の少し脇にいました。私の反対側から来て、道路の脇へ少しそれたところに止まったという具合です。事が起きたのは、その車の前を通り過ぎた直後です」
「暑かったですか?」
「午後遅い時間で、暖かかったけれどそれほど暑くはなかった。華氏八十度台じゃなかったかな」
「旅の間、タイヤの調子はよかったとのことでしたね?」
「そうですよ−−そうです」
「私もタイヤの側面部に穴が開いたことがありますよ。撃たれたわけじゃなく。タイヤのパンクの原因はほかに考えられませんか?」
「おっしゃりたいことはわかります」、ボイランは言う。「道路で何かをひいて、それが跳ねあがってタイヤを破るんですよね。何もひかなかったんですよ」。
「でも、通り過ぎるとき、バックミラーを見ていたはずです。ブロンコから降りてくる姿は見えなかったのでは?」
「通り過ぎた後、すぐのことだったんです。私はまっすぐ前を見ていました。正直なところ、止まれと合図されたくなかったので、前をまっすぐ見る作戦をとっていたんでね」
「タイヤが撃たれたという以外に説明はつきませんか?」
「そうですねえ、私もほかの理由を考えてはみました。でも、率直に言って、ほかに考えられなかったからこそ、仕方なくこの結論に達しました。それに、あの二人といい、トノパー実験場の警備員二人の、見るからに断固とした、どことなく脅迫めいた態度といい……」、ボイランは肩をすくめて、話を打ち切った。
「それで、どうなさったのですか?」
「逃げました」、彼は苦笑する。「暗くなるのを待って戻り、最後にブロンコを見た位置から東へ四分の一マイルほどのところに慎重に駐車して、双眼鏡を取り出しました。午後九時から十時半までねばって、地区51とS4の上空のグルーム山脈のうねを眺めていました。この間、丸い明るい光が三つ、山脈のうねの下から浮かび上がるのを見ました。おそらく砂漠の地面から、あるいは別のどこか低空を高速飛行していたのが、突然垂直に浮かび上がったのだと思います」。
「最初の一つを見つけたのは、九時半ごろです。明るいゴールデン・オレンジの丸い光が、グルーム山脈のうしろから垂直に浮かび上がりました。山脈のその位置の高度は、おそらく千二百フィートくらい。あまり高い山脈ではありません。五百フィートくらいの余裕をもって山を越し、それから水平飛行してしばらく空中に浮いていたかと思うと、ゆっくり南へ千フィートほど漂うように飛行しました。強烈な、赤みがかったオレンジの光を発していました。機体の内側からの光というよりはイオン化現象の光のようで、宇宙船機体全体が強烈なイオンを発しているようでした。つまり、宇宙船が発光体であって、内部に光源があるわけではないということです。それから、ゆっくりと、山脈の後部を垂直に下降していきました。
 その物体は、ゲーリー・シュルツの写真に撮られた物体と同じ色と形で、見ている方向も写真と同じでした。ゲーリー・シュルツは写真を拡大してコンピューター処理し、てっぺんがドーム形の円盤がイオンの光を放っているのがわかるようにしたんです。シュルツはそれをHPAC−地球人力式の異星人の宇宙船(human-powered alien craft)と呼びました。
 まもなく二番目の、まぶしいほどに輝く丸い物体が垂直に上昇して、山脈のうねの五百フィートほど上空のところに浮かび上がりました。この物体は、まぶしい青白い光を、明らかに表面から放出していました。それから、目が回りそうなすごいスピードで動き始めた。次々と、振り子のような動き、ジグザグの動き、前後の動きを見せます。わずか一秒の何分の一かの周期で、一回に九百フィートほども飛ぶんです! あんなターンや鋭角をこなしながら、あれほどの速さで飛び回れるものがあるのかと思うと、ただただびっくりしました。
 目のくらむような曲芸飛行の後、その物体はしばらく落ち着いて浮いていましたが、また回転を開始しました。超高速の動きは、二回とも一分強続きました。やっと静止して浮いたかと思うと、一定の高度を保ち、時速八十マイルほどの速さで、南に向かって飛び始めました。私は三十マイルほど目で追いましたが、星と見分けがつかなくなってしまいました。
 その物体が消えてから三十分ほどして、同じように強烈に赤みがかったオレンジのような金色に輝く、三番目の丸い物体が、グルーム山脈の上空に上昇してゆっくり漂い、それからまたたき始めました。次に、一定の高さで毎時八十マイルほどの速さで、すべるように下降しましたが、不規則な間隔で気まぐれに、前方に飛んでゆくのです」
 ボイランはちょっと息をついてから続ける。「もう一つ奇妙だったことは、この宇宙船の外見が閃光を発しながら変わることでした。あるときは明るいゴールデン・オレンジに光る、くっきりした形の球体(オーブ)、またあるときは、ぼうっと金色に光る球型(スフィア)、と」。
 私はボイランに尋ねた。これもヘリコプターのような従来型の機械だったとしたら、エンジン音が聞こえたはずだろうか?
「そうですね、聞こえたと思います。十分静かでしたから。何でも聞こえたと思います。例えば、見張りをしていた夕方のある時点で、小さな複葉機が遠くを通過したのですが、二十分くらいはぶんぶんいう音が聞こえていました。地平線を越えてすぐから、次の地平線にたどり着くまで、聞こえていましたね」
「そして、あなたの見た空飛ぶ物体の一群は音を立てなかった ?」
「全然音がしなかった。それに、曲がるときのあの角度といったら! あんな角度で、あんなに速く動けるジェット機やヘリコプターはありませんよ。ばらばらになってしまう! あんなに速く操縦はできません。ちょっとしたワープのようなことをしてのけて、宇宙船の機体をしばらく見失ったこともある。ここかと思うとまたあちら。実にとんでもない動きでした!」
「先ほど、円盤は私たちのものであるとおっしゃいましたね−−どうしてそう思ったのですか?−−『原始的なパイパー・カブ機』ですか? なぜそういう言い方を?」
「そうですね、どちらかというと保守的なゆっくりとした方法で操縦されていて、地球外生命体のUFO報告にあるような大胆な操縦や突然すばやく出発してしまうスタイルはとりませんでした。それで、技術が原始的な、あるいはパイロットの操縦が初期段階の、アメリカ製の円盤だという結論に達したのです。しかし、二番目の物体が展開した超高速曲芸飛行からは、この宇宙船が少なくとも慣性を、そしてそのためには重力をも超越することができたことがうかがえるのではないでしょうか」
 ボイランはさらに話し続ける。「ハワード・ブラムは著書『アウト・ゼア』の中で、ニューメキシコ州ドゥルセーのちょっと北にあるアーチュリート・ピークには、地下の基地があると報告しています」。
 ブラムは、メサを車で回って不思議な「牧場」を発見したが、それは「ビーファロの飼育場」であるらしいということだ。「ところがです。道路と二軒の建物に挟まれた牧場の前の庭には、支柱に支えられた二十五フィートほどの高さの、奇妙な警備塔が四つあったんです」。
 その写真もある。彼の結論はこうだ。「目に見えるよりももっと深いことがあるように思えます」。
 ボイランは、アーチュリート・ピークから、巨大なロス・アラモス国立研究所に行った。そこでは、「カリフォルニア大学がエネルギー省のために、兵器に応用できる理論的な研究をしている」そうだ。彼は正門のところで、不法侵入禁止や放射能注意の看板、ヒトゲノム研究センターとHIV(エイズ)の研究データベースが入っているT−10研究棟を写真に撮った。
「国立予防衛生研究所ではなく、軍の兵器関係研究の総合ビルが関係しているなんて、いささか妙です」とボイランは言う。「エイズは、生物兵器が抑制できなくなった結果の病気だという噂が思い出されます。さらに興味深いのは、理論生物学と生物物理学の研究所が置かれている、また別の建物です」。
 ボイランは、その建物の写真をすっと渡し、ついさっき言ったことを訂正した。
「ニューメキシコ州のコロナの近くでUFOが墜落したときの地球外生命の死体を、ロス・アラモスへ研究のために運んだ、という噂が本当なら説明はつくのですが。
 ロス・アラモス研究所では、核や新規の生物学以外にも、強烈な磁界をどうやって軍に応用するかの研究も、国立高等磁場研究所で行っています。これは、重力/反重力の研究の必要条件です。ロス・アラモスで研究された兵器用の理論は、アルバカーキのサンディア国立研究所で、ハイテク兵器の実働模型に移植されます……」
 ボイランはそれから、アルバカーキの南東にある、カートランド空軍基地を訪れた。そこでは、エネルギー省の南東地区本部(彼は写真を見せた)、サンディア国立研究所(写真)、インターサービス核兵器研究所(写真)、そしてエネルギー省の国立原子力博物館(写真)を発見した。
 国立原子力博物館でボイランは、米国が「RV車のプロパンガス・タンクほどの大きさの水素爆弾を、現在保有している」こと、そして、米国がこの五年間「強力な磁界に封じられた、持続式の核融合を行っている」ということを知った。
「レーザーを使って核分裂性の原料を爆発させ、核融合を起こしているのです。これは、無尽蔵の、どちらかというと、コンパクトなエネルギー源です。そして、私が地区51で目撃した、重力をものともしない宇宙船の動力かもしれません」
 ボイランは、国立原子力博物館で、サンディア国立研究所が「粒子加速の高等技術を達成し、太さ一インチのリチウムダイオードを使って、百兆ボルトのイオン・バーストを発生させられる」ことを知った。サンディア国立研究所とその実験場は、エネルギー省の本部の南と東に延びており、カートランド空軍基地の大部分を占めているという。「看板に示された活動は、原子力、磁気、太陽、電磁パルス、レーザー、粒子ビームなどのエネルギーの研究で、ほとんどが兵器への応用です。でも、私が発見したスター・ウォーズ兵器研究への応用の呼び物は、『プロジェクト・アリエス』でした。つまり電磁パルス(EMP)最先端研究シミュレーション場です。そこにはEG&Gが、核防衛局のために二ブロックの区間に渡る装置を建造していました。なんのことかわかりますか?」
「EG&Gがですか?」と私は言った。
「エドガートン、ゲルムハウゼン&グレーア。ワッケンハット社とともに、地区51とS4の警備、プロジェクト・アリエスのような秘密兵器開発、そして米国政府のための様々な原子力施設管理をしている、あやしい企業です。電磁パルス兵器は一ブロック半の長さの円筒を水平に置いたような形で、それが高さ二十五フィートの木製の架台に支えられ、二階建ての塔につながっています。その塔はさらに、大きなアームと大量のケーブルの付いた巨大な電気的装置につながっており、非常に大きなヴァンドグラーフ起電機のように見えました。とうとう長いこと噂されてきた、電磁パルス起電機ができたのです!」
 その写真はなかった。
 百兆ボルトの電磁バーストは明らかに「単なる新しい弾道ミサイルにしては過剰な殺戮力」なので、地球外生命のUFOに対抗するために設計されたものだろう、とボイランは言った。
 太陽光線兵器の研究所から帰り道を探しているとき、彼は「ティモシー・グッドの著書『トップシークレット』に書かれている、核兵器や回収されたUFOのような極秘のものを保管するため山の横腹にトンネルを掘って作った、有名なマンザノ山兵器保管施設」を発見した、と言った。
 ボイランは、マンザノの警備の厳重さに感心した。複合ビル全体は、「鉄条網の張られた、三つの高い柵に取り囲まれ、その柵の間の地面には、おそらく動きを察知するセンサーが埋め込まれて」いたという。「武装した警備員が、常に周辺をパトロールしています。マンザノの北端には、悪名高きコヨーテ・キャニオン実験場があり、そこでは空軍、エネルギー省、そしてサンディア国立研究所の、最上級の機密研究が行われています。ここは一九七九年に、UFOが低空で浮いているのをアメリカ空軍が発見した地域です」。
「コヨーテ・キャニオンの途中までを双眼鏡で覗くと、高さ二十フィートの奇妙な金属の球が、地面に止まっているのが見えました。それは、四本の柱で支えられた平らなブリキの屋根で覆われていました。目的は不明です」と、ボイランのツアーの話は続いた。「コヨーテ・キャニオンでの研究が何であるにしろ、そのせいで、その 地区の水は、飲めず、手を洗うことさえできませんでした」と言って水に対する警告を記したカンバンの写真を見せた。
 ボイランは、コヨーテ・キャニオンから南のアルモゴードにある、サンスポットの国立太陽観測所へ向かった。九千二百フィートある、サクラメント・ピークのてっぺんにあるその観測所は、宇宙船の運行や人工衛星の安定性に対し、太陽の電磁放射や、地磁気の擾乱がどのように影響を及ぼしているかを監視するために使用されている、とボイランは説明した。観測所の入り口の看板の下には、国家安全保障局による最上級の極秘分類である「招かれない客という意味のUmbra」という小さな追加表示があったともいう。
「国立太陽観測所から東へ千フィート進んだところに、陸軍のサクラメント・ピーク周波数監視局がありました。そこには、立入禁止や、厳重な罰を警告するいくつかの看板があります。この局は、ホワイト・サンズ・ミサイル発射場、ホロマン空軍基地、そしてNASAのジョンソン宇宙基地秘密複合ビルの上空で行われている、電磁波コミュニケーションや遠隔測定データを監視するものです。私の遠隔観察を行っているコンサルタントによると、この監視局の地下には施設があって、電磁波を出しているということです。この電磁波施設の近くで、なぜコオロギや森の音がしなかったのかが、これで説明されます。たぶん、これは国家安全保障……」
「ボイラン博士、申しわけありませんが」と私は彼の話をさえぎった。「そうした地下の施設を報告したのは、誰だとおっしゃいましたか?」。
「私の遠隔観察を行っているコンサルタントである、ナンシー・マッツです。彼女は、私がサクラメントに戻るときに相談する女性です。彼女は、アーチュリート・メサでいくつかの段階の部屋が発掘されたが、山中で大きな地殻変動が起き、その部屋が陥没してしまったと話しました」
「彼女も、あなたと一緒にいたのですか?」
「いいえ、違います。サクラメントに戻って、相談したのです。彼女は遠隔観察者です。すなわち、遠隔地のことを観察できる、心霊術に恵まれている人なのです。つまり、彼女は頭の中で、あなたと一緒に、あなたが行ったことのある場所へ行き、見たことがあるものや、思い出すのが難しいことを、見ることができるのです」
「彼女は、どうやってそうするのですか?」
「スタブルバインの弟子で、『秘密工作員』である、ジョン何とか博士……サイコープ社のジョン・アレキサンダーに、会議で会いましたか?」
「会っていないと思います」
「サイコープは、陸軍諜報部心理戦争部門の民間版です。アレキサンダーの上司であるスタブルバインは、軍の諜報部にいたときにやっていたことに関しては、わりと無理なく話をしてくれました。ブラムの著書『アウト・ゼア』でも、国防省にいる男たちが、遠隔観測を通して大西洋のソ連潜水艦を発見し、その正確な緯度と経度を教えることができたということが、少し書かれています。スタブルバインとアレキサンダーは、この行為を民間に移して、自分たちの遠隔観測者のグループをつくったのです。彼らの主要な顧客は、今でも絶対にCIAだと思います。とにかく、私のコンサルタントは、彼らのグループではありませんが、何らかの神の力によってか、それぞれそういう能力に恵まれているのです。そして、私が南西部のグランド・ツアーに出かけているとき、私が見ているものを見ることができ、さらに細部まで収集することができたのです。このいくつかは、おもしろいことに、私やほかの人たちによって確証されました。私が遠隔観測を通して、例えば発掘された部屋とか、いくつか詳細を得たと言うのは、そういうことなんです」
「遠隔観測ですか」と私はまじめな顔で言った。
 ボイランは、ホロマン空軍基地、ホワイト・サンズ・ミサイル発射場、NASAのジョンソン宇宙基地の警備があまりにも厳重だったので、長さ二マイル、幅一マイルに渡る、ひっくり返ったTの文字のような、二十七の巨大なパラボラアンテナが、北向きに鋭角をなして並んでいる、国立電波天文台(NRAO)へ進んだ。
「この施設の表向きの目的は、天から弱い無線波を集めることです。つまり、無線周波の領域の電磁放射をする恒星やエネルギーをもったガスのかたまりの位置を示すことによって、天の地図を作成しているだけだというのです。しかし、このツアーでめぐった他の場所と同じように、NRAOは単なる観測所ではありません。本部の隣に駐車していたのは、NRAOのマークが入った陸軍のトラック、そして、NRAOのマーク入りの二台の救急車でした! 二台ですよ! それを見て私が推測したのは、そこで働いているほんのわずかな天文学者たちに、ひどい事故があったのではないかということでした!
 ご存じのように、米国は、十月十二日のコロンブスが新世界を発見した五百年記念に、宇宙からの知的存在の送信を聞き取るため、電波望遠鏡を使い始めると発表します。この政府の一方的ともいえる発表の目的は、地球外生命とのコミュニケーションがばれるのを覆い隠すことにあり、最終的には、地球外生命と政府との接触に自由な参入をさせないことにつながります。
 推測ではなく、はっきりしていることは、政府のNRAOのパラボラ・アンテナも、超強力な信号を宇宙に送信するために使用されているという物的証拠があることです! とりわけ、北の地平線のちょっと上の方向に向かってです。手がかりの一つは、私が近くのレストランで、NRAOの天文学者四人の隣で、夕食を食べているときに得ました。一人は、自分の研究をするのに、無線受信アンテナが予約できないことについて文句を言っていました。でも、私が観測所にいた間、二十七のパラボラ・アンテナは、みな空の主要な部分には向いておらず、北にある低いターゲットか何かに向いていました。さらに、こうした観測所の本部でのパラボラ・アンテナの写真は、すべてのアンテナが、同じ低い角度で北を向いているのが映っていました。使用する時間の競争率がそんなに高いのに、どうしてしつこく空の特定の部分に焦点を当てているのでしょうか?
 サン・オーガスティンの平野にある、NRAOの位置が、別の手がかりです。ラジオ局や電磁波放射のある都市から遠く離れているため、わざと選ばれた、さびれた静かな地区です。でも、物的証拠を手に入れたのは、私がNRAOを去った後でした。私が、巨大なアンテナから二マイルくらい離れ、FMラジオとCB無線を両方つけているときのことでした。ラジオが両方とも、これまでに聞いたことがない強烈な、キーという音を立てたり、唸ったりしたんです! そのうんざりするような騒音は、数分間続きました。私は、自分の耳を疑いました。NRAOはどうして、宇宙からのかすかな無線信号を聞き取るという作業に、このような強力な電磁波信号が干渉するのを許しているのだろうか? 私は仕方なくラジオを消し、二十マイル北西にあるパイ・タウンに到着するまで、つけませんでした。ラジオを両方つけなおすと、あの耳のつぶれるようなキーという音が、まだ続いていました。二分くらい続き ましたが、ありがたいことにやみました。その後、FMもCBも完全に機能し、騒音は二度と聞こえませんでした。
 私が耳にしたことから推測できたのは、NRAOが宇宙から信号を受け取っているだけでなく、送っているのだということです! 電磁場が距離に比例して減少するという法則にしたがうと、CBとFMの両方の電波を、二十一マイル離れた地点で圧倒してしまう力があるというのは、NRAOのアンテナが相当なパワーで送信していることを示しています。そして、それは宇宙に信号を貫通させるのにふさわしいパワーだと思われました。私が疑問に思ったのは、政府が誰に向かって、信号を発しているのかということでした。そして、どうしてSETIの目的について、嘘をついているのでしょうか?」
 パイ・タウンでボイランは、建設中の“超大型ベースライン・アレイ”を見学しに行ったと説明した。この巨大な電波望遠鏡は、プエルトリコ、ウェスト・ヴァージニア、そしてハワイに、すでに存在する電波望遠鏡と接続し、地球の八分の一の大きさの「お皿」がある「アンテナ」を作るはずだったが、彼が目撃した、唯一行われていた工事は、目的がわからない直径十フィートのパイプのものであった。
「パイ・タウンで実際に行われていることは、わかりません。そして、私は最終目的地である、カリフォルニア州のブラック・バジェット・パームデイル・ランカスター地区に向かいました」と彼は、私たちに言った。
 ロサンゼルスの六十マイル北にある、エドワーズ空軍基地の東にあるテラカピ山脈の中で、ボイランは、テジョン牧場にたどり着いた。
「研究者であるウィリアム・ハミルトン三世の著書『宇宙のトップシークレット』によると、ここではノースロップ社が円盤の秘密作業を行っています。ビルの説明にしたがって、私は高速道路138から道路190を、ランカスターから西へ七マイル進み、そこから北へ三マイルのカーン郡の境界線まで運転しました。ビルの言ったことは、本当でした。四月十五日の午前三時から五時までの間、双眼鏡を持って見張っていると、私は地区51とS4で見たのと同じような、激しく燃えているような、明るい金オレンジの宇宙船が試運転されているのを見ました。私が見ていると、四つの非常に明るい金オレンジの球体が上昇し、試しに一マイル半のループを一巡しました。三十分の間隔で、それぞれの球体は離陸し、それぞれのコースを一巡しました。最初の三つは、ノースロップ社の複合ビルから南西の方向にある格納庫と見られるあたりから離陸しました。地面では、それぞれの宇宙船は、初めは光を放っていませんでしたが、月明かりをいっぱいに浴びて、中から明かりのある丸窓のついた、航空機が止まっているように見えました。宇宙船の幅は、五十フィートくらいあると推測されました。
 それぞれが上昇し始めると、機体のいたるところが強烈に光り始めました。それは、まるで機体自体が、あるいは機体の周囲のイオン化場が、光を放出しているようでした。地面からノースロップ社の工場の二百フィートくらい上空まで垂直に上昇するのに比例して、光の明るさは増していきました。宇宙船は、この高度で、最高の明るさを放ちながら舞っており、それからゆっくりと南西に向かって、毎時十五マイルの速度で、一マイル半くらい滑るように飛行しました。そして、宇宙船は停止し、さらに強い光を発している丸い船底を見せながら、ぐるっと向きを変えました。それから、それぞれの宇宙船は、中間地域に戻って浮いており、それから垂直に地面に戻りました。いったん地面に着くと、それぞれ後ろから明かりが当たっている丸窓以外は、明るい光を放出するのをやめました。
 四番目の宇宙船は、北東の方向で、ループを描きました。こうした飛行は、それぞれの宇宙船が、米国の円盤部隊の仲間入りをする前に、地区S4に運ばれ、完全な屋外試運転を受ける前に、実際に飛ぶかどうかを試す、非常に短くて、慎重な『試運転』のようでした」
「そうした一連のことから、何をお考えですか?」と私は聞いた。「つまり、一番猜疑心が強くなっているときは、どういうことを考えましたか?」。
「猜疑心が強くなっていたのは、私ではないかもしれません」
「では、誰ですか?」
「政府です。そうでなければ、ソ連が崩壊して、ソ連のミサイルの脅威がいちじるしく減ったのに、戦略防衛構想の予算が過去三年の間に、毎年三十三パーセントずつ増加しているのはおかしいではありませんか? レオナルド・ストリングフィールドが、表向きには、ロシアのミサイル攻撃に対する防衛構想として考え出されたスター・ウォーズ計画が、最初からUFOに対する防衛と関係があったと言ったのをご存じですか? 『社会問題に関心を持つ科学者組合』は、議会やブッシュ政権が提案したような大規模な、戦略防衛構想を必要とする根拠は何もなかったと主張しています。戦略防衛構想が、ロシアのミサイルを止める以外の目的があることを示唆しているように思えますし、その目的とは、地球外生命と彼らのUFOに対する、武力による報復手段だと私は思います」
「どのような報復手段のことを言っているのですか?」
「私の六州を巡るグランド・ツアーで見たような報復手段です」とボイランは答えた。「原子力、レーザー光線、電磁パルス、そして素粒子ビームの兵器です。いいですか、NASA自身が、スペース・シャトルのディスカバリー号に乗った宇宙飛行士が、UFOが地球の大気圏のちょっと上を通過している、生中継の映像を地球に送信し、うっかりドキュメンタリーの証拠を提供してしまったのです。このテープでは、UFOが直線を描いて漂い、突然右九十度に曲がり、宇宙の彼方へ加速して去ってしまい、ちょうどそのときに地球からの指向性パルスの高エネルギー光線が、UFOが千分の一秒前に去ってしまっていなければ、位置しているはずだった場所を照らすのが見えます。そして、このビデオは、一九九二年の六月五日、NBCの『ハードコピー』という番組で放送されたのです。番組のコピーをもらって、ご自分でご覧ください!」。
「でも、それがあなたの言っている内容のビデオだとしたら、なぜ夕方のニュースで取り上げられなかったのですか?」
「それは、もちろんNASAが、その映像に見られるUFOが氷か水以外の何物でもない、と言っているからです。全くUFOではないと」
「それでは、誰がUFOだと言っているのですか?」
「そうですね、『ハードコピー』で放送されたとき、『UFOマガジン』誌の編集者のドン・エッカーが、スター・ウォーズ兵器が地球の大気圏の上のUFOに向かって攻撃しているように見えると言ったのです。そして、私の研究からも、そのように見えます。ネバダ州に米国の円盤部隊を集めているのも、地球外生命のUFOと技術的に対等なレベルで戦闘するために、能力を開発している努力の一部であると見受けられます。ですから、私が質問したいのは次のことです。米国政府の積極的な、あなたの言葉を借りれば、猜疑心の強い、スター・ウォーズ構想が、ほかの惑星からの知性的生物の訪問に対し て、私たちの名前で行われてもいいのでしょうか? 私たちの税金のうちの八十億ドルが使われてもいいのでしょうか? 八十億ドルというのは、ついでに言うと、戦略防衛構想の一九九三年から二〇〇五年の予算です。エドモンド・バークがかつて言ったように、十分な数の善良な男女が何もしないと、悪がはびこるのです」
「私たちは何をしたらいいと思いますか?」
「いわゆるブラック・バジェットが、公開審査と議論できるように、完全に議会と公衆に公表されるよう要求することです。これは、特に国家安全保障局、CIA、防衛諜報局などを含む、すべての諜報予算のことです。そして最後に、私たちは、議会に、例えば、一九四七年の九月二十四日に、一般の米国人から地球外生命との接触を隠すために、トルーマンが極秘の大統領行政命令を発して、MJ12が設定されたように、大統領が責任なく行政命令を発することを違法とし、無効とする法律を承認するよう要求する必要があります」
 一時休止であった。(p284-311)



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