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高知知事が県体協新会長に異議 組長尊敬表明、適格か
十六日開かれた県体育協会の十一年度定時理事会・評議員会で弘瀬勝
会長代理が会長に昇格した人事について、橋本大二郎知事は十七日、「暴
力団との付き合いを公然と表明し、組長を尊敬していると言う人が国体の主
催団体の長となり、青少年の育成を担うことが正しいことかどうか。今回の
会長交代劇は二〇〇二年高知国体の開催に大きな影を落とすことになる」
と述べ、会長人事に強い疑問を呈した。
弘瀬会長代理は三月四日に高知市内で開かれた県体協の臨時理事会・
評議員会で、広域暴力団山口組の田岡一雄三代目組長(故人)と一緒に納
まった写真を配布し、「人生の三人の師のうちの一人」などと発言。会長昇
格が決まった十六日の記者会見でも「自分が尊敬できる人間を尊敬したと
言った」と述べた。
これらを受けて、橋本知事は「県として極めて憂慮すべき事態だ。強い懸
念の意を表明したい」として、緊急の記者会見を県庁内で開いた。
知事は県体協を「国体で天皇、皇后両陛下をお迎えする主催団体」「青少
年育成の重要な使命を担っている団体」と位置付けた上で、弘瀬会長代理
が配布した写真を示しながら「暴力団との付き合いを公然と表明し、組長を
尊敬していると言う人が、そうした団体の長のポストにふさわしいかどうか、
県民に問い掛けたい」と疑問を呈した。
さらに、十六日の理事会・評議員会の開催の経過について「県体協の幹部から、会の案内には役員改選の
案件が出ていなかったと聞いている。このような会の持ち方そのものが正常な在り方か、県体協に加盟する団
体の皆さんにも考えてもらいたい」と指摘。
「国体は県にとって重要な課題。成功へ向けて県体協の中で真摯(しんし)な思いで熱心に取り組んでおられ
る方々のためにも、今回の交代劇は大きな影を落とすことになるのではないか。こうした影を振り払って、本当
に県民挙げて取り組める国体にすることが、県として大切な姿勢だ」と強調した。
また「日本体育協会の安西孝之会長に直接このことをお伝えし、どう考えるかもお聞きしたい」と述べ、国へ
の要望活動で二十三日から上京する際に会談できるよう日程を調整していることを明らかにした。
県体協の会長人事については、大崎博澄県教育長も四月二十日開かれた県議会総務委員会で「リーダーと
してふさわしい方を選んでほしい」などと発言している。
【写真】弘瀬勝県体協会長代理が県体協の会合で配布した写真を手に記者会見する橋本大二郎知事(県庁
第2応接室)
「知事発言重く受け止める」 県体協・入交太二郎会長
会長任期が七月二十三日まである入交太二郎県体育協会会長は十七日、橋本大二郎知事が会長人事問
題で異例の記者会見を開いたことについて、「(県体協は)県、県教委から指導を受ける立場にある。知事の発
言を重く受け止め、善処を考えたい」と述べた。
入交会長は、十六日の理事会・評議員会は所用のため欠席していた。事前の案内には人事案件は議題に
上っておらず、理事会開催の手続き上の問題点を指摘する声があることから、入交会長は「理事会・評議員会
を再度招集することも視野に入れている」と話している。
「後ろめたい点ない」 弘瀬氏
橋本大二郎知事が十七日、県体協新会長に決まった弘瀬勝氏の暴力団組長との交遊問題に懸念を示した
ことについて、弘瀬氏は病気療養中の高知市浦戸の自宅で「二十年以上も前に、旅行先の桂浜で病気で困っ
ていた人を助けたら、たまたま山口組組長だったというだけのこと。こちらに後ろめたいところはない」と述べ、
会長辞任を考えるような問題ではないという考えを重ねて示した。
また、橋本知事が下旬にも日体協会長を訪ねて意見を聞く意向があることについては、「誤解があっては困る
ので、(県体協として)先に複数の幹部を上京させ、事情を説明したい」と話した。
日本体協は当面静観
橋本大二郎知事が県体協会長人事について緊急会見したことを受け、日本体協の岡崎助一事務局長は十
七日、「高知県内の人事をめぐる問題だから、高知県内で解決していただくしかない」と述べ、日本体協として
は当面静観する姿勢を示した。
岡崎事務局長は「いまのところは(日本体協として)口出しはできない。何か問題が起こったときに何らかの
対処方針を打ち出せるが、何もない段階で(弘瀬氏の会長が)ふさわしくないとは言えない」と話した。
「事態を知ってもらいたい」 記者会見での主なやりとり
橋本知事の記者会見で、記者団との主なやりとりは次の通り。
――弘瀬氏に会長就任をやめてほしいと思っているのか。
それは私が言うべきことではない。県体協の傘下の競技団体や県民の皆さんにとにかく事態を知っていただ
くことが大事だ、と考えて会見を開いた。私の発言を受けての行動や反応は想定していないし、期待していな
い。
――弘瀬氏は県政に協力してきたとの思いが強いようだが、県として協力を求めたり、協力を得たことはある
のか。
そう聞いている。県職員やOBから具体的な報告を聞いたことはないが、総合的に判断すれば、そういうこと
は十分にあったと想定される。「こういうことをお願いします」と、(県が)一筆入れたケースも多々あったのでは
ないかと想定している。
――イレギュラーな形にしろ、協力を求めることがあったということか。
あったということだ。
――そのことをやむを得なかったと考えているか、不適切だと考えているか。
不適切だと思う。それぞれの時点でやむを得なかったのか、不適切だったのかというバランスは(現時点と
は)やや異なっているとは思うが、今の時点では明らかに不適切だと思うし、今後、そうしたことは一切なくして
いかなければならない。
――弘瀬氏から会談の申し入れがあれば応じるか。
日体協の安西会長と会って話をしたい。