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台湾海峡周辺の中国軍施設の撮影などで、最高一メートル四方の高解像度撮影が可能な米国の民間情報衛星「イコノス」が注目を集める中、米国の情報機関は十四日までに、イコノスなどの民間衛星が撮影する写真を大量に購入する方針を明らかにした。米国は十センチ四方の撮影が可能とされる最高機密扱いの軍事スパイ衛星も保有しているが、コスト削減の効果なども見込めることから、支障がない部分は“民間委託”する部分を拡大する考えとみられる。
中央情報局(CIA)など米国の各種情報機関に地図などを提供する米図像・製図局のキング局長(陸軍中将)は十二日、バージニア州アーリントンで開かれた米航空宇宙学会の講演で、「現会計年度(今年九月まで)は民間衛星による画像の購入費に五千百万ドル(約五十五億円)を充てる」とし、十月からの二〇〇一会計年度以降五年間では総額五億ドル(約五百四十億円)で、議会の承認を得られた場合には「十億ドルの予算をとりたい」と、民間衛星画像の利用を飛躍的に高める考えを明らかにした。
イコノスが昨年秋に衛星写真の撮影を始めて以来、同衛星を運用するスペース・イメージング社では、顧客には各国の政府機関も含まれていることを確認しているが、情報衛星では“本家”のはずの米政府も日本の三菱商事を含めた民間の出資で製造、打ち上げが行われた同衛星を利用する格好だ。
来年初めには、米国内の他の二社がやはり一メートルの解像度を持つ情報衛星をそれぞれ打ち上げる予定が決まっている。また、解像度五十センチの民間情報衛星も「可能か否かではなく、いつ実現するかの問題」(キング局長)になっているとされ、情報衛星ビジネスが一段とにぎわいをみせる可能性が高くなっている。