Tweet |
2000.06.24 Web posted at: 8:57 AM JST (2357 GMT) (AP)
シリコンチップと人工の神経細胞(ニューロン)の組み合わせによる新しい形態の人工頭脳が、英国の科学雑誌「ネイチャー」の6月22日号に発表された。これまでも、トランジスターとシリコンを使用した同様の研究は進められてきたが、大脳皮質のニューロン・ネットワークの働きを参考にした電子回路は、今回が初めて。SF映画でみるように思考能力や学習能力を持つロボットには、まだ遠いものの、新技術による「視聴する」コンピューター開発への発展が期待される。
同電子回路を開発したのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)でコンピューターサイエンスを教えるラフール・サーぺシュカー教授など、コンピューター、ニューロコンピューター、知覚研究の専門家らのチーム。
新開発の鍵は、「アナログ」と「デジタル」の両演算処理方式の同時利用を可能にしたこと。2進法の論理で演算するコンピューターは、デジタル方式を使う。これに対し、人間の頭脳内のニューロンは、隣接する他のニューロンからの信号に反応し発信するデジタル的な反応と、その他の化学反応によって、多様に変化するアナログ的反応の両方を併せ持つ。この作用のため、人間の知覚は、ひとつの物体に焦点を当てたり、方向や速度、色彩の違いを知覚することができる。これまでのデジタル式回路では、こうした柔軟な反応を模倣することは不可能だった。デジタルとアナログの2つの演算法式の融合に着眼した今回の研究は、より実物に近い人工頭脳の開発にむけての壁を破ったといえそうだ。
研究者は、頭脳内のニューロンが相互に信号を送り合い反応する仕組みをヒントにし、シリコンチップに組み込んだ人工ニューロンに興奮と抑制の役割を与え、近接するニューロン同士が相互作用するように設計。興奮二ューロンは、抑制信号を受け取り沈静化し、抑制ニューロは興奮の信号で活発化するという仕組みだ。
サーぺシュカー教授は、人工電子回路が2400億のニューロンを持つ人間の頭脳のレベルに達するには、少なくとも後50年はかかるという。しかし、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のディーン・ブアノモノ教授は、たとえ簡単な電子回路でも、脳などの生物ネットワークがどう機能しているのか理解を深めるのに役立つとコメントした。
★コードネームは「マギ(東方の三博士)」でしょうか(笑)