Tweet |
ダラス(AP)
米国の研究機関によると、めまいなどを訴えている湾岸戦争の退役軍人たちの研究から、その中の数人が1995年に東京の地下鉄構内で発生したオウム真理教によるサリン事件の犠牲者たちに出た症状と似ているという結果が浮かび上がった。
湾岸戦争に参加した多くの退役軍人たちは、今も疲労、記憶喪失、関節痛、バランス感覚の欠如などに悩まされいている。
テキサス大学の医療センターで湾岸戦争の退役軍人43人に音声反応テストを行ったところ、脳と内耳に深刻な機能障害を持つ患者の症状と一致していることが分かった。
結果は「主観的な証拠」
同センターのピーター・ローランド教授は研究結果を「主観的な証拠」と位置付け、湾岸戦争の退役軍人たちがめまいなどを感じるのは有毒な神経作用をもたらす化学物質と関連があると指摘した。
この研究は実際、脳障害の化学的証拠またはその全体像を提示しているわけではない。しかし、テキサス大学の研究者たちは昨年、湾岸戦争の退役軍人たちに対して脳スキャン検査を行い、その結果、脳障害はおそらく有毒な化学物質の影響であると示した。
最近の一連の研究では、なぜ退役軍人たちがめまいを引き起こすかを分析するために彼らの脳深部の反応を計測している。
「これらのテスト結果から、体のバランスをコントロールする脳の深部において機能障害が起こっていることが分かった」と、テキサス大学のロバート・ハリー教授は語った。
サリン被害者と類似の症状
ハリー教授は、この研究結果から、退役軍人たち脳障害は1995年の東京地下鉄構内で起きたサリン事件の犠牲者に見られる症状と同じタイプのものだと語った。いくつかの日本の研究事例は、サリン事件の被害者たちの何人かに不可思議な脳障害があったことを報告している。
テキサスでの研究対象者は米海軍設営部隊員「シービーズ」として知られる海軍機動建設部隊の23人で、彼らはめまいやその他の症状を訴えていた。また、そのほかに病気ではない他の部隊の退役軍人20人も研究に協力した。
病気の退役軍人の中には16人がめまいを感じ、精神的に参っていたという。ハリー教授は16人のうち1人を除き、全員が脳障害の兆候があるという結果が出たと説明した。
米国防省は6日に声明を発表し、今回の研究結果は重要であるが、決定的ではないとした。米国防省は東京の地下鉄サリン事件で何人かの被害者が脳障害を起こしていることを認めたが、これらの研究結果から、退役軍人たちを悩ましている神経学的な障害が湾岸戦争と関連があるとはまだ言えないとした。