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**その昔浮世絵のわじるしはやんごとなきお方がたの嫁入り道具の一つでありました。
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パンダの子づくり大作戦、交尾学習中 2000.5.19(朝日)
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中国の「国宝」と呼ばれるパンダが、年に1度の発情期を迎えている。中国政府は18年ぶりに全国的なパンダの生態調査を始めたが、頭数は減少していると見られている。何とか数を増やそうと、研究者たちはあの手この手で人工繁殖に懸命だ。野性を忘れて交尾ができなくなったパンダに対しては、「学習」が繰り返される。「パンダの古里」とされる四川省を訪ねた。
「キューッ。ゴッゴッ」
興奮したパンダの甘い叫び声が大音量で響く。ササが散らばる薄暗い畜舎の中で、パンダの交尾を録画したビデオが流れていた。6歳のオスの希夢(シーモン)はしきりに立ったり、走ったり。落ち着かない様子だ。
標高2、000メートルの山間部、四川省ブン川県にある臥竜自然保護区の「中国パンダ保護研究センター」には39頭のパンダがいる。3月から6月ごろまでに10日前後の発情期を迎え、研究員たちは交尾を成功させようと取り組む。交尾ビデオでの刺激はその一つだ。
メスには排卵促進剤や漢方薬を慎重に投与。一方、オスは交尾の仕方が分からないものが多く、研究員たちを悩ませる。自然を忘れているからだ。
同センターでは、ほかのパンダの交尾を「のぞき見」させたり、音を聞かせたりする方法で、性教育を行ってきた。希夢は去年からビデオ学習を始め、3月に初めて「経験」。受精の結果が期待されている。
「文明的な生活によるストレスが、交尾をできなくした。飼育環境や、えさの分量を変えるなど模索はつきない」と同センターの張貴権・主任補佐。
一方、同省成都市の成都動物園にいる27頭のうち、交尾が出来るオスは16歳の蘭蘭(ランラン)だけ。この時期、全国からメスが集まってくる。優雅にササを食べながら寝転がる蘭蘭のおりの隣で、メス3頭がしりを上げるポーズを繰り返していた。
「我々も多くの失敗をしてきました」と費立松・副園長は打ち明ける。
例えば、オスの初めての相手には年上のメスを選ぶ。初体験同士はどちらも緊張して、うまくいかない確率が高い。それどころか、オスの心に「失敗した」との深い傷を負わせ、性欲があっても交尾不能になってしまうという。
国家林業局は今年、1982年以来の大規模なパンダの生態調査に着手した。結果は夏にも出るが、生息頭数は前回を大幅に下回りそうだ。環境破壊、ササの減少、毛皮を狙った密猟などが、その原因らしい。
中国にとって、パンダは希少動物である以上に、「外交をこなす友好大使」の役割を担う。人工繁殖研究は重視され、体外受精のほか、クローン技術導入の報道もある。しかし、実験に厳しい制約があるため、技術の進展は早くない。
張主任補佐は「精いっぱいやるが、人間の助けには限界がある。クローン・パンダまでを作るべきなのか……。結局はパンダ自身の種の繁栄本能にかけるしかない」と強調した。(18:38)